マンガはなぜ赦されたのか -フランスにおける日本のマンガ- 第4回「カトリック出版とマンガ出版の関係」
短期集中連載(毎日曜・水曜更新)、全8回予定。■ 豊永真美 [昭和女子大現代ビジネス研究所研究員] 第3章 シャルリ・エブドから生まれた奇才 ジャック・グレナはなぜマンガ出版に乗り出したのか。
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一方、マンガという経営を安定させるポートフォリオを得たメディア・パルティシパシオンはフランスの出版界でも重要な地位を占めるようになった。2012年、ヴァンサン・モンターニュはフランス出版社協会(SNE)の会長となった(*14)。
フランスにある600社の出版社を束ねる団体の長となったわけだ。フランスの出版界も他の国の出版界と同様、紙の書籍と電子書籍との共存が重要となっている。フランスの消費税は20%と高いが、紙の書籍も電子書籍も軽減税率で5.5%となっている。ところが、EUより、電子書籍の軽減税率の適用をやめ、他の電子媒体と同じく、通常の消費税率とするよう勧告を受けている。SNE会長の役割はこの電子書籍の軽減税率を守ることだ。
また、シャルリ・エブド襲撃の際、ヴァンサン・モンターニュはSNEの会長として、犠牲者の作品を集めたバンド・デシネの単行本「Je suis Charlie」をSNE加盟のバンド・デシネ出版社が協力して出版し、収益を犠牲者の家族に送ることを発表した。 SNEが「シャルリ・エブド」に寄り添うということを決意表明したということである。
一方、メディア・パルティシパシオンは新分野として中国との関係を強化している。2015年2月より、中国の独立系出版社のComicfans社と合弁で「Urban China」というマンガレーベルを作り、中国の人気マンガをフランス語で出版する。第一弾として出版したのは「La bataille de Shanghai 1937 (1937年の上海の戦い)」というBio Luというマンガ家が書いた抗日戦争を舞台としたマンガだ。
ヴァンサン・モンターニュは、カトリックをサポートする実業家としても依然として大きな役割を果たしている。2012年にバチカンが、全世界にデジタル放送を企画した時(*15)には、資金の出し手として名前があがっている。
メディア・パルティシパシオンとして、カトリック出版の比重は小さい。しかし、ヴァンサン・モンターニュはカトリックの世界の中で、依然として重要な地位を占めているようだ。
*13 Le Monde ”Qui sont les catholiques de France ?” (2014/01/24)
http://www.lemonde.fr/societe/article/2014/01/24/qui-sont-les-catholiques-de-france_4354161_3224.html#rTEPTdQwrewMpBap.99
*14 Le Parisien”Le PDG de Media-Participations Vincent Montagne elu a la presidence du SNE”2012/06/28
*15 La Croix “La Fondation pour l’evangelisation par les medias prend son envol a Rome”2012/01/23
[/アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.biz より転載記事]
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