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ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」アナログとハイテクの融合、ナルトの成長物語

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 昨年の秋に連載が終了し、大規模な『NARUTO-ナルト-』のプロジェクトの一環としての舞台化。

連載 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
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ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」アナログとハイテクの融合、ナルトの成長物語
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■見所は言うまでもなくアクション、ラスト近くはサスケとナルトが対峙する

風の音、語りと共に文字が後ろに映し出される。ファンは知っているが、この物語の設定を説明する。語り口が重厚で、しょっぱなからバトルシーン、ナルトが元気良く登場、最初から激しいアクションの応酬、早々にファンなら知ってる”分身の術”、暗闇の中、LEDライトで光る衣装を来た”大勢のナルト”が 賑やかなダンスを披露する(おなじみ、影分身の術)。ここで一気に観客のテンションはアップする。

アカデミー(忍者学校)の講師、うみのイルカは影分身の術を成功させたナルトを一人前の忍者と認め、アカデミーの卒業祝いとして自分の額当てを贈る。大喜びのナルトだが、それはこれから厳しい修行が始まるということだ。
それから3人1組になっての修行が始まる。ナルトはサスケ、サクラと組むことになる。クールなサスケ、サスケが大好きなサクラ、一本気だが、ちょっとお調子者のナルト、個性的なトリオ、早速、課題が与えられるのである。

1巻~27巻のストーリーを大きくはしょるところは思いきって省き、クローズアップするところはじっくり見せる構成。見所のひとつは言うまでもなく、アクションシーン。プロジェクションマッピングを使用しているが、俳優の渾身のアクションをより立体的に見せる効果がある。
また、トランポリンを使ったアクロバット、マイム等を取り入れ、”アナログとハイテクの融合”まさに”スペクタクル”という言葉がふさわしい。

各キャラクター、それぞれ魅力的。優しく男気のあるうみのイルカ、クールでかっこいいはたけカカシ、エロいが懐の深い自来也、皆、ナルトを温かく見守る。同じ駆け出し忍者たちも皆、ナルトが大好き、いざとなれば一致団結する頼もしい仲間たちだ。
孤独な我愛羅、意味合いは”我を愛する修羅”。出生時に、風の国の兵器として、砂の守鶴(一尾)を憑依させられた人柱力である。力を制御しきれず、里の人間から恐れられ、実の父・四代目の風影から幾度となく刺客を差し向けられた。そんな彼の生い立ちを映像を使いながら語られる。モノクロなイラストが次々と変わり、それに合わせて心情を吐露、ひたすら哀しい。

また、砂を使った忍術を布で表現、舞踏に近いニュアンスの振付だが、ここはなかなか圧巻だ。そんな彼に真っ向から対峙するナルト、愚直なまでに真っすぐだ。
ナルトたちの最大の敵、大蛇丸。サスケを自分のものにしようとする。そんなサスケをナルトが追う。ナルトは、どこまでも前向きだ。ラスト近くはサスケとナルトが対峙する。サクラが「ナルト、サスケを連れて連れ戻して」と叫ぶ。

ナルトと対決した我愛羅がナルトを応援する「サスケはお前にしか救えない」と。ナルトによって何かが変わった我愛羅、どこか温かい、熱い想いが感じられる。自ら大蛇丸のところに行くサスケ、幼い時の体験、哀しい過去がある。内なる闇を抱えて生きる姿にナルトの声は届かない。
アクションや面白シーンだけが見せ場ではない。心の動きやちょっとした仕草も見逃せない。また、それぞれに見せ場、決め台詞があるのはもちろん外せない。
コミックファンなら「ある、ある」「そう、そう」とうなずけるところは多い。また2幕のアクションシーンだが、一部、客席の”協力”が必要な場面があり、ここはチケットを購入しているファンにはお楽しみポイント。コミックやアニメと同様に肩肘張らずに楽しめる。

ナルト役の松岡広大、とにかくよく動く、そしてよく笑う。先天的な明るさがキャラクターとシンクロする。サスケ役の佐藤流司、寡黙でクールな役作り。サクラ役の伊藤優衣 、お茶目で元気、本人の気質なのだろうか、どこか楽しげで微笑ましい。
自来也役の梅垣義明 はしょぱなから笑わせて、大蛇丸の悠未ひろは長身でクール、雰囲気のある佇まいで舞台映えする。彼女だけ歌が入るが、歌う大蛇丸もまた新鮮だ。

コミックを知っていれば、結末は言わずもがな。どんな結果であろうとも、しっかりと前を向く。主人公の何でもポシティブにとらえる、能天気と言ってしまえばそれまでだが、とにかく元気がでる。仲間を想う気持ちは誰よりも熱いナルト、忘れかけていた何かを思い出させてくれる作品だ。
そしてカーテンコールはこの舞台のための楽曲、FLOWの『光追いかけて』の大合唱で締めくくった。
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《高浩美》

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