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「攻殻機動隊 ARISE Alternative Architecture」 シリーズ構成:冲方丁、新たな挑戦を語る

2015年4月から放送される『攻殻機動隊 ARISE Alternative Architecture』は劇場上映された4部作を再構成しての放送となる。そのシリーズ構成を担当した冲方丁さんに、テレビシリーズについてお話をうかがった。

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「攻殻機動隊 ARISE Alternative Architecture」 シリーズ構成:冲方丁、新たな挑戦を語る
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■「ARISE」の現場は“素子がいない公安9課”

―TVシリーズのキャッチコピーに「階級なし、実力主義」とあります。劇中でもたびたび素子が口にしていますが、旧態依然とした組織に批判が集まる現代において公安9課は一種の理想像に見えます。

冲方
ネットというのは、社会制度をフラット化していくものなんです。わかりやすい例として現在インドでIT企業が目覚ましい発展を遂げていますが、それはカースト制度に明記されていない職業だからです。身分制度に関係なく能力があればIT企業に就職できる。
システムや構造を知っている人間が規制やタブーを設けることによって利益を独占しようとしますが、「システムを正しく回帰させよう」というのが素子のスタンスなんです。そうした階級超越主義を目指している。それを理屈でなく直感でやってのけるのが素子ですが、ITが発達したころのジョブズのようなプログラマーたちの熱気に通じるものがあります。

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―「組織」という点で、アニメ制作の現場におけるご自身のスタンスはいかがですか?

冲方
チームワークに対する憧れはいつでもありますね。チームがあるとはいえ基本的に物書きは個人作業なので。
いろんな媒体で書いてきましたが、小説と脚本の違いは何かというと、小説はお客さんに想像してもらうんですけど、脚本は絵を描いてもらう人に理解してもらうことが重要になります。書いた台詞がカットされることもありますが、「絵で説明できるんだったらその台詞はいらないんだろう」とわかる。こっちはこっちで脚本でしかできないことをやってやろうと。そこはやり合いですよね。そういう現場は非常に楽しいです。

―「組織」という点で『攻殻機動隊ARISE』の現場はいかがですか?

冲方
プロダクション I.Gは実力主義な印象があって、総監督の黄瀬和哉さんもフラットな方です。たとえるなら“素子がいない公安9課”です(笑)。遠慮がなくいろんなことを要求されましたが、そのぶんこちらも色々チャレンジさせてもらって楽しかったです。

―最後に読者にメッセージをお願いします。

冲方
『攻殻機動隊』シリーズに触れたことがない方は、素子の変化と仲間との歯車の噛み合いを見てもらえると、小難しいことはあとからついてきます。また新規エピソードでは、ある程度チームワークが整ってきた素子たちに対して、意外な角度から訪れる敵というのを楽しんで欲しいです。

―どうもありがとうございました。
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《沖本茂義》

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