前田
まさしくそこも見どころです。橋本晋治さんと大平晋也さんにやっていただいています。夢のダブルヘッダーです。しかも、絵はそのままというコンセプトですから生の絵が出ています。
――あのダイナミックさは仕組んだのでなく、絵が上がってきたらそうだったという感じなのですか。
前田
作画の打ち合わせはしました。しかも、ある程度、期待もしているわけです。大平さん、橋本さんの作風からここはいけるんじゃないかと思い、アクションのテンションが上がってドタバタするところを頼んだんですけど、想像していた以上にものすごいものが上がってきました。
大平さんも橋本さんも、中割の動画があまりないんです。全部自分の絵で埋め尽くされて、しかもそれがそのまま撮影すれば動きますという感じでした。
大平さんの絵を見ていただくと分かりますけど、あのマイルドなタッチは、本当にただの線だけじゃないですよね。柔らかい鉛筆を指でこすって、グレーが乗っているんです。だから、デッサンというか、クロッキーみたいな感じの仕上がりになっていて、すごくかっこいいんです。
出来上がったものをみたら、僕と本田君とでばっちりだと。何も手を加えずに、これでいきましょうと、そんな感じでできています。
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橋本晋治氏の原画
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大平晋也氏の原画
――ストーリーですが、最初は割に平坦で後半に山場があり、短編ながら起承転結をつけています。
前田
明確なせりふも最後の部分だけです。それを言わせるために全てをあそこへ持っていっています。キャラクターが高いところに上るのもそのためなんです。最初は見上げていて、飛んだりしながら、だんだん高いところで上って、最後は人間の目線より高いところへ行って、そこからジャンプして顔まで行く。顔まで行くんだけれど、それでも言葉は届かない。
――テーマとされたディスコミュニケーションですが、最後には何となくコミュニケーションは取れたような気もします。
前田
いや、僕としては最後まで取れないというつもりで描いています。溝は埋まらない。あの子はたぶん男の子と同棲しているんです。けれども普段は「私はここよ!!」と言えない人なんです。だから夢の中では活発に動くし、アクションを起こして物を投げつけたりするし、それは全部願望の裏返しです。
最後に目が覚めますが、彼女はまだ夢の続きでゴキブリにもちょっとだけシンパシーがある。だけど、それを何の気なしにグシャッと潰してしまう彼氏、やっぱりこれもディスコミュニケーション。彼氏は満面の笑みで「100%俺、いい彼氏」という顔で笑う。ここでも橋はかからないんです。
後編に続く (3月9日掲載予定)
『西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可』
監督: 前田真宏
原案・キャラクターデザイン: 本田雄
http://animatorexpo.com/nishiogikubo/
“『西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可』
いつもの部屋のソファの上で目を覚ましたリカ。
ふとした違和感に気付く・・・
駅から少し離れた2LDK、ただいま内覧受付中。“
今回お話を伺った前田真宏監督は、3月13日(金)から開始する日本アニメ(―ター)見本市セカンドシーズンの1作品目「Kanon」の監督も担当する。ここでは第3話「ME!ME!ME!」の監督を務めた吉崎響氏とタッグを組んだ。どのような作品になったのか、セカンドシーズンに入った日本アニメ(―ター)見本市は最初から目が離せない。
日本アニメ(ーター)見本市 第13弾作品
「Kanon」
3月13日(金)配信
予告編 http://www.nicovideo.jp/watch/1423459443
監督: 前田真宏
演出: 吉崎響
美監: 串田達也
[ストーリー]
“罰です。”
■ ニコニコ生放送
「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」2ndシーズン開始特番
2014年3月9日(月)22時~23時(予定)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv204660678
出演者:前田真宏、鶴巻和哉、樋口真嗣、出渕裕
□「日本アニメ(ーター)見本市」セカンドシーズンや日本アニメ(ーター)見本市OP募集企画の選考発表を行います。