原作の持つ魅力を、『セーラームーンCrystal』キャラクターデザイン・佐光幸恵さんインタビュー 2ページ目 | アニメ!アニメ!

原作の持つ魅力を、『セーラームーンCrystal』キャラクターデザイン・佐光幸恵さんインタビュー

『美少女戦士セーラームーン』の連載開始から20年超、2014年に新しいアニメシリーズが始まった。『美少女戦士セーラームーンCrystal』、本作のキャラクターデザインを担当した佐光幸恵さんにお話を伺った。

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■ 原作の持つ、時代に左右されない魅力

―アニメ!アニメ!(以下、AA)
原作に忠実にとのことでしたが、実際にはアニメにするという点でデザインは変わってきます。

―佐光幸恵さん(以下、佐光)
大きく違うのは、目の処理です。漫画では上の瞼を曲線でシャッと描いていますが、アニメでは目尻、目頭、瞼の3つにパーツを分けないと立体的な描写が難しくなってしまうんです。その上で、武内先生の絵に近づける。特に水野亜美ちゃんの目などは、タレ目に見えるように、さらに工夫を加えています。

―AA
頭身に関しても、原作に近づける形になっているということですね。

―佐光
そうですね。完全版の表紙などでも描かれているのですが、ただ表紙の絵はつま先まで描かれていないんです。足先まで描く場合と、足の途中まで描く場合では、絵のバランスが変わることがあるんです。幸い、原作の後半には全身イラストが多く載っていて、全身のプロポーションはそこから取りました。

―AA
うさぎちゃんの靴下が懐かしの三つ折りということにふと第1話を見ながら思ったのですが。

―佐光
「時代の流行り」というものからは解き放ちました。やむを得ず外した部分以外は、原作の世界を細部まで再現したデザインになっています。
(地場)衛の懐中時計とかも随時ちゃんと描き込んでますし。細部まで描き込むのは大変ではあるんですけど『Crystal』ではそれをやる、ということも重要なポイントなんです。原作がそもそも「かわいい」とか「憧れ」を詰めこんだ世界観になっているので、「現代っぽさ」というものはデザイン上では特に意識していませんね。

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―AA
キャラクターとしては、月野うさぎと愛野美奈子は髪の色といった部分に近い要素がありますが、そこに関して工夫されている部分というのはありますか?

―佐光
デザインの中心は美奈子ちゃんになっているんです。実は主人公的な要素は美奈子ちゃんがより多く持っているので、描くときも美奈子ちゃんの方をよりオーソドックスな美少女として描いています。
一番の美人は火野レイちゃん、美奈子ちゃんは正統的な美少女ですね。うさぎちゃんは、その中間くらいをイメージしていて。武内先生も最初に描いたのが『コードネームはセーラーV』の美奈子ちゃんだと思いますので、彼女に主人公的な要素を込められていらっしゃるのかなと想像したりしながら描いていますね。

―AA
逆に男性キャラクターのタキシード仮面のデザインなどはどのような工夫をされましたか。

―佐光
タキシード仮面のデザインは神木(優)プロデューサーに何度もダメ出しされました(笑)。最初のうちは自分でも「違うなあ」と思っていたんですが、描き直していくうちに神木プロデューサーとタキシード仮面をめぐる戦いみたいになっていって(笑)。
武内先生の描く男性のバランスは難しくコツを掴むのに苦労しました。衛は作品における唯一無二の美男子なので、今のデザインになるまでかなり試行錯誤して、すごく繊細なバランスになっています。今でも描くのは難しいです。

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■ 前作のDNAを持たない強さ

―AA
セーラームーンの思い出は何かありますか?

―佐光
前作のテレビアニメシリーズですが、佐藤順一さんが担当されたギャグ回や、ルナとレッドバトラーという猫が一緒に戦う話は何度も見た思い出があります。すごく笑いました。
アニメーターになろうと上京してきた時にアニメの『セーラームーン』もはじまったのですが、当時は、土曜日の夕方に『幽遊白書』を見て、『セーラームーン』を見て、『スラムダンク』か『南国少年パプワくん』を見る一時間半がとっても楽しかった思い出です。ただ絵は影響を受けることもなく、それが逆に本作で自分がデザインをする際には、よかったなと思います。
加えて当時キャラクターデザインをされた只野和子さんや伊藤郁子さんといった方々とも現場で一度もご一緒したことがないんです。私の中にはそのDNAがなんです。だから「武内先生の原作を元に」と言われたときにも対応できたと思います。「前作とは明確に違うもの」を私には求められていたのかなと思いました。

―AA
本作にキャラクターデザインとして関わられたお気持ちをお願いいたします。

―佐光
アニメーターにとって「キャラクターデザイン」というのはひとつの目標ですが、誰もがなれるものでもありません。私も長年アニメーターをやってきていますが、なかなかそういう機会には恵まれてきませんでした。この先も自分にはないのかなうと思っていたところにポンといただけたお話だったんです。
「これが決まらなかったらアニメーターはもうやめよう」くらいの覚悟で取り組みました。振り返れば『セーラームーン』という作品は、アニメーターになろうと思って上京したときにはじまり、仕事を始めてから20年、自分の節目でもある時期にその新作に関われるというのは、巡り合わせなのかなと思っています。

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―AA
ありがとうございます。それでは最後にファンにひと言お願いします。

―佐光
純然たる少女漫画をアニメ化するのはなかなかないことだと思います。前作のアニメシリーズは知っているけど、原作をまだご覧になってない方は、その部分をぜひ楽しんでいただけたらと思います。またこれを機に原作もぜひ読んでみていただければと思います。

美少女戦士セーラームーン20周年プロジェクト公式サイト
/http://sailormoon-official.com/animation/

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価格: 7,500円+税

abesan収録内容
Act.1・Act.2 アップグレード版収録
映像特典
OP・EDノンテロップ
音声特典
オーディオコメンタリー
Act.1・Act.2:三石琴乃・野島健児・境 宗久・小佐野文雄
Act.1:ももいろクローバーZ・境 宗久
パッケージ仕様
小坂明子アレンジオリジナルオルゴール内蔵 特製BOX仕様
(※オルゴールの楽曲はOP曲「MOON PRIDE」)
アニメ版権描き下ろしデジパック

封入特典
株式会社バンダイ製作オリジナルチャーム「ムーンスティック」「バッグチャーム」封入
28Pフルカラーブックレット
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(※初回限定版全巻購入者対象・応募者全員プレゼント)


『美少女戦士セーラームーンCrystal』
(C)武内直子・PNP・講談社・東映アニメーション
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《細川洋平》

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