おふたりにとって、『攻殻機動隊』とは何ですか?
―黄瀬
まぁ、僕はたぶんくされ縁ですよ、原画の頃からの(笑)。
―冲方
あははは(笑)、僕は相変わらず教科書です。その教科書の1ページに加えさせていただいて、次の世代に「君たちも読んでね」というバトンの受け渡しができるようにできたかな、と思いますね。
―AA
では、『攻殻機動隊』が愛される理由とは何だと思いますか?
―黄瀬
そのへんはみなさんに教えて欲しいです。僕は人がどんな風にこの作品を見ているかがあまり想像つかないので、聞いてみたいです。
―冲方
今回、作品づくりに参加してみて思ったのは秘伝のレシピみたいに全ての要素の配分が非常にうまいんですよ。キャラクターの動かし方、事件を勃発させる要因、ありとあらゆる様式がとても完成されていて。かつ、古くならないんです。そういう作品だから希有な位置にいるのではと思います。エンタメ性と先進性が絶妙に混ざり合っている作品。大体、サイバーパンクとサイボーグバトルを同時にやるという発想からすでにぶっ飛んでる(笑)
―AA
それを25年も前から描いていることそのものに、驚きですよね。
―冲方
警察モノとして描くので、起承転結もまとめやすいです。個人のドラマも社会ドラマもテクノロジーも語れるし、アクションもできる。警察という軸もすごく生きています。
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―AA
ツダ・エマを演じた茅野愛衣さんは、こんなに色々な渋いおじさまがたがビジュアルを飾る作品は今時あまりないから嬉しい、とおっしゃっていました。
―冲方
ホント、おっさんばっかりですからね(笑)。構造が白雪姫なんですよ。素子と小人たちがいて……王子様をなぎ倒していく白雪姫です。
―黄瀬
素子に王子様はいらないんですよね。
―冲方
いらないですよ。一方で、蛮勇をふるって王子様を出して見たら意外と面白くて。こっちをパターン化しても面白かったのかもしれません。『007』のボンドガールみたいに「素子ボーイ」みたいなものを毎回登場させて、でも基本的に素子には王子様はいらないから恋愛してはなぎ倒されるみたいな。そっちの路線もできるぞ、という可能性は見いだせたと思います。とても懐の深い作品で、改めて勉強になりましたね。
こういう作品は、作り手が萎縮しちゃうと何もできないんですけど、黄瀬さんみたいな人がいて、「責任は僕が取りますから好きにしてください」と言ってくれている。野球でいうと監督がサインを出しているんだから、あとは全力で行くべきという気持ちにさせてくれました。
―黄瀬
(少し照れながら)みなさんが『border:4』を観にきてくれるといいなと思います。ぜひ、観にきてください。
―AA
今日はありがとうございました!
『攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone』
9月6日全国劇場上映開始(2週間限定)
/http://kokaku-a.jp/
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