テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」劇伴作家:菅野祐悟(音楽インタビュー前編) | アニメ!アニメ!

テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」劇伴作家:菅野祐悟(音楽インタビュー前編)

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』の音楽を人気作曲家・菅野祐悟氏が担当している。その息を呑ませるサウンドはどのようにして生まれたのか、菅野氏に語っていただいた。

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テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」劇伴作家:菅野祐悟(音楽インタビュー前編)
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連載開始から25周年にあたる2012年に初のテレビアニメ化がなされ大人気を博した『ジョジョの奇妙な冒険』。そのテレビシリーズの第2シーズンであり、特殊能力・スタンドが初登場する原作マンガ第3部のTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』が、2014年4月から満を持しての放映が開始されている。
第1シーズンのエンディング楽曲としてテレビアニメとしてはあまり例のない洋楽が採用されるなど、『ジョジョ』といえば作中の音楽も大きな魅力のひとつ。第1部「ファントムブラッド」ではアニメをはじめゲーム音楽で著名な松尾早人氏、第2部「戦闘潮流」ではアニメ音楽家として活躍がめざましい岩崎琢(*)氏が音楽を担当したが、この第3部「スターダストクルセイダース」で実写作品(映画、ドラマ)やドキュメンタリーで膨大な数の楽曲を手がけ、アニメでも『PSYCHO-PASS サイコパス』をはじめ富野由悠季監督の新作『ガンダム Gのレコンギスタ』の放映も控えた人気作曲家・菅野祐悟氏が担当した。
承太郎たちの戦いを彩る血沸き肉踊る激しいビートや息を呑ませるサウンドはどのようにして生まれたのか。菅野祐悟氏に『ジョジョ』の音楽に対する意気込みやその創作スタイルを語っていただいた。
[取材/構成:高瀬司]
(*岩崎琢さんの「タク」の字は本来、旧字体で点がつきます。)

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースO.S.T「Departure」
音楽:菅野祐悟
7月30日(水)発売


abesan■ 『ジョジョ』世代が奏でる音楽

―まずはテレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』の音楽を手がけられた経緯から伺えますでしょうか。

菅野祐悟氏(以下菅野)
『ジョジョ』の第1部から音響監督を務められている岩浪美和さんとは、以前『PSYCHO-PASS サイコパス』というアニメで一緒に仕事をしたご縁があって、今回も岩波岩浪さんから声をかけていただきました。
『ジョジョ』は国民的作品といってもいいようなビッグタイトルですから、そのような作品の音楽を自分が担当できるということを非常に楽しみに感じましたし、また同時に強い責任も感じました。しかもすでに第1部、第2部のアニメが大ヒットしている中で第3部の音楽をやるということは、ファンの方々の高まった期待にしっかりと応える必要がある。なので視聴者の方々の抱くテレビVアニメ『ジョジョ』の世界観のイメージをなるべく忠実に表現できるよう意識して作曲しました。

―菅野さんご自身は『ジョジョ』第3部の原作はリアルタイムで読まれていたのでしょうか?

菅野
はい。ちょうど自分が一番熱心に「週刊少年ジャンプ」を読んでいた小中学生の時期に連載されていたのが第3部でした。
当時はクラスの皆が『ジャンプ』を毎週必ず読んでいるような時代だったので、『ジョジョ』は自分の世代の共通体験として強く記憶に残っています。なので第3部は青春時代の思い出と一番強く結びついた、『ジョジョ』の中でもとても思い入れがあるパートです。

■ シリアスとシュールの融合

―『ジョジョ』第3部の音楽を担当されるうえでどういったことを心がけられましたか?

菅野
最初にメインテーマとなる楽曲「スターダストクルセイダース」を作ったのですが、先鋭的な表現のつめ込まれた原作に見合うよう、なるべくトリッキーな音楽にしたいと思い取り組みました。
特に第3部をアニメ化するとなれば、実写の映像作品ではなかなか表現できないようなスピード感のある映像になるはずだと思ったので、実写の劇伴でやってはやり過ぎになるかもというくらいに大胆な疾走感も与えています。

また一方で、『ジョジョ』ではシリアスでカッコいい展開の中に独特のユーモアが入り込んだシュールさも大きな魅力だと思っているので、そうしたシュールでコミカルなテンションを反映した、聴いていて踊りたくなるようなリズムも持たせました。このメインテーマは、一番自信のあるじっくりと聴いてほしいナンバーですね。

―実際に放映された第3部の映像をご覧になられていかがでしたか?

菅野 
原作の荒木飛呂彦先生のものすごく描き込みの細かい絵が映像としてどのように動くのか楽しみにしていたのですが、実際素晴らしいクオリティでアニメーションになっていて感動しました。
今回の劇伴は三回に分けて制作されているのですが、放映が開始されてから行われた二回目以降の制作では、第1部や第2部とも異なる第3部ならではのテイストがわかったうえで作曲することができたので、曲のイメージがとても浮かびやすかったです。

「作品がこういうテイストなら音楽のほうではこういう風に作品の中に踏み込んでいけるな」という形で劇伴の曲想を膨らませていくことができました。

後編に続く 
/http://animeanime.jp/article/2014/07/30/19634.html

『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』
/http://jojo-animation.com/

[オリジナルサウンドトラック]
ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースO.S.T「Departure」

7月30日(水)発売
音楽:菅野祐悟  価格:2,500円+税



[収録曲]
1.旅立ち/2.紫の茨/3.銀のツイスト/4.炎の呪術師/5.憩い/6.予兆/7.忍び寄る敵
8.闇の蘇生/9.高潔なる教皇/10.緊迫/11.秘めた思い/12.接近/13.哀情
14.急迫/15.悠然遊覧/16.忠義の従者/17.迷い/18.荒野に吹く風/19.激突
20.鎮魂/21.暗闇の進撃/22.決戦の時/23.スターダストクルセイダース

『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』
(c)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険 SC製作委員会

《高瀬司》

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