東京マンガラボ出張コラム部　第9回武蔵野美大イラスト研究会　「おとりよせ王子飯田好実」「甘々と稲妻」 2ページ目

■　甘々と稲妻
雨隠ギド

こだわりのおうちぼっち飯とくれば、次にご紹介したくなるのは、ほっこり手づくり団らん飯。というわけで、2作品目は、雨隠ギド先生の『甘々と稲妻』を推させていただきます。

現在第2巻まで発売され、「月刊アフタヌーン」で連載中のこの作品は、奥さんを亡くし、娘であるつむぎの子育てに奮戦する数学教師・犬塚が、教え子の小鳥と一緒に、つむぎにおいしいごはんを食べさせてあげようとがんばるお話です。男手一つでつむぎを育てる犬塚先生ですが、慣れない家事、育児はそう一筋縄で行かず……。その上、この犬塚先生、料理が苦手で小食で味オンチ。また、ひょんなとこで一緒にごはんを作ることになった小鳥も、料理は全くできません。
それでも、つむぎにおいしい手づくりごはんを食べさせて笑顔になってもらいたい……そんな想いで、二人がとてもゆっくり丁寧にお料理を作っていきます。

二人とも料理が苦手な上、幼いつむぎの拙いお手伝いも交えながらだからというのもありますが、ドタバタしながらも心地よい時間の中でごはんが作られていきます。その、空気感に癒される……。
そして、その物語の中心にいるつむぎは、二人や周りの人たちの中でくるくると天真爛漫な姿を見せてくれます。その、かわいさに癒される……。
がんばって作ったごはんを、大好きな人たちと囲んで食べる幸せが、この作品にはぎゅっと、詰められています。何かと緊張の多い春、ふっと力を抜きたい時に読んでいただきたい作品です。

『しあわせおうちごはん』作品を2つ紹介させていただきましたが、いかがでしたか？新生活を前に、いろいろと気を張ってしまう春。ちょっと疲れたなーと思ったら、漫画を読んで、お腹いっぱい食べて、気力も体力も充填して、元気よくがんばっていきましょうね！

『東京マンガラボ』
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