「ニッカーの絵の具は鮮やかで発色がいい」
「混ぜても濁らない。彩度が落ちない」
ニッカー絵具が「色」に対して妥協をしない。会社が「色」にこだわるには理由がある。妻倉社長曰く、初代社長の伊藤十三氏が最初に高品質の顔料に接していたからだという。
「伊藤が最初に習った絵の具つくりは、油絵の具なんです」
混ぜても濁らない絵の具つくりに必要なのは、なんといっても高品質の顔料であるが、油絵の具に使われる顔料は最高品質である。研究され、吟味された顔料、鮮やかな油絵の具、キャンバスを彩るクリアで豊かな「色」。文房堂での伊藤氏の原体験は、ニッカー絵の具の「品質」を方向づけたといえる。
創業から60年以上たった今でも、ニッカー絵具は妥協をしない。いつでも「同じ色」になるようにコツコツと頑張る。基本を大事にする。ニッカー絵具が信頼される理由は、「最初の立地点」を忘れていないからなのだろう。
■ 数井浩子 (かずい・ひろこ)
アニメーター・演出。
/http://www.kazuihiroko.jp/ (数井浩子 公式サイト)
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