「かぐや姫の物語」 8年間の歳月を経て遂に完成 高畑勲監督「大変満足している」 | アニメ!アニメ!

「かぐや姫の物語」 8年間の歳月を経て遂に完成 高畑勲監督「大変満足している」

11月7日、東京都内のホテルにて、高畑勲監督が登壇する映画『かぐや姫の物語』の完成報告会が開催された。公開前から映画ファン、スタジオジブリファンの話題を集めてきた話題作だ。

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映画『かぐや姫の物語』の完成報告会
映画『かぐや姫の物語』の完成報告会 全 6 枚 拡大写真
11月7日、東京都内のホテルにて、映画『かぐや姫の物語』の完成報告会が開催された。公開前から映画ファン、スタジオジブリファンの話題を集めてきた作品だ。
とりわけアニメ関係者やアニメファンからは、大きな関心を集めてきた。1999年の『ホーホケキョ となりの山田くん』以来、巨匠・高畑勲の14年ぶりの劇場アニメである。さらに公開日の突然の延期、事前に公開されたPVは、かつてなかったような映像表現など、いくつもの驚きが続く。一体どんなやりかたで制作しているのか、本編の映像は?ストーリーは?多くの人が本作に興味津々だ。

そんな謎も、もうすぐに解けることになる。企画開始から8年間の年月をかけ、映画は遂に完成、一般試写会も開始する。完成報告会は、そうした完成までの想いを監督が語る場ともなった。
高畑監督は、いつもあまりスタッフに感謝をいうことはないのですがと前置きをしつつ、「長い時間がかかり、大変なお金もかかった。スタッフたちに本当に感謝します。今度ほどありがたいという気持ちに満たされていることはないです。」とまず挨拶をした。
また、自分自身は絵を描かない人間なので、どういった絵になるのか関心があると、作画や映像への深い興味を説明する。今回の『かぐや姫の物語』の絵については、「意味があってやっていること、それが完成した。ずうずうしくいうとこれから日本のアニメーションのあり方を一歩進める。大変満足を覚え、満たされている。」と本作の仕上がりに自信をみせる。
そして、「あとは、お金をどう回収するか。作ったときはあまり考えないのですが、完成すると焦点はそこになるらしい。」とも語った。

『かぐや姫の物語』の製作費について、すでに50億円という数字が伝えられている。本作の西村プロデューサーはこれについて、「(製作に)長い期間がかかった。いろいろと映像の技術を開発し、多くの人数と工程を累積していったらこうなった。」と話した。
こうした超大型企画が実現したのは、2011年に他界した日本テレビ放送網の氏家齊一郎元会長の力によるところが大きい。本作の製作に名前を連ねる氏家氏は、「もう一度、高畑勲監督の新作映画を見てみたい」と生前、本プロジェクトを強力にサポートした。
完成報告会は、その氏家氏の意志を継いだ日本テレビ放送網の大久保好男社長が登壇。「現場を見せていただき、素晴らしい絵が並び、感動しました。物心両面でお手伝いしながらも、いつ出来るのかなと思っていたが、本日、完成の会見に立ち会えた。」と感慨深げだった。

『かぐや姫の物語』には、もうひとり故人がクレジットされている。翁役の声を演じた地井武男さんである。地井さんは2012年に惜しまれつつ世を去ったが、本作では映像が完成する前に声を録音するプレスコという録音が行われている。地井さんの声が吹きこまれたのが2年前、遺作として『かぐや姫の物語』が遺された。
かぐや姫の声を演じた朝倉あきさんは、プレスコ時の様子を「わずかな間だけでもお会いできてうれしかった。」そして、その自然体の様子や、本読みの時から全力でお芝居に励まされたという。

大きな映画を完成させた高畑勲監督は、今後、どこを目指すのだろうか。監督は今後について質問されると「全然考えていません。」と簡潔に一言だけ語った。
後輩の宮崎駿監督の引退については、「(引退発表をしてもスタジオジブリに)宮崎駿はいるので、何も変わらない。」という。そして、引退自体についても、「長年見てきたから、(宮崎駿監督が)引退を変える可能もあると思っている」と話した。
『かぐや姫の物語』と『風立ちぬ』、ふたつの作品が2013年の日本の映画界を席巻する。しかし、2014年以降も高畑勲監督、宮崎駿監督の動向は目が離せないかもしれない。

『かぐや姫の物語』
11月23日(祝)より全国ロードショー
/http://kaguyahime-monogatari.jp/

《animeanime》

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