世界が注目するブラジルのアニメーション 現地レポート(前編):伊藤裕美
今年のアヌシーで長編部門最優秀賞クリスタルでブラジルの長編アニメーション『Rio 2096: A Story of Love and Furyがを受賞した。これを筆頭に最近、ブラジルのアニメーションに注目が集まっている。伊藤裕美氏がそのブラジルの現状をレポートする。
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■ ブラジルのアニメーション産業
ブラジルのアニメーションはこの10年で産業化した。そのためアニメーターが不足していて、「教育の整備は急務」とコエーリョ氏は指摘する。今活躍しているアニメーターや監督の多くは、美術・デザインの教育を受け、アニメーションは独学だ。実写の制作会社がアニメーションへ参入したり、アニメーションの制作会社との共同製作も増えている。
アニマ・ムンディに参加したアニメーション監督・作家5名にインタビューをした。Marao FilmesのMarcelo Marao(マルセロ・マラオン)氏、Diogo Viegas(ディオゴ・ヴィエガス)氏、2D LabのAndres Lieban(アンドレス・リエバン)氏とAndre Breitman(アンドレ・ブリーチマン)氏、そしてCopa StudioのZe Brandao(ゼ・ブランダォン)氏は、二十代後半から三十代前半で、独学でアニメーション技法を身つけ、テレビシリーズや広告宣伝のアニメーションを制作する。Marao Filmesと2D Labは長編も手掛ける。
彼らはカナダと組むことが多い。英語圏・フランス語圏と関係が強く、公的支援が整備されているカナダとは出資、脚本、英語の声優など、組むメリットがある。英国やアルゼンチンとの関係も強めている。英国は配給も強く、映画とアニメーションの歴史があるアルゼンチンはブラジルに来て働くアニメーターが増えているという。
アニメーション放送は、2008年に開局したターナー・ブロードキャスティング・システム傘下の「Tooncast(トゥーンキャスト)」が筆頭で、ポルトガル語とスペイン語で放送するラテンアメリアのケーブルテレビだ。アメリカンカートゥーンの新旧アニメを24時間ノンストップ放送する。米国の専門局Disney Channel(ディズニー・チャンネル)、Discovery KIDS(ディスカバリー・キッズ)もある。
日本アニメはマニアの間では人気があるが、こどもたちはディズニーやカートゥーン・ネットワーク、あるいはピクサーやドリームワークスなどのアメリカンカートゥーンで育つ。ブラジルでは最初からリップシンクを英語でおこない、自国のポルトガル語の音声をつける。
《animeanime》
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