ヘンリー・カヴィル インタビュー
8月30日の日本公開が迫る映画『マン・オブ・スティール』。1938年にアメリカン・コミックスで産声を上げた元祖スーパーヒーローを、75年目という節目の年にワーナー・ブラザースが実写映画化。『ダークナイト』を監督したクリストファー・ノーランがプロデュースを担当し、監督を『300』『ウォッチメン』などコミックの映画化に定評のあるザック・スナイダーが務めるなど、超大型のプロジェクトとして日本でも注目が集まっている。
8月21日には公開を前に来日した、主演のヘンリー・カヴィルへの合同取材が行われた。インタビューではスーパーマンの人物像をどのように作り上げていったのか、特別な存在として選ばれたことへのプレッシャー、さらにはプライベートではゲームが趣味という意外(?)な一面まで、硬軟織り交ぜながら、優しく力強いスーパーマンそのものの雰囲気で語ってくれた。
[インタビュー取材・構成:野口智弘]
■ ヘンリー・カヴィル (『マン・オブ・スティール』クラーク・ケント/カル・エル役)
1983年生、イギリス出身、俳優。2002年の『モンテ・クリスト伯』で映画デビュー。おもな出演作に『インモータルズ-神々の戦い-』テーセウス役など。
2006年公開の『スーパーマン・リターンズ』でもスーパーマン役の候補として、スクリーンテスト段階まで残っており、今回7年越しであらためてスーパーマンの座を射止めた。

―― ヘンリー・カヴィル(以下ヘンリー)
今回の映画にはスーパーマンの非常に人間的な要素がふくまれています。ですから我々にも彼の気持ちを理解できる部分が多いですし、そこが観客のみなさんの共感を呼ぶと思います。力を持った異星人だという出自が、彼の子供時代の心理にどんな影響を与えるのか、そしてどうやって彼が選択していくのか、成長した彼は正義を成せるのか、そういった部分です。
子供時代にいじめを受けたり、周囲からいろいろ言われても、彼はなんとか正義のほうに立とうとします。今回はそうしたリアリティに根ざしたストーリーなんです。
―― スーパーマンという大役を演じるにあたって、撮影の支えになったものは?
―― ヘンリー
いい質問ですね。とにかく今回は僕にとってすごく重要な役でした。それは僕だけではなく、世界中の『スーパーマン』のファンにとっても非常に重要なものです。ですからプレッシャーはもちろん感じていました。
当初はそれをなるべく考えないようにしていましたが、じつはそのプレッシャーこそが役を演じる原動力にもなりました。というのもトレーニングで「これ以上は無理だ!」と思ったときにも「待て、俺はスーパーマンを演じるんだぞ?」とみなさんの期待を考えると、力が湧いてきてもっとがんばれる、そういうことがあったからなんです。
支えのもうひとつは自分の家族の名を汚したくないという気持ち、自分の家族が僕を誇りに思ってくれる、そういうことがしたいという気持ちです。そのためには100%の全力で取り組まないと自分も惨めになる。そういう家族の中での自分の名誉も大事な存在となりました。
―― その気持ちを支える上で、今回リニューアルされたコスチュームも大きな支えになったのではないかと思うのですが、スーパーマンという存在が自分のなかでしっくり来たタイミングはいつですか?
―― ヘンリー
ご指摘のとおりで、あのスーツはとても大事な存在でした。あれを着ると自分の気持ちも変わるし、まわりの人が僕を見る目も変わるんです。そういった意味でとてもエネルギーになる存在でした。
スーパーマンという存在がしっくり来るタイミングというのは、いきなり部屋で「あ、今日はスーパーマンだな」とは思わないわけですが(笑)、常にそうありたいとは思っていました。
すでに各国で映画は公開され、ほめてくれる人もいますが、それでもなお本当に自分がスーパーマンになれたかどうか、その問いには自分でそうありたいと願い続けるしかないんです。
―― アニメ!アニメ!(以下A!A!)
役作りをする上で原作コミックを読み込んだと聞いています。様々なバージョンがあるなかで、どういった部分がスーパーマンのコアだと考えていますか? そしてそのコアは今回の映画でどのように表現されていますか?
―― ヘンリー
僕もそのコアを探したいと思って、原作コミックを読んでいきました。いろんな人がいろんな解釈をしていますが、それよりも一番基本となることはなんだろう、そのことを考えて読んでいったんです。
その上で僕が感じたのは、どんな状況においてもスーパーマンはいつも正しいことを成そうとしている、それこそがベースラインにあると感じました。それは『スーパーマン:レッドサン』『スーパーマンの最期』『THE RETURN OF SUPERMAN』『 スーパーマン/バットマン The Search for Kryptonite』といった作品で顕著で、とくに『THE RETURN OF SUPERMAN』ではほかのスーパーヒーローと異なる部分、美しい魂と謙虚な心、そして常にまわりの状況を見ながら最も正しいことは何かということを考えています。
ではそれをどう映画で表現したのか、それを簡単に説明するのは難しいですが、どんな状況にあっても「ここで一番正しいことをするんだ」という認識を常に持ちながら演じていました。
