「009 RE:CYBORG」 アニメーション・ディレクター 鈴木大介氏に訊く 後編 3コマ撮りへの挑戦、立体視への挑戦 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「009 RE:CYBORG」 アニメーション・ディレクター 鈴木大介氏に訊く 後編 3コマ撮りへの挑戦、立体視への挑戦

「009 RE:CYBORG」 アニメーション・ディレクター 鈴木大介氏に、さらに3Dアニメのプロセス、そして立体視への挑戦について伺った。

インタビュー スタッフ
注目記事
(c)2012 「009 RE:CYBORG」製作委員会
(c)2012 「009 RE:CYBORG」製作委員会 全 2 枚 拡大写真

■ 立体視への挑戦 最初100カット全部リテイクを超えて

―― アニメ!アニメ!(以下AA )
立体視も、鈴木さんが大きく関わっている部分だと思います。

―― 鈴木大介氏(以下 鈴木)
僕は立体視でも同じ役割でした。全体の方向性を決めています。立体視自体は、誰でも作れるようにセッティングはされているのですが、じゃあこのカットはどれくらいの立体感なのか、どこからどこまでを立体視にし、どこを平面にするか、などの判断をしました。

―― AA
当初から立体視にするという話もあったのですか?

―― 鈴木
ありましたね。それまでも準備はしていたのですが、本編を作っている最中は全く余裕がありませんでした。公開の3、4ヵ月前になって、いよいよやってみたら、監督のイメージと違っていてそこからがまた大変でした。

―― AA
監督のイメージの違いとのすり合わせはどういった場所だったのですか?

―― 鈴木
立体感の出し方です。例えば、画面から飛び出す立体視なのか、画面の奥にある立体視なのか。奥行きはどのくらいなのか。映っているキャラクターと画面との距離はどのくらいなのか。一口で立体視といってもいろいろとあるんですよ。

最近は奥行きのあるほうが多いんです。ただそれも、中心にいるキャラクターが画面にぴったりくっついているのか奥にいるのか。結構、映画によって違います。
最初、僕たちは使える奥行きを全部使っていました。当然、手前にいるキャラクターは画面にぴったりくっついています。でもそれは圧迫感が強くて、しかもなぜか平面的に見えるんです。そうした圧迫感がどうしてでるかも、最初はよく分からなかったんですよね。

―― AA  
それでもう一度考えようというかたちでしょうか。

―― 鈴木
最初の100カットが全部リテイクになったので、新たに監督とレギュレーションを決め直しまして、その枠内でほどよい立体感をすり合わせました。それからさらにカットごとに微調整を加えています。普通にアニメを作るのも大変なのに、立体視も力が入っています。

いまですとハリウッドでも後付けの立体視が増えています。実際に撮影現場で2つのカメラを構えるよりは、後から立体視にするほうが結果的には安いということらしいのです。それはそれでものすごい手間ではありますが。
僕たちは、折角3Dで作るので、現場でカメラをふたつ構えると同じように、CG空間に2つカメラを構えて作っています。キャラクターは全部それで出力しました。セルルックなのに自然な立体感という、いままで観たことのないものにはなったと思います。

―― AA
こうした高密度なものが、ブルーレイになった時に、それがきちんと映っているか、みなさんかなり気にしているところだと思います。

―― 鈴木
きちんと映ります。立体感については、立体視が観れる環境にあれば、ほぼ劇場でみたものが再現されると思います。劇場に何回も足を運んでいただいたお客さんは、3Dテレビを買うとそのまま見れますよ。

―― AA
最後に、今回の技術の方向性をお願いします。今後も「009 RE:CYBORG」で使われた技術は継承されていくと考えてよいのでしょうか?

―― 鈴木
まだまだ、粗削りな技術ではありますが。特に立体視に関しては、監督と僕らとでは、「やらないとね」と言っています。やらないと忘れられてしまいますから。ただかなり今回が大変でしたから、しばらくはやりたくないけれど。(笑)
折角、開発した技術ですから磨きをかけて継承していきたいですね。

009


『009 RE:CYBORG』
5月22日Blu-ray&DVD発売
豪華版 Blu-ray BOX 10,290円(税込)
通常版 Blu-ray 6,090円(税込)
通常版 DVD 5,040円(税込)
発売元: バップ

  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3

《animeanime》

特集

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]