あの『もののけ姫』、初の舞台化!壮大なファンタジーが3次元に、 | アニメ!アニメ!

あの『もののけ姫』、初の舞台化!壮大なファンタジーが3次元に、

[取材・構成: 高浩美] ■ あの『もののけ姫』、初の舞台化!壮大なファンタジーが3次元に、パペットを使う斬新な演出で世界観を再構築。■ イギリスの若い劇団が作品に魅了され、舞台化を決意

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アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第20回


あの『もののけ姫』、初の舞台化!壮大なファンタジーが3次元に、パペットを使う斬新な演出で世界観を再構築。

[取材・構成: 高浩美]

■ イギリスの若い劇団が作品に魅了され、舞台化を決意

宮崎駿監督作品『もののけ姫』が初舞台化、それもイギリスの劇団「ホール・ホグ・シアター」という若い劇団が手掛ける。ウオリックシャーのリーミントンスパに拠点をおく新鋭の劇団で2011年に結成。既存の作品を台詞、パペット(操り人形)、ダンスを用いて大胆に“翻案”した斬新な舞台を創造、しかも困難と思える作品をチョイスし、意欲的に取り組んでいる。
今回は森に住む神々や動物はパペットを用い、舞台装置には廃材を使う。自然と文明の衝突をテーマにした作品なので、この着想は物語精神にはぴったりと言えよう。音楽は久石穣のオリジナル版を編曲、本国イギリスでは大成功を収め、初の舞台化とあって日本でも公演をすることに。演出は同劇団のアレクサンドラ・ルターが手掛ける。作品に強い感銘を受け、舞台化を決意。ジブリにはイギリスのアニメ制作者を介して紹介され、テスト映像を送って許諾を得たという。
またパペットの素材だが、使い古されたビデオテープなどいわゆる“廃材”を使用。森の神々と共に生き、気を伐採し自然を崩壊する人々を憎む少女サンが主人公だが、まさに作品のコンセプトに合ったものと言えるだろう。 

■ 海の向こうの演劇人が感じた“もののけ姫”

単純に“舞台化”とは言っても、あくまでもクリエイターの感性というフィルターを通して、である。しかもキャリアの浅い劇団である。壮大で派手な演出は、もちろん、ない。舞台にあるのはクリエイター・キャストの作品に対する熱い想い。アシタカやサン達が懸命に今、この時を“生きる”という、それだけである。

しかし、観客のイメージはあの『もののけ姫』である。演出家のアレクサンドラ・ルターは会見で「自分たちなりの新しい解釈とアイディアと、同時に映画の素晴らしさ、お客様が映画から感じ取って下さった感動、といったもののバランスを取りながら共存させるのが難しかった」と語った。真摯に舞台に取り組む俳優たちの姿は清々しく、それが作品の精神にシンクロする。また、随所にスローモーションの動きを取り入れ、視覚的効果だけでなく、全体の構成の中でアクセントにもなっていた。これに関しては日本の伝統芸能、文楽にインスパイアーされたようである。
「文楽の人形遣いの方の細部にまでこだわる正確さは他に類を見ないものと感じました。この舞台でもスローモーションの動きを増やしまして、正確さをより追求いたしました」とアレクサンドラは語った。
衣裳、舞台セットは細部にこだわりをみせていたのが印象的。衣裳は古着を寄付してもらったとか。ここにも劇団の精神と作品のテーマが共鳴しあう。しかもイギリスの劇団の制作でありながら、どこか日本的になっていた。
「この『もののけ姫』という作品には神々への敬意ですとか、いにしえから続いているものへの敬意といった部分に日本的なものを感じます」とアレクサンドラは語っている。楽曲も久石譲のものを編曲しているが、日本的情緒を感じる仕上がりになっていた。その点でもクリエイターの作品へのリスペクトは高い。

注目度の高い、今回の『もののけ姫』、追加公演(5月6日 11時開演)もあり、さらに千秋楽はニコニコ動画での生中継も決まった。ジブリ作品初の舞台化『もののけ姫』、伝説は今、始まったばかり、である。

『Princess MONONOKE もののけ姫』
4月29日~5月6日
☆5月4日夜の回、終了後、イベント決定。
アシタカ役の松田洋治をゲストに迎えてのアフタートーク、あり。
アイアンシアタートーキョー
※英語版、日本語字幕付き。
/http://princess-mononoke.jp/

《animeanime》

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