「キックハート」で起こったこと ファン支援はアニメ制作を変えるのか? 湯浅政明監督、I.G石川光久社長 インタビュー 前編
日本の著名なアニメ監督によるひとつの企画が、世界の注目を浴びた。湯浅政明監督による短編アニメ『キックハート』である。製作プロジェクトが、米国のクラウドファンディングの大手Kickstarterに掲載されたことがきっかけだ。
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アニメ!アニメ!(以下AA)
資金集めの方法としてクラウドファンディングに可能性は感じられますか?
石川
パイロットフィルム的な物をつくるという場合には、良いのではないかと思います。ただ、クラウドファンディングという形で全てのビジネスを成功させるのはなかなか難しいです。
湯浅さんと湯浅組って、いまの日本のテレビアニメシリーズとか、パッケージビジネスの中ではなかなか入りづらいスタッフなんですよ。そういう人たちの才能が暴れられることを、ちっちゃいかもしれないけどパイロット的にやる。そういう才能のカタログになるんじゃないかなと。
あとは、3232人が企画支援のために世界中からクリックしてくれたこと。Kickstarterの会員数や、twitter上の話題の広がりを考えると、購入した人の1,000倍ぐらいの人が「キックハート」を見ているはずです。宣伝効果としては素晴らしいです。
AA
メディアだけでもすごく取り上げられていますね。
石川
オリジナル作品は、原作のある作品とくらべて認知度が弱いのが最大の欠点です。Kickstarter を活用したことで、世界中で何万人もの人が「キックハート」という作品を知ってくれて、更に3232人がお金を払ってくれた。
「ああ、海外にこんなにファンがいるじゃん」という宣伝にもなった。今まで見えていなかったいろいろなものが見えてきたと思うんです。
AA
それは金銭的なものとは別のメリットですね。
石川
クラウドファンディングがあったから、湯浅さんとこの企画をやろうと言ったわけじゃないんです。「100%近くI.Gが制作費を負担する価値がある作品」ということが元々あってスタートしたんです。
でも、作品が出来た後の宣伝をどうしようとか、営業どうしようとかって考えたときに、クラウドファンディングの意味があった。制作費を集めるというよりも、まずは作品の情報を「Kickstarter」サイトを通じて世界中の人が見てくれるということが大きかったですね。
AA
結果も出ました。
石川
目標金額を超えるのと超えないのでは、差が大きかったんじゃないかと思います。目標金額以上の支援が集まったから、更に注目度が上がったと思います。
これが不成立だったらと考えると、企画としては結構危険だったと思います。
《animeanime》
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