「キックハート」で起こったこと ファン支援はアニメ制作を変えるのか? 湯浅政明監督、I.G石川光久社長 インタビュー 前編
日本の著名なアニメ監督によるひとつの企画が、世界の注目を浴びた。湯浅政明監督による短編アニメ『キックハート』である。製作プロジェクトが、米国のクラウドファンディングの大手Kickstarterに掲載されたことがきっかけだ。
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■ Kickstarterの仕組み、その効果
AA
そこがいま難しいと思います。作品としては確かに人気はあるけれども、じゃあ、その好きな人たちがDVDを買うかというと必ずしもそうでない作品ジャンルがあります。
まさに今回はそこがクラウドファンディングに結びつき、いい感じに始まりました。三千数百人が『キックハート』に直接お金を出したのはすごいことですね。
石川
Kickstarterでは平均して1人60ドルぐらいの支援を受けることができました。それも10分間の作品で。Tシャツとかいろいろ付録がついたにしても、10分間の映像で60ドル(約5,400円) というのは、普通に考えても高価ですよね。
湯浅
海外で「日本のアニメが人気がある」って聞いても、実際にお金を出してくる人ってなかなかいなかったんです。でも今回、これだけ出してくれる人がいるんだと分かっただけでも、すごく手応えがありました。
AA
アニメは普通は作品が出るまで結果が分からないと思います。それが今回はどのくらいの人に、どの人に見てもらえるのか結果が先にあります。作る立場として何か変わったりするのですか。
湯浅
先にお金を出されると、プレッシャーになるなというのはちょっとあります。たくさんの人が支援してくれしてうれしい反面、こんなに盛り上がっちゃうと大丈夫かなとも思います。
でもそれに見合う作品ができそうなので、安心はしています。
AA
今回のKickstarterを使った流れはどうなっているのですか?
石川
Kickstarterの仕組みですが、支援者はアメリカのAmzon.comの支払いシステムを使って支援の約束をします。そして約束された金額の合計が目標に届いてKickstarter上で企画が成立すると、約束された額が引き落とされます。その際に、Kickstarterへ集まった金額の5%を、Amazon.comへ3%を手数料として支払います。集まった金額全体から、これら8%ぐらいが引かれた金額が弊社の米国法人であるIG USAに入金されます。
石川
あと。Kickstarterのウェブサイトでは支援募集が終わっ後もPayPalで、引き続き追加の支援募集をしました。Kickstarterへの手数料はありませんので、PayPalの手数料が差し引かれた額が入金されます。
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