「ソーシャルゲームのすごい仕組み」 いま何が起きているか理解する最適の1冊
今年4月にアスキー新書より発刊された『ソーシャルゲームのすごい仕組み』は、分かりやすく、同時に深みを持った著作だ。著者のまつもとあつしは、ITや電子書籍、アニメなど幅広いジャンルをカバーする
コラム・レビュー
書評
注目記事
-
「名探偵コナン 黒鉄の魚影」声優キャスト・あらすじ・登場キャラクターまとめ【金曜ロードショー放送】
-
「ヱヴァ」ソーシャルゲーム GREEでユーザー100万人突破
-
『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』、無双系主人公じゃないからこそ“刺さる”物語
丁寧な仕組みの説明と論点の提示は、取り上げられる分野に必ずしも詳しくない人が全体像を把握することの大きな助けになる。導入をやさしくすることで、同時により深い考察を可能にする。入門書であると同時に、スペシャリストにも満足いく内容となっている。
『ソーシャルゲームのすごい仕組み』も、まさにそうした本だ。前半は、そもそもソーシャルゲームとは何かからスタートする。さらにその誕生から現在に至る歴史を追うことで、いま社会で起こっていることへの理解に及ぶ。
破竹の勢いで成長するソーシャルゲーム業界が、多くの人の耳目を集めている。また、ビジネスモデルの成否について、議論が沸騰している。しかし、実際にソーシャルゲームをやったことのない人も意外に多い。
本書を読むとソーシャルゲームの未経験者でも、その成り立ちや仕組みが理解出来る。また、的確に組み立てられた構成は、ソーシャルゲームをよく知る人にとってはあらためて事実を確認する場となるに違いない。
後半部分は、ソーシャルゲームのより深い部分に切り込んでいく。RMTと呼ばれるゲームアイテムの現金化問題、偶然性と射幸心に絡むガチャと呼ばれシステム、高額の課金アイテムの支払いをするユーザーの問題などが取り上げられていく。
議論の多い問題だが、著者自身の考え方に押しつけがましさはない。むしろ、問題取り上げ方に、その考えは反映されている。そして、最後にリアルの世界のゲームであるトレーディングカードゲーム(TCG)でいかにゲームの規範が築かれているかに触れる。TCGの経験が、ソーシャルゲームにも活かせるのでないかとの指摘でのまとめは意外な結論だった。
『ソーシャルゲームのすごい仕組み』
アスキー新書
まつもとあつし
/http://index.ascii.jp/elem/000/000/010/10442/
定価: 780円(本体価格:743円)
発売日: 2012年4月10日
CrazyTalk03
「アニメビジネスをカジュアルに語る」
~『コンテンツビジネス・デジタルシフト―映像の新しい消費形態』発売記念
平成24年5月12日 18:00-22:00
Cafe Bar SIXTEEN 3F イベントスペース (東京都千代田区外神田3-11-3 )
『ソーシャルゲームのすごい仕組み』の著者まつもとあつしさん、『ハルヒ in USA 日本アニメ国際化の研究』の著者三原龍太郎さんがアニメビジネスについて語るイベントが5月12日にCrazyJapanの主催にて秋葉原で開催されます。
詳しくはこちら。
/http://www.animeanime.biz/event-release-info/12428/
/http://atnd.org/events/28354
《animeanime》
特集
この記事の写真
/