
鳥羽プロデューサーによれば、竹氏のイラストを忠実にアニメ化するという点については最後まで悩んだのだという。ただ、周りの総意も含め、単純にアニメファンに対して作品を出すのであれば変えるべきだが、そうならないのが『刀語』だという決意を固めたとのこと。作り手の作品に対する並々ならない思いが垣間見えた一瞬だ。
小説をアニメ化するうえで注意したこととして、高橋氏は「活字の並びとしてどうか」を強く意識して小説を書き進めていく西尾氏の執筆スタイルを指摘。「七花八裂」のような奥義も、この字を見て読者が「強そうなイメージ」と感じさえすれば、以降のイマジネーションは読者に委ねるといったスタンスを貫いてきたという。従って、技の設定画を見て「こんな技だったんですね。」と西尾氏が納得していたというエピソードを引き合いに出しながら、西尾小説は、活字ならではの面白さを追求するがゆえ作家自身にビジュアルイメージはないこの作品のアクションを如何に動画で表現するか真剣に考えたとのことだ。
思い入れのあるキャラクターについて、鳥羽プロデューサーはとがめを即座に押して観客の笑いを誘った。一方、高橋氏は、主人公鑢七花をあげ、一刀の刀として育てられた七花が、作品の中での出会いと戦いを通して人として成長していく姿を見て欲しいと訴えた。また、敵役の魅力についても言及。第一話の真庭蝙蝠という「忍ばない忍者」からはじまる総計12人の刺客は「完全に芸人」と高橋氏。キャラの数としては西尾作品の中でも多いということもあり、今後、それぞれの敵役がどのような生きざまを示すのかに期待がかかる。
プロデュースのプロとしてアニメ産業に携わる意義


テレビアニメを1カ月も先行して、しかもシアター型の大画面で観賞が出来たこと、そしてプロデュース側の意図や思いをトークセッションで改めて確認出来たことから、イベントの参加者の多くが、イベント終了後も鳥羽プロデューサー、ならびに高橋氏につめよるなど、興奮を隠しきれない様子だった。『刀語』第一話は1月25日にフジテレビ、27日には、毎日放送、BSフジは30日から順次放送が予定されている。期待がかかる一作だ。
作品画像: ©西尾維新 / 講談社 ©西尾維新・講談社 / 「刀語」製作委員会
/『刀語』第一話、立命館大学にて先行試写会‐1‐ へ戻る

『刀語』 公式サイト /http://www.katanagatari.com/