総額500万円という高額の賞金だけでなく、受賞後にクリエイターたちがプロとして活躍出来るように積極的にサポートするのが魅力のコンテストになっている。これまでの受賞者には、実際にプロとなっている人も少なく、ネットやモバイルで活躍することを目指すクリエイターには見逃せない賞となっている。
時代の変化の激しいデジタルの世界だが、賞の内容も時代の流れに応じて変化している。2009年はこれまで設けてきた部門を外し、応募作品を「コミック」と「アニメ」に絞った。
その結果、コミティア代表で審査委員代表として挨拶した中村公彦氏が、マンガとアニメとも見分けがつかない作品が出来てきたと指摘するように、デジタル時代に相応しい応募作品が増加した。また、総評でもこれまでにないレベルの高い作品が集まったと指摘されるなど、デジタルコンテンツ独特のコンテストとしてのデジタル・コミックス大賞の認知度の高まりを感じさせた。

大賞はancouさんの『田んぼの記憶』、「今までのコミックは異なる独特の空間表現、映像化を意識したような絵コンテようなの作画タッチの中に、非日常的なストーリーが違和感無く埋め込まれている」と、審査委員から高く評価された。また、準大賞は久海夏輝さんの作品『SORA』である。幻想的な映像と16分という個人制作とは思えない尺の長さが、審査委員に驚きを与えていた。
受賞者たちはその挨拶で、賞に決定した喜びを語った。思わぬ受賞と語る受賞者が多く、デジタル・コミックス大賞が才能発掘に大きな力を発揮していることを伺わせた。
今回の受賞作品のうちコミックス部門5作品については、授賞式が行われた10月28日より「ワンコミ」の特設ページにて配信を開始している。
有料の「ワンコミ」登録会員になると、この5作品は無料で閲覧することが出来る。デジタル・コミックの新たな才能を確認する、いい機会になるだろう。
*写真は準大賞『SORA』の久海夏輝さん
デジタル・コミック大賞 公式サイト /http://mcomic.jp/dca2009/index.html

大賞: 『田んぼの記憶』 ancou

準大賞: 『SORA』 久海夏輝
ワンコミ
