立命館大学で、クリエイティブスピリットについて大いに語る
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『センコロール』は講談社アフタヌーン四季賞にて四季大賞を受賞した宇木敦哉氏が個人で制作した30分の劇場用アニメーション。現在、東京の池袋テアトルダイヤ、並びに大阪のテアトル梅田で公開中だ。
当日、ゲストとして登壇したのは、宇木敦哉監督、本作品のエグゼクティブプロデューサーで株式会社シンク取締役の竹内宏彰氏、そしてアニプレックス側からエグゼクティブプロデューサーの岩上敦宏氏の3人。
これに加え、立命館大学客員教授で、『アルプスの少女ハイジ』、『母をたずねて三千里』の作画監督や『ポケットモンスター』シリーズの監修などで知られる小田部羊一氏が参加した。会場は、冒頭の試写会も含め、同学部の地下にあるシアター型教室でおこなわれた。
『センコロール』は現在公開されている東京、大阪以外では、初公開であることもあり、会場は70名もの参加者で湧きかえった。
何かを表現したいという強い思いの先にアニメがあった
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もともと北海道の教育系大学で美術全般について学びながら何かを表現したいという思いをもっていたものの、当初アニメはその表現方法のひとつとしてしか認識がなかったとのこと。各種漫画賞などに自身の漫画を投稿しつつ、ショートアニメを手書きで制作。それを竹内氏に見せたことが『センコロール』制作のきっかけになったという。
竹内氏は、最初にすこしだけ見たときは、CGで作った一般的な動画に見えたもののそれが手書きだということを聞いて驚愕したとのこと。
「宇木監督の作品の特徴は『動画がいきいきと動く』これに尽きます」と宇木による作品の魅力について竹内氏は語り、その才能に惚れこんだ事がすべての始まりであるとした。
一方、岩上氏はYou tubeの動画革命東京チャンネルで『センコロール』のトレーラーを見つけたのがこの作品をアニプレックスでプロデュースしていくきっかけであったことを指摘。作品の全てが個人で作られていた事にやはり衝撃を覚えたと、当時の心境を吐露した。
精緻に作りこまれた映像の連続でありながら、制作環境は、つくりはじめの頃は「iMac」、制作後半はノートPCと大変シンプルなもの。ソフトも「Photoshop」と、「After Effect」、編集は「Premiere」でと、参加者にとってもなじみ深いツール群によって開発されたという事実を聞いた瞬間、驚きを隠せないといった雰囲気で会場が一瞬どよめいた。
/後編(インスピレーション重視の漫画的ストーリー構築/小田部羊一教授も絶賛!宇木監督の作画能力)に続く
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(c)宇木敦哉/アニプレックス