作品は、コマ撮り撮影で制作されている。コマ撮りで制作されるストップモーション作品は、粘土を素材としたクレイアニメーション、人形を素材としたパペットアニメーションなどが知られている。そのうち実写の人物や風景などの写真を素材としたものは、ピクシレーションと称される。
『オオカミはブタを食べようと思った。』が凝っているのは、屋外で撮影したものを、さらにプリントアウトして屋内でそれらを撮影して素材にしている点だ。
竹内氏は武蔵野美術大学大学院の卒業であるが、進学前は九州大学芸術工学部に在学していた。作中にも大学の周辺が登場する。九州大学芸術工学部は、最近では『イヴの時間』などの吉浦康裕氏や『森の安藤』などの谷口崇氏らを輩出している。

写真: 『オオカミはブタを食べようと思った。』のロケ地
『オオカミはブタを食べようと思った。』は、一昨年関西テレビ主催のBACA-JA2007で最優秀作となっているほか、デジスタ・アウォード2008の映像部門でファイナリストとなっていた。
同じくBACA-JA2007で優秀作だった横田将士氏の『いくえみの残像』も同様の手法を用いて制作されている。また横田氏は第14回学生CGコンテストの動画部門で『記憶全景』が最優秀賞を受賞した。こちらも同じ手法が採られている。
『オオカミはブタを食べようと思った。』の配信は今回が初めてではなく、BACA-JAの公式サイトでも当時配信されていた。また、デジタル・スタジアムの公式サイトでも作品の一部が配信されている。
しかし、今回はYouTubeという巨大配信サイトが威力を発揮した。公開後から反響を呼び、ニューヨークタイムズのブログで紹介されるなど、瞬く間に全世界で話題となったのだ。そして今もなお再生数が伸び続けている。
【真狩祐志】
『オオカミはブタを食べようと思った。』
/http://www.youtube.com/watch?v=rmkLlVzUBn4
無重力とザクロドクロ(竹内泰人) /http://dokugyunyu.boo.jp/
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