Flashに対する誤解や偏見 ソフトウェア業界の攻防
2000年以降のブロードバンド化につれ、2003年にYahoo!動画、2004年にGyaOが開始された。それらはマイクロソフトのWindows Media Video(wmv)で現在も配信が行われている。
その一方でマクロメディアは、Flashをデザイナー向けのツールから、より汎用性のあるコンテ
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その一方でマクロメディアは、Flashをデザイナー向けのツールから、より汎用性のあるコンテンツ制作を行えるよう政策を推し進めていた。その動きは2005年にアドビがマクロメディアを買収した後も変わらない。このFlashを利用した主な配信サービスは、2005年にYouTube、2006年にニコニコ動画が登場している。また、ヤフーはYahoo!動画とは別に昨年開設したオフィシャルチャンネルでFlashを採用した。
Flashの誕生から10周年となった2006年、アドビは映像制作者へFlashとAfter Effectsなどとの併用の推奨を始めた。それと同時に、Flashのプログラム言語の最新バージョンであるActionScript 3で開発者の関心を集めることにも成功した。
現在、Flashに関しては開発者向けの情報が圧倒的に多い。しかし、ここではアニメーションを含む映像制作に絞って話を進めていきたい。
【Flashに対する誤解や偏見】
これまでFlashで制作された作品は容量が軽いと言われてきた。それはswfファイルで書き出されていたから軽かったわけではない。実際には、ベクター形式の描画が多い作品に限られている。
写真やアドビのPhotoshopなどで描画されたラスター形式と異なり、ベクター形式が優れているのは解像度がフリーである点だ。ただ、今後HDが標準となる中で、ベクター形式は制作の際に強みにはなる。しかし、指定する解像度によってはムービーで書き出す際に時間を要する点はあまり変わらない。
swfファイルで書き出したとしても、作画枚数が多かったり、グラデーションなどを多用した場合には動作が重くなる欠点もある。このため、他のムービー形式で書き出した方が再生がスムーズな場合もある。
ベクター形式の描画機能はFlashだけにあるわけではなく、以前からアドビのIllustratorやマイクロソフトのPower Pointなどにも搭載されている。また、書き出したpdfファイルやpptファイルなども、描画情報は保持される。
そして一部の3Dソフトなどからでも、swfファイルやベクター形式で書き出すことが可能である。それらの多くは、描線の境界がハッキリしているうえに奥行きが殆どない。
そのため、それらしく作られた作品とFlashアニメとが並んで紹介されていると、視聴者は前者もFlashアニメであると勘違いしやすい。それ以前に、それらしく見えない2D作品にもFlashが使われていたりする場合もあるので、見た目での判断は不可能である。
また、アニメーション制作の際に画像や音声のファイルも読み込んだりするように、swfファイルにもムービーを埋め込むことが可能である。そして、ムービーの埋め込みよりも多く見られるのは、swfファイルをムービープレーヤーとして外部に置かれたムービーを呼び出して再生する方法である。これは動画共有サイトの普及により認知度が上がることになった。
以前から全面的にFlashをインターフェースとして使用した企業のサイトなどでは上記の方法が採用されていた。マスクが抜かれた実写の人物など、デザインの1つとしてムービーが組み込まれており、シークバーも表示されないので気づかれにくいのである。
一方、2003年に登場した高画質の圧縮形式であるH.264が、昨年辺りから広く知られるようになったのも大きい。それのファイル形式はmp4だが、これもFlashプレーヤーが再生するのはswfやflv(Flash Video)といったファイル形式のみでないという認識を広めた。
Flashの話で何よりもややこしいのは、文脈でその都度ソフトなのか作品なのかインターフェースなのかを判断しなければならないことである。視聴者が混乱する原因がここにある。
【ソフトウェア業界の攻防】
昨年もまたソフトウェア大手で動きがあった。2005年はアドビがマクロメディアを買収した一方で、3DCGソフトの3ds maxで知られるオートデスクも、同じく3DCGソフトのMayaを開発していたエイリアスを買収している。
そのオートデスクが昨年10月にアビッドの買収を発表し、同年11月までに買収を完了した。アビッドはSoftimage XSIを開発していた会社である。この買収により映画やゲームなど、業務用として業界標準となっている4大3DCGソフトのうち、ニューテックのLightWaveを除く3つがオートデスクの手中に入ったことになる。
また先月はアドビから製品群Creative Suite 4の日本語版が発売された。これにはFlashやAfter Effectsなどの最新バージョンも含まれている。一方、セルシスも同月にRETAS STUDIOを発売している。
このRETAS STUDIOはRETAS! Proとして発売していたものを、同等の機能を備えたまま3万円台に大幅値下げしたものである。この価格帯のアドビ製品は、Photoshop ElementsとPremiere Elementsがある。それぞれの単体価格は1万5000円程度だが、アニメーション制作で前者を作画・彩色、後者を撮影・編集として使うことも可能である。
【真狩祐志】
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