パネリストはアニメ監督の今 敏 さん、アニメーション史研究家の渡辺泰さん、アニメーション評論家 氷川竜介さんの3人、司会は評論家の切通理作さんが行った。
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渡辺さんは日本のアニメーションは1917年に下川凹天さんが制作してから、今年でちょうど90年にあたることを説明した。また同時期にパイオニアとして活躍した幸内純一さんに教えを請うた大藤信郎さんにも触れた。
大藤さんは自主製作した『くじら』という影絵アニメーションでカンヌに入賞し、海外から高い評価を受けたという。その後、カラーフィルムやシネスコなど数々の手法を作り出した。その没後、財産が毎日映画コンクールに寄託され、現在広く知られているアニメーションのための大藤信郎賞が設けられた。
今回パネルに登場した今 敏監督は『千年女優』と『東京ゴッドファーザーズ』で大藤信郎賞それに大藤賞から分かれたアニメーション映画賞両方の賞を受賞しているなど、日本アニメーションの黎明期からの歴史全般を振り返った。
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さらに氷川さんは、視聴側の環境変化についても述べた。かつてのお茶の間で見ていたアニメが、現在は深夜アニメが多くなったことによるスポンサードへの影響があることを指摘する。
このため、かつてのスポンサードをしていた玩具メーカーなどからビデオグラムを販売するメーカーへと、製作ビジネスが変化した。
また、制作ハードウェアの環境変化が起きている。新海誠監督の『ほしのこえ』のようにPCで作ることも可能になり、作品内容も多くの人に見てもらうためのものから、パーソナルな感情に訴えるものが出現したと解説した。
これは、初期のアニメーションが小型映画から始まったことと比較し、「一周回って戻ってきた」との見解を示した。そして、発表の場もYoutubeなどによって世界に向けて個人でできるようになったため、視聴者の顔を見据えて、作家として何を表現したいかがより重要なものとなってきているという。
さらに今回参加した唯一のクリエイターである今さんは、自身の作品のテーマ設定について、他のクリエイターが扱っているものに追従することに興味がなく、敢えて他の人が扱わないものを「非主流」的に考えていると説明する。
この立場は、いつか中央に出て変化する可能性を秘めていることが面白く、そのことに興味を持っているのだと話した。
【日詰明嘉】
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