アニメエキスポ アメリカのコスプレイヤーから学ぶこと
日本でもアメリカにアニメファンが多いということは、見聞きすることができるし、人気タイトルが何かも分かる。ただ、彼らがどう楽しんでいるのかや、何を面白がっているのかは、日本にいるだけでは、本当のところ、息吹までは分からない。
だから、アニメエキスポ
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だから、アニメエキスポを体験して、最も意義深かったのはアメリカのアニメファンと実際に交流ができたことである。
アニメエキスポ参加者のコスプレ率は、コミケやゲームショウとは比べ物にならない。コスプレ文化が根付いているお国柄というものは大きい。会場は広く、陽気はからっとして過ごしやすい空気だ。写真撮影にも規制はないし、アピールを上手に育てる文化もあってか表情も豊かだ。衣装もよくできている。
プラモ作りが苦手な彼らを、不器用と言う人もいるが、このサイズになれば実に凝った物を作ってくる。日本のように既製の衣装が多く流通しているわけでもないのに、何をベースに、どんな資料をもとに作るのかわからないが、キャラクターを見事に再現するのである(もちろん彼らの多くは、平均的に日本人よりも足が長く、スタイル面でかなり得をしているのもあるが、それは作品情報の少なさとバーターということで)。
日本で人気の作品は、概ねアメリカでも人気である。「涼宮ハルヒ」は、DVD発売直後だというのに人気だった。多いときは1分間に3人ものハルヒを見たときには驚かされた。それもグループではなくそれぞれが個々人である。
日本以上に人気を博す作品もある。少年ジャンプ原作の『BLEACH』は、いわゆるサムライ物という扱いで、作中の重要団体「護廷十三隊」は全員分を見つけられるほど、多くの人がコスプレをしていた。
一方で、放送の状況によって人気が出なかった作品もある。「テニスの王子様」はスポーツものがアメリカでヒットしない法則の通り、コスプレイヤーも皆無であった。
また、“ゴシックもの”は人気が高い。『ヘルシング』『デビルメイクライ』、そして『デスノート』は、ヴィジュアルイメージから作品のファンになったのかと思われるほど、衣装の細かい部分や化粧が馴染んでいる。
これらの趣味を持つことは、個性を尊重するアメリカ社会でもマイノリティだろう。だから、お互いの交流がとても大きい。同じ作品のコスプレをやっていっしょに店を回っているから、友人同士かと思ったら、全く別の街から来た人たちで現場で意気投合した人たちもいた。
彼らには秋葉原や原宿のように、「いつでも帰れる場所」を持たない。だから、日本ほどオタク文化が広まっていない分、逆説的にこの空間と友人を大事にしている面がある。豊かになった分、失ったものがあるなどと、高度経済成長期の文化人ようなことは言いたくはないが、人と人が作り上げていく文化産業において、現場でのちょっとしたファン同士の交流が少なくなっているのには(一部の同人誌即売会では、まだ残っていると思えるが)、淋しさを禁じえない。
サブカルチャーとして入ってきたファン、子ども心のままに大きくなってきたアニメファン、ゲームなどのメディアミックスをきっかけにしたファン、せっかくフラットな世界を作り出したのだから、対作品に対してだけではなく、もっとファン活動同士をリスペクトできるような関係を考えさせられた。
【日詰明嘉】
アニメエキスポ2007公式サイト /http://www.anime-expo.org
《animeanime》