NHK交響楽団×「青のオーケストラ」SPコンサートで体感した“本物の音”。アニメとの“共鳴”で感じたクラシックの未来をキンボー・イシイ&東亮汰・山田友里恵が語る【インタビュー&レポ】 | アニメ!アニメ!

NHK交響楽団×「青のオーケストラ」SPコンサートで体感した“本物の音”。アニメとの“共鳴”で感じたクラシックの未来をキンボー・イシイ&東亮汰・山田友里恵が語る【インタビュー&レポ】

NHK交響楽団とアニメ「青のオーケストラ」によるコンサートが開催された。終演後、指揮者とヴァイオリン演奏の二人にインタビューを敢行。クラシック音楽の未来についてお話を伺った。

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放送100年 N響 × アニメ「青のオーケストラ」スペシャル・コンサート(写真提供:NHK交響楽団)
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2026年に創立100周年を迎えるNHK交響楽団(以下:N響)が、2025年12月8日 NHKホールにて、キンボー・イシイを指揮に迎え、アニメ「青のオーケストラ」の劇中で主人公・青野 一や秋音律子たちが演奏している楽曲を響かせた。アニメーションをテーマにコンサートを開催するのは楽団として2023年に続き2度目となる。

ステージでは、画面の中で青野たちオケ部の生徒たちが生き生きと鮮やかに奏でたクラシックの名曲を、N響が最高峰の響きで届け、観客を圧倒していく。そして実際にアニメの劇中で青野と律子のヴァイオリン演奏を担当した2人のヴァイオリニスト・東亮汰と山田友里恵もゲストとして演奏を披露。さらに声を演じる佐伯 直役の土屋神葉、佐久間優介役の神谷浩史も登場し、軽快なトークで場を楽しませた。この模様は、2026年1月18日(日)NHK Eテレで放送される予定だ。

今回、終演後にキンボー・イシイ、東亮汰と山田友里恵に話を伺う機会を得た。音楽がテーマのアニメーションだからこそ行われた本公演について、そしてクラシック音楽とアニメーションについて、公演のレポートと共にお伝えする。

アニメーションによって開かれたクラシック音楽で感じる新しい喜び

(左から)指揮者キンボー・イシイ、ヴァイオリニスト東亮汰、ヴァイオリニスト山田友里恵

――本日のコンサートの感想をお願いします。

キンボー・イシイ(以下:イシイ)テンションがアガりますよね。若い才能とご一緒するというのは。こういう機会は一期一会みたいな感じだけど、一つひとつの音を大切に、みんなと分かち合えるというのは本当に貴重な体験だったと思います。こういう機会をいただいて、本当にありがとうございます。そのひと言に尽きます。

東亮汰(以下:東)本当に楽しかったです。NHKホールでN響のみなさんが演奏されているというのは、テレビでもよく観ている画なので、そこにご一緒させていただけることがすごく光栄でしたし、ステージをしっかり楽しむことができたかなと思います。

(左から)指揮者キンボー・イシイ、ヴァイオリニスト東亮汰

山田友里恵(以下:山田)第一部から裏で演奏を聴かせていただいていたのですが、演奏を聴いているうちにどんどんワクワクしてきて、緊張もほぐれてきて、本番は本当に楽しく演奏することができました。

――今回はアニメ「青のオーケストラ」のコンサートとなりましたが、作品の印象をお聞かせください。マエストロは非常に原作コミックを読み込んでいらしたとの事前情報をスタッフさんからいただいたのですが

イシイ僕は帰国子女なのですが、マンガというと「ドカベン」と「エースをねらえ!」くらいしか知らなかったんです。だからこれが3作目だと思うのですが、本当に見入ってしまいまして。60歳近いおじさんが新幹線でカバーもかけないで読んでいたので、周りの人は変な人だと思ったかもしれないですが、そこでも没頭してしまうくらい流れの奇麗なストーリーでした。

山田今日のお客さんの顔触れを見ていても、一喜一憂してくださっている感じがして。初めてクラシックコンサートを聴いてくださっている方もいるのかなと思ったり、アニメからクラシック音楽に興味を持ってくださっている方もいらっしゃったりするのかなということを感じました。

ヴァイオリニスト東亮汰

この作品によって初めてオーケストラに興味を持ってくださったり、ヴァイオリンに初めて興味を持ってくださったりする方が実際にたくさんコンサートに足を運んでくださっていたのを感じました。そうした声を聞くたびに、すごく影響力があり、新しい世界へと繋いでくださっている作品だなと感じますし、クラシック奏者の一人としてもクラシック音楽を楽しんでくださる方が一人でも増えて続けていることをとても嬉しく感じています。

何百年も続いてきたクラシック音楽の線が「青のオーケストラ」によって太く強くなる

指揮者キンボー・イシイ

――今回は演奏するオケの後ろのスクリーンに映像も流れていました。

イシイとにかく目に入ったのは鮎川先生の指揮のうまさでした。圧倒されました。あっちの方がうまいじゃん!って(笑)。でもアニメの設定よりもりっちゃん(秋音律子)なんて(山田が演奏するので)上手いわけですよ。「青のオーケストラ」の中にいる彼女よりも。もちろんハジメくん(青野 一)もそうですが。(東は青野の)お父さんにも勝っていると思うくらい素晴らしい演奏でした。指揮者だけだな。鮎川に負けちゃっていたかな(笑)?

――劇伴の人気も高まっており、アニメのオーケストラコンサートも多く開催されていますが、クラシック音楽とアニメカルチャーが近づいてきた今、みなさんが期待されるのはどんなことですか?

イシイクラシック音楽というのは何百年も続いていますが、近年あまりにもあって当たり前のように引き継がれてきている感じがして、線は細く長くなっている。そうしていくうちにいつか線の繊維が壊れてしまうかもしれなかったものを、こういう作品によってまた線が太くなっている。さらにまた次の100年、200年とモーツアルトやチャイコフスキーが引き継がれていくと思うと、胸が高鳴ります。

実際に新たにクラシック音楽やヴァイオリンに興味を持ってくださる方が増えていて、この作品からヴァイオリン自体を始めてくれたという子供たちもたくさんいますし、大人の方でも「このアニメをきっかけにヴァイオリンを始めました」と言ってくださる方がたくさんいらっしゃって。そういうクラシックを愛する人が増えているというのは、アニメの力を借りることで新しい層に届いている気がするので、こうしたアニメを通してクラシックの魅力を伝えていくことは僕自身もこれからもやっていけたらいいなと思っていますし、クラシック奏者の一人として魅力を伝え続けていけるように精進していきたいと思っています。

ヴァイオリニスト山田友里恵

山田ステージに出て、お子さんもたくさん来場されているのが見えてびっくりしました。そもそもマンガを読むだけだと音はないので、雰囲気で察するしかないですけど、アニメになって音がついて、やっと「こんな感じなのか」とわかる人もいるだろうし、マンガがアニメになることはいいことだなと思います。

いいとこ取りのバラエティボックスみたいなプログラム。アニメファンにとってはお気に入りの一曲を見つける楽しみも

(左から)指揮者キンボー・イシイ、ヴァイオリニスト東亮汰、ヴァイオリニスト山田友里恵

――では最後に今回のコンサートの様子が放送されるのを前に、見どころを教えてください。

イシイ音自体は目で見えないですし、触れないものですが、こうした企画によって可視化して、音を形にして立体化して伝えることができます。みなさんにそうした立体感のある輝かしい演奏を楽しんでいただけたらと思います。

今日のコンサートはクラシックでもさまざまな楽曲、オーケストラが関わるものとしてもバッハのような小規模なものから「新世界」のような大きな作品では響きの厚みとかも全然違いますし、それぞれの作品のキャラクターも全然違う作品で。そんないいとこ取りのバラエティボックスみたいな魅力的なプログラムになっているので、ぜひ聴いてくださるみなさんもお気に入りの一曲などを見つけていただけたらなと思います。

山田今回はオケの曲も私たちの演奏も抜粋だったので、ほかの楽章も聴きたいと思ってくださる方も多いと思うので、今後いろんなコンサートへの興味を持っていただける機会になるかなと思います。あとはアナウンサーの方や声優のみなさんが面白くトークをしてくださっているので、今まで「青のオーケストラ」を観てこなかった方も、このコンサートで作品を知って、アニメを観るきっかけになるかと思います。ぜひ楽しんでください

レポート:クラシック音楽と物語の両方に触れることのできる稀有なステージ

放送100年 N響 × アニメ「青のオーケストラ」スペシャル・コンサート(写真提供:NHK交響楽団)

コンサート会場までの道が「青の洞窟」として知られるイルミネーションによって青く染まっていた年の瀬2025年12月8日のNHKホールでは満員の観客が開演を待ちわびている。そんなステージにN響の演奏者が登壇すると、大きな拍手が沸き、クリスマスムードを高めるような「クリスマス・メドレー」からコンサートはスタート。アニメ「青のオーケストラ」の物語へと入り込むまでのイントロダクションのように耳馴染みのある名曲が美しい層の厚いオーケストラによって奏でられる。ここでNHKの林田理沙アナウンサーが、佐伯 直役の土屋神葉、佐久間優介役の神谷浩史らと共にステージへ。トークにより観客を誘っていく。

(左から)神谷浩史、土屋神葉、林田理沙アナウンサー(写真提供:NHK交響楽団)

アニメ映像で作品のあらすじを紹介しながら進行していくオーケストラコンサートは、Season1でオーケストラのコンクール強豪校である海幕高校オーケストラ部の定期公演曲として物語の軸となっていたドヴォルザークの交響曲 第9番「新世界から」の第4楽章から本格的に幕を開ける。作中で定期演奏会のプログラムの一曲であったチャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」より「花のワルツ」や、Season2で海幕高校オケ部が全国コンクールで演奏したサン・サーンスの歌劇『サムソンとデリラ』の間奏曲「バッカナール」など、楽曲はどれも印象的なシーンで響いたものばかり。表情に感情の乗るイシイの指揮の元、時に映像とシンクロし、時にストーリーを見た時のことを思い出させるように奏でられるオーケストラの旋律が観客に届くと、一曲一曲に大きな拍手が送られた。

放送100年 N響 × アニメ「青のオーケストラ」スペシャル・コンサート(写真提供:NHK交響楽団)

コンサ-トの第二部は、律子が母の誕生日のために青野と演奏したバッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」から始まった。律子の、そして青野の演奏をアニメでも担当した山田と東が登場し、凛とした律子の音と、自信と存在感とを放つ青野の音を思わせる2人の演奏が観客を飲み込んでいく。

放送100年 N響 × アニメ「青のオーケストラ」スペシャル・コンサート(写真提供:NHK交響楽団)

楽曲の間に入る声優、そして演奏者のトークでアニメ制作の裏側の話を聞きながら、映像と演奏では作品に入り込むような感覚を味わえる演奏会。昨今の劇伴音楽のオーケストラコンサートとは違う構成で、クラシック音楽と物語に触れることのできる稀有な機会だと感じる。最後はアニメの未来を見せる楽曲まで「青のオーケストラ」に近づく濃厚なコンサートによって、また改めてアニメを振り返りたいと感じさせたのだった。

N響 × 青のオーケストラ スペシャル・コンサート

NHK交響楽団×「青のオーケストラ」SPコンサートで体感した“本物の音”。アニメとの“共鳴”で感じたクラシックの未来をキンボー・イシイ&東亮汰・山田友里恵が語る【インタビュー&レポ】

【出演】
指揮 キンボー・イシイ
ヴァイオリン 東亮汰(劇中で主人公・青野 一の演奏を担当)
ヴァイオリン 山田友里恵(劇中で秋音律子の演奏を担当)
ゲスト 土屋神葉(佐伯 直役)
ゲスト 神谷浩史(佐久間優介役)
司会 林田理沙 アナウンサー

【コンサート演奏曲名】
クリスマス・メドレー(もろびとこぞりて~アヴェ・マリア~ハレルヤ・コーラス/萩森英明編)
ドヴォルザーク/交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界から」― 第4楽章
チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71a ―「花のワルツ」
サン・サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」―「バッカナール」
バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043 ― 第1楽章、第3楽章
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 ― 第1楽章から
芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽

【放送】(予定)
NHK Eテレ 2026年1月18日(日)午後4:00(60分)


アニメ「青のオーケストラ Season2」
【スタッフ】
原作:阿久井真
監督:岸誠二
シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン:森田和明
音響監督:飯田里樹
音楽:はらかなこ 小瀬村晶
アニメーション制作:日本アニメーション
制作・著作:NHK NHKエンタープライズ 日本アニメーション

【放送】
NHK Eテレ 毎週日曜午後5:00 (再)毎週木曜午後7:20  https://one.nhk/aooke

(C)阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

《えびさわなち》

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