日中テレビ番組交流シンポジウム:レポート
10月26日に東京・赤坂の日本貿易振興機構で「日中テレビ番組交流シンポジウム」が開催された。
シンポジウムは中国のコンテンツ・メディアを管理する国家広電総局に、中国の2大メディアコングロマリットあるCCTVと上海メディアグループの代表が加わった。中国の放送
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シンポジウムは中国のコンテンツ・メディアを管理する国家広電総局に、中国の2大メディアコングロマリットあるCCTVと上海メディアグループの代表が加わった。中国の放送メディアの核となる団体の代表が顔を揃える興味深いものとなった。
タイトルはシンポジウムとなっているが、実際には国家広播電影電視総局のテレビドラマ部門企画処長の宋魯曼氏とCCTV中国国際電視総公司番組制作部の賈暁晨氏、CCTV中視鴻運視聴制作有限公司の張魯燕氏、上海メディアグループ映画・ドラマセンター魯書潮氏がそれぞれ講演会形式でそれぞれの組織の特徴と現状、それに日本とのビジネスについて語った。
日本のドラマに熱い視線
各氏に共通して感じられかつ驚かされたのは、中国側が日本のテレビ番組の導入に対して非常に高い意欲を持っていることである。この理由には、講演のなかで度々触れられた韓国のテレビドラムに関係があるようだ。
中視鴻運視聴制作有限公司の張氏によれば、中国の行政及び放送局の海外作品導入の基本は一箇所に集中しないことである。韓国ドラマは中国での放送量が増えすぎて規制の対象となっているようだ。その代わりとして日本のドラマに関心を深めているというわけである。
しかし、日本の番組の放送にあたっては問題も多いと言う。それは番組制作者との直接交渉が難しい点、日本のコンテンツの価格が高い点、さらに日本のドラマの内容が中国に合わないことである。
90年代以降日本のドラマは急激に変化してしまい、現在の中国の主な視聴者の実感とかけ離れたものになっているという。このため中国では、近年『おしん』や『赤いシリーズ』など日本の80年代のテレビ番組の買付けも行なっている。
それでも出来るだけ多く日本のテレビ番組を導入したいと熱意の溢れた講演となっていた。
アニメ番組は依然厳しい環境
テレビ番組・ドラマについては積極的なビジネスを呼びかけた放送2社だが、アニメ番組になると歯切れが悪かった。
講演の中では両社とも自社のアニメ制作や放映には積極的にふれたが、日本とのビジネスにはほとんど言及しなかった。
講演後には、今年中国全土で導入されたゴールデンタイムのアニメ放映禁止に対して質問があった。しかし、これには地方局の制作体制の遅れについて言及されたのみであった。
しかし、このトピックに関して、アニメが巨大なアニメ産業と結びついていることにもふれている。つまり、アニメ番組に対する規制は放送事業というよりも、国内キャラクタービジネスの育成と保護という側面が強いようだ。
このためアニメ番組は、視聴率を上げて広告収入の増大に結びつく一般的なドラマ番組とは区別して考えられているように感じた。
もしそうであるなら、今回、中国側が積極的に導入を目指していたテレビドラマとは違い、現状ではアニメ番組の中国市場への本格的な展開はかなり厳しいと考えられる。
いずれにしても今回のシンポジウムは、中国メディア関係者の生の声を聞くことが出来る貴重なものであった。また、アニメ以外については今後の日中の映像ビジネスの進展に期待を持たせる内容でもあった。
日中テレビ番組交流シンポジウム
日中両国のテレビ番組ビジネスの拡大に向けて
日時:2006年10月26日
プレゼンター:
国家広播電影電視総局電視劇管理司(中国ラジオ映画テレビ総局テレビドラマ管理部門)
企画処長 宋魯曼
中国国際電視総公司番組制作部(CCTV関係会社)
副総経理 賈暁晨
中視鴻運視聴制作有限公司 (CCTV関係会社)
常務副総経理 張魯燕
上海文広新聞傳媒集団 映画・ドラマセンター(上海文広新聞メディアグループ)
副センター長 魯書潮氏
主催:ジェトロ 後援:経済産業省、映像産業推進機構
/日本貿易振興機構
《animeanime》