セントラルパークメディア15周年記念パネル
『アニメーション制作進行くろみちゃん』、『KAKURENBO』、『装甲騎兵ボトムズ』、『春を抱いていた』、『惑星大怪獣ネガドン』...。このラインナップを見て何を想像するだろうか?実は、これらの作品は、全てアメリカのアニメ流通会社セントラルパークメディアが
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そして、このラインナップを見れば、セントラルパークメディアがどういった企業かも判るだろう。マニア向け、本当に判った人向けのアニメを売っている非常にディープな会社である。
そのセントラルパークメディアの15周年記念パネルが、ニューヨークコミコンで開催された。パネルでは、社長自らが参加者にスナックを配り、パネルのオープニングにはアメリカのオタクの世界を紹介する『OTAKU UNIT』が上映された。
古き良きマニアの世界を彷彿させるアットホームなものである。ノリのよいパネルに参加者は他のパネル以上に楽しめたに違いない。
しかし、こうしたマニア向けのニッチな作品を送り出すのは、決して趣味だけの世界ではない。むしろ、よく考え抜かれたビジネス戦略のうえに成り立っている。マニア向けのビジネスは、その市場のあり方を熟知していれば、どの作品が受け、どの位の販売数が売れるか読むことが出来る。
マニア市場が大衆市場に較べて比較的リスクが低いことは、日本もアメリカも共通である。
1990年代にアメリカには、多数の日本アニメを扱う会社が生まれた。しかし、2000年以降の日本アニメブームとその後のDVD販売の不振により、こうした業者にも勝ち組と負け組みが生まれて来ている。
そうしたなかで、2強ともいえるADVフィルムとファニメーション、そしてそれに次ぐセントラルパークメディアといった会社が残ってきた。しかし、それぞれの会社はそれぞれ異なった戦略を持っているようだ。
大規模な展開、事業の多角化を進めるADVフィルム、大手エンターテイメント流通企業ナバレの傘下に入り、資本力と信用力を補完したうえで流通網の拡大を狙うファニメーションといった具合だ。
セントラルパークメディアのニッチ戦略もそうした住み分けのひとつである。数多くのニッチを合わせることで大きなビジネスを実現する、リスクを軽減させている。
逆に言えば、確かな戦略なしでは、日本アニメの流通企業も生き残ることが難しい時代になってきたといえるだろう。
今回のパネルは楽しいながらも、同社がなぜ15年の間、業界で生き残ってきたのかが十分理解できるものであった。
/セントラルパークメディア
/ニューヨークコミコン
《animeanime》