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しかし、制作会社や行政、金融機関、法律関係の視点からアニメビジネスが語られることは多いが、アニメビジネスの中核である放送局からの発言は意外に少ない。今回の岩田氏が中心に位置するテレビ東京は『ポケットモンスター』や『NARUTO』などの大ヒット作品を次々に送り出し、日本アニメのおよそ半分を放映するほどアニメビジネスに影響力のある会社である。
実際に岩田氏の講演は、テレビとインターネットの融合という時代の変化の話から始った。続いてアジア最大のマーケット中国市場の状況、そして日本企業が今後進むべき道であるプリプロダクションの要点と講演は3部構成となっていた。
通信の融合については、米国を除く世界各国で放送のインターネット配信に対する関心が非常に高まっていることを紹介し、放送事業と通信事業が急激に融合している現状を解説した。
その中で、日本の地上波放送局によるビデオオンデマンドの取り組みが進んでいるという。この変化の中で、今後ビジネスの主導権を握るのはコンテンツ供給の面では地上波放送局、家電会社、大手通信社・プロバイダー、コンテンツ製作会社、版権元を挙げ、コンテンツの流通分野では地上波放送局、家電会社、大手通信社・プロバイダーの3つを挙げた。
また、テレビ東京については、現在既に高い人気を持っているテレビ東京のウェッブサイトをさらに強化して行きたいと述べた。講演の中ではバンダイチャンネルのビジネスモデルに度々触れており、やはりビジネスの関心は動画配信にあるようだ。
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最後の論点のプリプロダクションでは、アニメを企画するに際の合理的な見方を提供していた。アニメを企画する際には、そのアニメの行く先をまず考えろという指摘である。その放送が無料なのか有料なのか、作品を展開するのがアジアなのか欧米なのか、出資はどこから受けるのかといったことまず考える必要があるという。
さらに、キャラクター開発のためにはターゲットの嗜好分析やライセンシーの確保、クリエーターの独立の確保、ゼネラルマネジャーとラインマネジャーが対等であることなど様々なことが重要であるという。さらに、テレビ局らしく、アニメ作品は対象とする顧客ごとの色彩設定を変える必要がある点に触れた。
講演はおよそ1時間半とかなり長めの時間が予定されていたが、講演後にも熱心な質疑応答が繰り広げられ大幅に時間を超えた白熱した講演会となった。講演の内容は、当初予定されていた「放送と通信の融合」、「中国」、「プリプロダクション」だけでなく、テレビ東京の戦略や米国市場の状況、広告代理店の役割にまで及びひとつの講演にしておくには勿体ないほどの充実ぶりだった。
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