第9回手塚治虫文化賞決定
朝日新聞主催で、日本のマンガ文化の発展に貢献した人物に与えられる第8回手塚治虫文化賞が発表された。大賞には鉄腕アトムのエピソードを自分流にアレンジして話題を呼んだ浦沢直樹氏の『PLUTO(プルートウ)』選ばれた。浦沢氏の同賞受賞は1999年の『MONSTER』に続
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こうの氏の『夕凪の街 桜の国』は、文化庁メディア芸術祭のマンガ部門の大賞受賞に次ぐ2つめの受賞となる。また、大賞の『PULUTO』は作品のクオリティーの高さ、斬新さ、そして手塚治虫作品のリメイクという点で同賞に相応しい受賞といえる。
手塚治虫文化賞について面白いのは、この選考方法と各賞決定に至るまでの経緯が朝日新聞上で開示されている点である。具体的な選考は、まず一般読者やマンガ関係者による推薦作品が選ばれる。それを元に8人の選考委員(荒俣宏、いしかわじゅん、香山リカ、呉智英、清水勲、関川夏央、マット・ソーン、萩尾望都各氏)が15点の持点を1作品最高5点までで複数の作品投票し候補作品を選ぶ。しかし、最終審査では得点は参考にとどめるだけで話合いによって決定される。
こうした、選考過程の開示は芥川賞や直木賞に代表される文芸関係の賞の選考システムが参考にされているようだ。この選考経緯を読んでみると、受賞した作品が満場一致だったのか、賛否両論だったのか、最後まで賞を争った作品は何だったのか判る。
選考経過によると今回の選考では当初より『PULUTO』が独走していたが、より多くの受賞者を出すべきとする考え方から2度目の受賞になる浦沢氏を選ぶべきかの議論があった。また、一部で近藤ようこ氏の『水鏡綺譚』の大賞を推す声があったとしている。さらに、選考委員の作品への得点の振り具合から萩尾望都氏がここ数年今市子氏の『百鬼夜行抄』を推していることや、荒俣宏氏が『テレシコープラ』を推していることなどが判り作品の各選考委員の評価に対する姿勢が垣間見え興味深い。
手塚治虫文化賞 /http://www.asahi.com/tezuka/
第9回大賞ノミネート作品 (リンクはアマゾンに繋がっています)
『/水鏡綺譚』 近藤ようこ
『/団地ともお』 小田扉
『/のだめカンタービレ』 二ノ宮知子
『/ヒストリエ』 岩明均
『/百鬼夜行抄』 今市子
『/PLUTO プルートウ』 浦沢直樹・手塚治虫
『/舞姫テレプシコーラ』 山岸凉子
『/夕凪の街 桜の国』 こうの史代
『/リアル』 井上雄彦
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