橘オレコによる同名マンガを原作とするTVアニメ『ホタルの嫁入り』が、2026年10月9日より放送開始となる。余命わずかな令嬢・桐ヶ谷紗都子と、彼女を殺そうとする謎の殺し屋・後藤進平。出会うはずのなかった2人が、ある出来事をきっかけに急接近し、過酷な運命の中で予測不能な恋を繰り広げていくラブサスペンスだ。
今回、桐ヶ谷紗都子役のLynnと、後藤進平役の内山昂輝にインタビューを実施。作品への出演が決まった際の心境から、キャラクターの魅力、2人の関係性、印象に残っているシーンまで、たっぷりと語ってもらった。

[取材・文=米田果織 撮影=藤田亜弓]
■「理想の紗都子」「理想の進平」のために、役作りで大切にしたこと
――本作は、累計発行部数500万部を突破するなど、多数の読者から支持を集める人気作です。そんな作品に出演されることになったときの率直な気持ちを教えてください。
Lynn:やはりプレッシャーはありました。多くの方に楽しんで読まれている作品ですし、皆さんの中にもそれぞれ「理想の紗都子」「理想の進平」があると思うんです。そういうキャラクターをアニメーションでひとつの形にするというのは、かなりチャレンジングなことなのではないかなと思いました。できるだけ皆さんに受け入れていただける紗都子を演じたいなと思っています。
内山:たくさんのファンの方がいらっしゃる作品なので、原作ファンの方々の期待を裏切らないようなアニメ化になればいいなと思いました。いろいろな反応があるのは当然のことですし、「やるしかない」という感じでした。
――原作を読まれて感じた、橘オレコ先生の作風についての印象を聞かせてください。
Lynn:繊細なタッチですごく綺麗なのですが、目の描き方が印象的に感じました。色気があるというか、目に力があるんですよね。とくに進平は、目に光が入っていないことが多いのですが、逆に感情が動いた瞬間には光が入っていたりして。「今、感情が動いたんだな」というのが目から伝わってくる描き方がすごく素敵だなと思って。私はまず、その描写にすごく惹かれました。
内山:僕も絵はすごく印象的でした。人間のドロドロとした感情も描かれていますが、絵のタッチはとても綺麗で繊細なんです。進平に注目してみると、表情がコロコロ変わっていて。怖さを感じさせる表情もあれば、にこやかな表情、丸いデザインになってつぶらな目で描かれるときもある。そういうふうにキャラクターの印象がガラッと変わるところも含めて、いろいろな引き出しがある作品だなと、読んでいて感じました。
――キャラクターを演じるうえでどのように心情を読み解き、どんなことを意識して演じられたのでしょうか?
Lynn:紗都子は自分の余命が長くないことを理解したうえで、家やお父様のために何ができるのかを小さい頃から考えてきた人です。なので、すごく覚悟が決まっているというか、芯の強さがあるキャラクターだなと思いました。攫われたり、殺し合いに巻き込まれたり、どんなとんでもない状況に置かれたとしても、自分の力で打開していく強さやかっこよさを持っている。その強さの根底となる「家に帰る、お父様のために」という気持ちは揺るがさずに演じていきたいと思いました。
内山:進平は、さまざまな要素を表現として必要とするキャラクターだなと思いました。まず目につくのは、やっぱり狂気的な部分や怖さ。恐ろしいキャラクターだと感じさせるシーンが多いですし、一方で「何を考えているのかわからない」というミステリアスな部分も残しておくことを意識しました。
そこからまたガラッと変わり、かわいらしさや幼さ、ちょっとピュアなところを見せるシーンもあります。そういうバリエーション豊かな部分を、それぞれのシーンで魅力的に表現できたら、原作で描かれている進平の人物像に近づいていくのかなと思って演じました。

――お互いの演技をご覧になったときの印象はいかがでしょう? 紗都子や進平の表現で、特に印象に残っているところはありますか?
Lynn:進平はまっすぐだったり、狂気的だったり、かわいらしかったりと、いろいろな面があるキャラクターです。すごく非現実的な存在ではあるのですが、内山さんの声が入ることによって「実際にこういう人がいるかもしれない」と感じさせてくれるというか、キャラクターがよりリアルに感じられると思いました。とくに、進平が「好きだよ」とか「そばにいるよ」とか、そういう言葉をまっすぐぶつけてくれるところは、スッと自分の心にも入ってくるような感じがあって。演じていて掛け合いがすごく楽しいなと感じています。
内山:2人の関係性が、出会いから少しずつ変化していくのがすごく面白いです。その中で、進平と紗都子のある種の“主導権争い”みたいなところも見どころになっていくと思います。紗都子の芯の強さを、Lynnさんが声で体現されていて。
それに加えて、紗都子は良家のお嬢様らしい品のよさを感じさせながら、どこか泥臭い強さも持っているキャラクターです。その両方が本当に見事に伝わってきて。一緒にアフレコをしていて、毎話その強さを体感していました。

