読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2026年9月号では、オリジナルアニメーション『さよならララ』より、大津茉里役・川石奈奈のインタビューをお届け。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューとなっている。
茉里の行動の理由を噛み砕きながらのお芝居
――まず、『さよならララ』という作品の最初の印象を教えてください。
オーディションのときにいただいた資料には、茉里ちゃんの立ち絵とセリフのみで、絵コンテなどはありませんでした。ファンタジー作品のようでありながら、舞台は滋賀なので、どんな物語になるのか予想もつきませんでした。
――第1話の台本で世界観やララの目的を知ったのでしょうか?
そうですね。ただ、第1話はララが暮らしていた海のなかのシーンがほとんどで、アンデルセンの童話『人魚姫』のお話に近いような印象でした。その後、滋賀にやってきたララは、どうやって動くのかなと思いながらのアフレコでした。
――アフレコがはじまってからは、作品のどんなところにおもしろさを感じるようになりましたか?
展開が読めないところはもちろんですが、ララと茉里ちゃんの2人の成長が描かれていくところです。それぞれの心のなかが少しずつ変化していくので、そこも見どころだと思います。
――茉里というキャラクターにはどんな印象を持っていますか?
オーディション時の資料には、茉里ちゃんの笑顔の表情がほとんどなかったので、クールな女の子なんだろうなと思っていました。でも、回を重ねるごとに、感情を出さないのではなく、出し方がわからない子なんだと思うようになって。ララと出会い、一緒に過ごすことでいろんな気持ちを知っていくんだなという印象でした。

――たしかに、冒頭の茉里は感情の起伏があまりない印象ですよね。
表情豊かなララと比べると、とくに彼女の振り幅が狭く感じられますよね。ただ、一見落ち着いて大人っぽく見えても、私は茉里ちゃんのことを子供だと思っているんです。どうしたらいいかわからないことも、ひとりでなんとかしようとしてしまう。ララは、意図的かはわかりませんが、そんな茉里ちゃんの「わからない」をひとつひとつすくい上げてくれるので、茉里ちゃんも少しずつ成長していけているのかなとも感じています。
――ボクシング部で疎外感があった茉里ですが、第3話のララの乱入によって部員たちとの関係性が少しよくなったような印象もありますよね。
そう思います。茉里ちゃんは、きっとひとりでも生きていける子なんですね。ララと出会わなかったとしても、自分のやるべきことはこなせてしまう。でも、ララが一緒にいてくれたことで変わっていける部分も出てきたんだなと思います。
――そんな茉里を演じるにあたり、どのような役作りを考えましたか?
私は普段から感情が表に出やすいタイプなので、茉里ちゃんのように淡々としたキャラクターをどう表現したらいいのか悩みました。私と茉里ちゃんは物ごとの捉え方や感じ方は似ているけれど受け取ったものを出す方法が全然違うんです。私だったらこう言うだろうなと思うことも、茉里ちゃんは言葉にしない。なぜそうしないのかがずっと頭のなかにあったので、アフレコでは彼女の行動の理由をひとつひとつ噛み砕きながらお芝居を作っていきました。また、スタジオでは、先輩方のお芝居を見て声優としての基礎や表現の広げ方も学ばせていただきました。
――茉里は滋賀の方言を使いますが、滋賀出身の川石さんには馴染みのある言葉でしたか?
ありました!ただ、養成所に通っていたときに方言を禁止されていたので、逆にお芝居で出していいと言われると難しく感じられてしまって。また、標準語と方言では、言葉を立てるところも違っていて、そこに苦戦しました。滋賀弁は、どちらかと言うと京都弁に近い印象なんですね。関西弁のようにチャキチャキせず、少しゆったりとした話し方なので、茉里ちゃんの言葉もやさしい音になればいいなと思いながら演じました。
――方言指導は入ったのでしょうか?
基本的には任せていただきました。ただ、小出卓史監督とは意見が食い違うところもあって。すり合わせつつも、「最近の子はこういう言い方はしないかもしれません」とか「こちらのほうがいいかもしれません」と提案させていただくこともありました。
――ほかに、茉里を演じていて難しいと感じたところはありましたか?
茉里ちゃんはボクシングをしているのですが、私は本当に運動神経が悪くて(笑)。音響監督の山田さんに「運動神経が悪い人の息遣いに聞こえる」と言われたこともあったんです。そのときは茉里ちゃんと私の肺の大きさや筋肉量の違いなどについても考えたり、アフレコ中は茉里ちゃんに倣って朝5時に起きてジョギングをし、茉里ちゃんと同じものを食べたりして、なるべくフィジカルでも茉里ちゃんに近くなるような生活をしていました。

――川石さんは茉里のどこが素敵だなと感じますか?
ストイックなところです。好きなボクシングのためなら、学校に通いながら減量やトレーニングができる。好きなもののために一直線になれるところは、素敵だと思います。
――そんな茉里でも、ララと一緒にいるとまた違った面が見えますよね。
ララと接する時間が増えるにつれて、茉里ちゃんの素の顔がたくさん見えてくるんです。私も「こんな表情をするんだ」とたびたび発見がありました。ララが茉里ちゃんの心をほぐしてくれたからこそ、茉里ちゃんも変わっていけたのだろうと思います。
――スタッフから、ほかにディレクションはありましたか?
私はとにかく考えすぎてしまうクセがあるのですが、音響監督の山田さんから「一旦、何も考えずに演じてみてください」と何度も言っていただき、時間をかけてじっくりと取り組むことができました。また、ブースの外でも茉里ちゃんのお芝居について、私が理解できるまでいろいろな言葉で説明をしてくださって。それが私のいまのお芝居にもつながったように思いますし、本当にありがたい、大事な時間になったとも感じています。
――先ほど、茉里と似ていると言っていましたが、とくにどこが似ていると感じていますか?
好きなものに一直線なところです。集中すると周りが見えなくなってしまうんですね。でも、そこは私も茉里ちゃんも直したほうがいいんだろうなと思います。
――逆に、ここは見習いたい、あこがれるなと思うところは?
目標に向かって一直線で、目標だけを見ていられるところです。自分を貫き通せる姿は、私の理想です。
――主人公のララへの印象は?
まったく知らない世界にひとりでやってきたのに、あそこまで恐れずに行動できるララはすごいなと思います。私はもちろんですが、おそらく茉里ちゃんも、ララの前向きで一生懸命にトライできるところが好きなのだと思うんです。ララは何回も転んでしまうけれど、立ち上がれる力がある子ですし、茉里ちゃんが落ち込んだときに、その強さですくい上げてくれる。ララ役の菱川花菜ちゃんが、その強さをていねいに演じてくれて、私も引っ張ってもらいました。
――菱川さんのお芝居の印象は?
本当に熱量のあるお芝居をされる役者さんだなという印象でした。ずっと、花菜ちゃんの隣に立って恥ずかしくないようなお芝居がしたいと思っていました。花菜ちゃんとの掛け合いでは、家で練習していったものとはまったく違ったお芝居が出ることもあり、私はそういう経験が初めてだったので、それを引き出してくれた花菜ちゃんは、本当にすごい役者さんだと感じています。
――アフレコの思い出を教えてください。
私が現場では一番の後輩だったのですが、皆さんとても温かく、気遣ってくださいました。また、私と花菜ちゃんが集中しているときには声をかけずにそっとしておいてくださって。この座組に参加できてよかったなと思えました。
――第4話まで進んだところで、ララ、茉里以外で気になるキャラクターはいますか?
私は大津家のみんなの温かさが本当に大好きなんです。アフレコ現場での役者さんたちも、大津家の空気感そのままにワイワイしていて、本当に大切な家族に出会えたと思っています。
――ララの姉・リサも人間の姿で登場しましたが、この先の展開の見どころを教えてください。
序盤は日常シーンが多いですが、物語が進むにつれて急展開していきますので、見逃さないでいただきたいです。また、ララが恋をした王子様によく似たルカや、ララの家族がどうしているかも今後明らかになりますので、ぜひチェックしていただきたいです。『さよならララ』には悪い人が登場しないので、視聴者の皆さんにもすべてのキャラクターを好きになっていただけると思います。
MegamiにQuestion

Q.自分のチャームポイント
A.笑顔
高校時代、ハンガリーに留学していたのですが、だんだんとコミュニケーションが取れるようになってから、現地のお友達に「奈奈はいつも笑顔だったから、仲よくなりたいと思っていた」と言ってもらえました。また、毎日がすごく楽しくてたくさん笑っているので、笑顔がチャームポイントかなと思います。
Q.自分のニックネーム
A.奈奈、奈奈ちゃん
『さよならララ』の現場で、花菜ちゃんが「ななぴょん」というニックネームをつけてくれたのですが、結局一度も呼んでくれませんでした(笑)。でも、下の名前が気に入っているので、「奈奈」や「奈奈ちゃん」と呼んでもらえたらうれしいです。
Q.自分の声の特徴
A.透明
あまり自覚はないのですが、周りの方から「澄んでいるきれいな声」と言っていただけることが多くて。何色にも染まれるという意味でも、透明でありたいという気持ちでいます。
Q.自分の性格
A.頑固
自分で決めたことは絶対に守り通すと決めています。たとえば、留学していたときは現地の言葉を覚えたかったので、絶対日本語は使いませんでした。また、養成所に通っていたときは、上京したあとのためにお金を貯めたくて、夜行バスで養成所に行く前後もアルバイト漬けでした。体力的に厳しかったですが、それでも自分の夢を叶えるためにやり通しました。
Q.いま、ハマっているものは?
A.シール交換
もともと収集癖があって、集めだすと止まらないんです。いま、シール帳は10冊を超えていると思います。ただ、周りに交換してくれる人があまりいないので、交換してくれる方を募集しています。
Q.得意な運動は?
A.運動全般が苦手なので応援をがんばります
小学生のころはバスケットボール、中学生ではソフトテニス部に入っていたのですが、やる気に運動神経が追いつかなくて(笑)。なので、体育祭や球技大会では、応援に全力をかけていました。
Q.誰かと2人暮らしはできる?
A.ひとりで暮らしたいです!
だらしないところを他人に見られるのがイヤで(笑)。誰かと暮らしたら、家事を全部ひとりでやって、無理をして爆発してしまう気がします。ひとりだと、なんでも自分のペースで、ゆるっとできるのがいいですね。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.愛
いろいろな形の愛を『さよならララ』では描いていると思います。大切にしたいものや好きな気持ちなど、多くの愛が描かれるので、ぜひその愛を感じながら見ていただきたいです。
Profile
かわいし・なな/9月27日生まれ。滋賀県出身。ケッケコーポレーション所属。
主な出演作は、『僕の心のヤバイやつ』など。
作品Information
毎週日曜日深夜0時30分よりTOKYO MXほかにて放送中
https://goodbyelara.com/
かつて人間の王子に恋をしたものの、本当の愛を見つけられず、海の泡となって消えてしまった人魚のプリンセス・ララ。200年の時を経て琵琶湖に蘇ったララは、偶然出会った女子高生・大津茉里の家に住まわせてもらいながら、今度こそ本当の愛を見つけようとするが……。
(C)キネマシトラス/「さよならララ」製作委員会
●取材・文/野下奈生(アイプランニング)

