平成レトロブームの影響もあり、最近は「りぼん」や「なかよし」などで連載されていた懐かしの作品が話題になることが多い。そんな中、私が真っ先に思い出したのが『ミルモでポン!』だ。
何を隠そう、本作は私が人生で初めてコミックスを買った少女マンガでもある。小学1年生の頃、母が買ってくれた「ちゃお」で初めて読み、気付けばすっかり夢中に。連載が始まって少し経った頃に読み始めたため、「最初から読んでみたい!」と母にコミックスをねだった記憶がある。
子どもの頃は妖精たちのかわいさやドタバタコメディが大好きだった。大人になった今もそれは変わらないが、あらためて作品に触れてみると、当時は気付かなかった魅力もたくさん見えてきた。そこで本記事では、私の少女マンガの原点ともいえる『ミルモでポン!』の魅力を語っていきたい。

◆『ミルモでポン!』とは?
『ミルモでポン!』は、2001年より小学館「ちゃお」にて連載された篠塚ひろむによる少女マンガ。2003年に第27回講談社漫画賞の児童部門、および第49回小学館漫画賞の児童向け部門を受賞、シリーズ累計発行部数は300万部を突破している。
女子中学生の楓と、彼女のマグカップから現れたへそ曲がりな恋の妖精・ミルモが繰り広げるラブコメディ。恋の行方をめぐる、個性豊かなキャラクターたちによるドタバタな日常が見どころだ。
2002年から2005年にかけてTVアニメが放送され、最高視聴率9.4%を記録、ゴールデンタイムへ昇格するなど話題に。その後も舞台化や続編が制作され、2026年3月からは21年ぶりとなる新作連載『ミルモでポン!にゅ~』がスタートし、ますます注目が高まっている。
◆恋を叶える妖精? 女の子の夢にワクワクした子ども時代
『ミルモでポン!』と聞いてまず思い出すのが、「マグカップから妖精が出てくる」という設定。マグカップに飲み物を注ぎながら願い事をすると、そこから妖精が現れる……小学生の私にとってはこれ以上ないくらい夢のある話で、実際に自宅のマグカップで試したことも何度もあった。
そして、ミルモをはじめとする登場する妖精たちは、うちわでパタパタ飛んだり、楽器を使って魔法をかけたりする姿がとにかくかわいい! もちろん、楓と結木を中心とした恋愛模様にもキュンキュンしていたが、妖精たちが好きすぎて、学校の音楽室でマラカスやタンバリンを手に、友達と真似して遊んだこともある。
しかも、今読み返してみても、当時と変わらずに妖精たちが繰り広げるドタバタ加減が楽しかった。初対面からミルモは楓に「ぶさいく」、楓はミルモに「バケモノ」と言い放つ。女の子の妖精・リルムはかわいらしい見た目に反して恐ろしいほどの怪力を発揮し、結木をドン引きさせる。ミルモのライバル・ヤシチは何かやらかすたびにトイレに流され、ミルモの弟・ムルモにいたっては兄のミルモ以上に腹黒い。
作品としては楓と結木の恋愛模様だけでも、きっと楽しめただろう。しかしそこに「おとも妖精」という女の子の夢と、お腹がよじれるほどの笑いが詰まっていたからこそ、当時小学校低学年だった私も夢中になれたのだと思う。
◆かわいいだけじゃなかった!大人になって気付いた魅力
子どもの頃は、ミルモと楓のケンカを見てただ単に笑っていた。大人になった今読み返してもそのやり取りは面白いと思う一方、少しだけ見え方が変わった。
ミルモは恋の妖精だが、無条件に楓の願いを叶えてくれるわけではない。第1話でも、結木と仲良くなりたいがためにミルモに取り入ろうとする楓に対して「自分で頑張ろうとしないでオレを利用しようとする。そんなヤツのために魔法を使う気はない」と突き放す。
子どもの頃は「厳しいなぁ」と思っていたが、大人になった今はミルモの言葉がグサッと刺さる。ミルモは魔法の前にまず自分の力で一歩踏み出すことの大切さを教えており、楓もまた失敗を重ねながら、その意味を少しずつ理解していく。
最初から相性抜群だったわけではないからこそ、ミルモと楓の関係は尊い。ぶつかって、ケンカして、それでも一緒にいるうちに絆を深めていく。毒を吐きながらも、なんだかんだ楓の成長を見守り、時には背中を押してくれるミルモは、楓にとって唯一無二のパートナーだったのだと思う。
それはほかのペアにも言える。真面目でクールな結木と、かわいらしい見た目で破壊神のリルム、美人で女王気質の安純と、子分気質でちょっとスケベなヤシチ、純粋なお坊ちゃんの松竹と、ぶりっこで腹黒いムルモ。どのペアもやり取りを見ていくと「この2人でないと成立しない」と思えるくらい絶妙なバランスで成り立っているのだ。
子どもの頃は妖精たちのかわいさや恋愛模様に夢中だった。しかし、大人になった今読み返すと、彼らが少しずつ信頼関係を築き「この相手じゃなきゃダメだ」と思える存在になっていく過程にも心を動かされる。
◆やっぱり大好き!色あせない私の原点
子どもの頃に夢中になっていた作品は、大人になってから見返すと「なんでハマってたんだっけ……?」と思うこともしばしばある。しかし『ミルモでポン!』は久しぶりに読み返してみても、やっぱり面白かった。
そして何より、妖精たちのキャラクターデザインがかわいすぎる。あの丸っこくてもちもちしたフォルムは、今見てもたまらない。書いているうちにグッズまで欲しくなってきたため、これを機に当時は持っていなかったものをあれこれ探してみようと思う。
ギャグ満載で思いっきり笑えるラブコメでありながら、大人にも刺さるような、人生における大切なことも詰まった私の原点。マンガは「ちゃおプラス」で配信されているほか、YouTube「ちゃおチャンネル」ではアニメも配信されているため、まだ見たことがない人は、ぜひこの機会に触れてみてほしい。
(C)篠塚ひろむ/小学館・ShoPro・テレビ東京
(C)篠塚ひろむ/小学館



