「魔法の天使クリィミーマミ」その当時を関係者が振り返る―ドラマ性にこだわった作りで今なお愛される作品に【Blu-ray BOX発売記念インタビュー】 | アニメ!アニメ!

「魔法の天使クリィミーマミ」その当時を関係者が振り返る―ドラマ性にこだわった作りで今なお愛される作品に【Blu-ray BOX発売記念インタビュー】

『魔法の姉妹ルルットリリィ』の放送とともに再び注目が集まっている、ぴえろ魔法少女シリーズ『魔法の天使クリィミーマミ』。その当時のことを、チーフディレクターを務めた小林治さんと、各話演出を務めた望月智充さんが語ってくれました。

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『魔法の天使クリィミーマミ 永遠のワンスモア』
『魔法の天使クリィミーマミ 永遠のワンスモア』 全 11 枚 拡大写真

2026年4月より分割2クールで放送がスタートした『魔法の姉妹ルルットリリィ』は、1983年に放送された『魔法の天使クリィミーマミ』(以下『マミ』)から続く、ぴえろ魔法少女シリーズの第6作目。シリーズ第5作『魔法のステージファンシーララ』からなんと28年ぶりの新シリーズということで注目が集まっています。

原点回帰しつつも新たなチャレンジをしており、その一要素として『マミ』を思わせる第1話になっていたり、『マミ』のような歌姫が登場したりして、伝統を意識した作りとなっていました。

また『マミ』自体も40周年プロジェクトが展開され、この4月には「Anniversary Blu-ray BOX」がリリースされて懐かしがっているファンも多いはず。そこで本稿では、本作でチーフディレクターを務めた小林治さんと、各話演出を務めた望月智充さんにインタビューを実施してその当時のお話を伺いました。

「ぴえろ魔法少女シリーズ Anniversary Blu-ray BOX」発売告知PV|『魔法の天使クリィミーマミ』2026年4月29日発売!
チーフディレクターを務めた小林治さん(右)と、各話演出を務めた望月智充さん(左)

<プロフィール>
【小林治】
フリーのアニメーター、演出、監督。
1963年に東映動画(現:東映アニメーション)入社。1965年、Aプロダクション(現:シンエイ動画)設立と同時に参加。主に手掛けた作品は、『巨人の星』『まんが日本昔ばなし』『きまぐれオレンジ☆ロード』『ど根性ガエル』など。「東京アニメアワードフェスティバル2019」でアニメ功労部門を顕彰。

【望月智充】
1981年に亜細亜堂入社。アニメーター、演出家、監督のほか、脚本も担当。1983年『ときめきトゥナイト』で演出デビュー。2009年に同社を退社し、以降フリーとして活動。主に手掛けた作品は、『海がきこえる』『めぞん一刻 完結篇』『ふたつのスピカ』など。

取材・文=気賀沢 昌志

◆想像を越えてきたキャラデザインに感じた“驚き”

――さっそくですが、本作を振り返って、印象に残っているエピソードを教えてください。

小林治(以下、小林) 私はやはり第1話ですね。よく覚えているのは舞台設定です。伊藤和典さんのシナリオでは一般的な住宅街でストーリーが進んでいたのですが、当時はスタジオぴえろが小金井にあり、「せっかくだから府中の東京競馬場を舞台にしよう」と思い、競馬場まで足を延ばしてデッサンしました。絵になる場所を舞台にしたら楽しいかな?と思ったのですが、伊藤さんも喜んでくれましたね。

望月智充(以下、望月) 僕は当時、作ることに必死で思い出も何もありませんでした(笑)。小林さんも僕もアニメスタジオの「亜細亜堂」に籍を置いており、小林さんはチーフディレクターとして制作全体に関わっていましたが、僕はローテーションの一班という形で、各話演出として関わっていました。そのため『魔法の天使クリィミーマミ』(以下『マミ』)が根強く支持され、ぴえろ魔法少女シリーズとして最新作が制作されても、あまり自分とは結び付かない感覚です。

ひとつ覚えているのは、ある大学のアニメ研究サークルが『マミ』の同人誌を何冊も作っていて、それを送ってくれたことです。しかもイラスト本ではなく研究本ですよ。そういうふうに大学生が熱心に見ているんだなと驚きました。

第1話より、初めての変身シーン

――研究本が作られるほど夢中になったんでしょうね。やはり先ほど小林さんがおっしゃったように、舞台設定など当時では少し斬新な見せ方が多かったように思います。

小林 東京競馬場を登場させたのもそうですが、アニメで魔法を描くなら、我々がいる日常に軸足を置いたほうが説得力は増しますからね。

――現在放送中の『魔法の姉妹ルルットリリィ』でも、日常はなるべくリアルにすることを心がけて魔法の荒唐無稽さに説得力を持たせようとしています。そういった部分で、ちゃんとのちのシリーズ作品に遺伝子が受け継がれているなと感じました。そのような型となった本作ですが、小林さんはどのような経緯で監督を担当されることになったのですか?

小林 『マミ』でも撮影監督を担当された若菜章夫さんから突然電話がかかってきて、スタジオぴえろの布川さん(※創業者)が会いたがっていると。監督できそうな人が誰かいないか?みたいな話が来たと思います。

望月 僕の推察では、布川さんとゴルフ仲間だったのが理由かなと(笑)。亜細亜堂としては、それまでシンエイ動画や東京ムービーの作品に関わることが多く、スタジオぴえろとは仕事をしたことがなかったので。

小林 元々知らない仲ではなかったですからね。それで「女の子が主役のアニメ」と聞き、『まんが日本昔ばなし』や『アルプスの少女ハイジ』を想像していたら、当時で言うところの「今っぽい」高田明美さんのキャラクターデザインだったので驚いたんですよ。何しろ私はデビューが『狼少年ケン』でしたし、作品テイストが全然違いました。

『魔法の天使クリィミーマミ』

――『狼少年ケン』といえば1963年のモノクロ作品。『鉄腕アトム』から10ヵ月後に放送された、まさに黎明期の作品です。あの当時、どういった部分に惹かれてアニメ業界を選ばれたのですか?

小林 マンガが好きで、それしか描けなかったから、なんとかそういう職業に就きたいと思ったんですよ。それでたまたまアニメーターを募集していた東映動画の門を叩いたところ、上手いこと入社することができました。それで『狼少年ケン』でデビューしたんです。

望月 東映動画が『鉄腕アトム』に対抗してテレビアニメを始めるから……という募集で小林さんは入ったんですよね。

――まさに黎明期からご活躍されていて、現在も現役でさまざまな作品に関わっていらっしゃいます。ちなみに、モノクロ時代のアニメは最初からモノクロで色指定されていたのですか?

小林 赤とか青とか意識していませんでしたね。『狼少年ケン』では、黒、グレー4色、白の6色でした。

――それを濃淡のバランスで色指定していたと。

小林 そうです。今まで見てきたものがそういった『狼少年ケン』や『ハッスルパンチ』みたいなデフォルメされたキャラクターでしたから、マミのようなかわいいキャラクターが出てきたら、それは驚きますよ(笑)。髪色も茶色をイメージしていたらカラフルな配色でしたからね。

『魔法の天使クリィミーマミ 永遠のワンスモア』

――やはり『マミ』にはさまざまな真新しさがあったように思います。

望月 魔法少女キャラに限って言えば、もともと東映動画の『魔法使いサリー』が元祖で、それ以降も東映魔女っ子シリーズが次々と制作された経緯があります。ただ『マミ』のような路線はあの時代ならではですよね。その路線で最初にヒットしたのが『魔法のプリンセス ミンキーモモ』で、それに触発される形で企画されたのが『マミ』だったと思います。その意味では新しいと言えば新しかったですね。単に女児向けではなく、ドラマ性に力を入れた部分でもそう言えるかと思います。

――高田明美さんのキャラクターデザインに合わせて色の数も増やしたとか。当時としてはあのパステルな配色が独特で、そこも人気の秘密でした。ファッションも当時らしい華やかなデザインです。

PROPLICA まほうのステッキ/¥16,500(税込)

望月 ファッションは高田さんのおかげですね。それまでのアニメは同じ服をずっと着ていましたが、やはり同じ服ばかり着ていたらおかしいじゃないですか。それでおそらく毎回変えるようになったかと思います。そもそも女性のキャラクターデザインって当時、ほとんどいませんでしたから。仕上げなどにはかなりいましたけど、主要スタッフにはほとんどいませんでした。

――今考えると、男性主体の現場から女児向けのアニメが作られていたことに驚きます。しかも受け入れられていました。

小林 我々としては特別女性向けに作った意識はありませんでしたよ。

望月 普通の人間ドラマをやろうとしていましたよね。

第2話より、マミのデビューシーン

◆アニメの“お決まり”を避けた『マミ』ならではの演出

――当時はアニメ雑誌でも大きく扱われていましたが、反響をどのように捉えていましたか?

望月 「アニメージュ」「OUT」「アニメック」などが主な媒体だった時代ですね。『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』が大きく扱われていた時代でしたから、そこでマミが表紙になった時には驚きました。そこまで注目される作品だったのかと。

小林 アフレコで出待ちがありましたよね。太田貴子さんのファンだったのかな?

望月 もしかしたら水島裕さんの出待ちだったのかもしれませんよ。

――なかなか今は、出待ちなんて聞きませんね。水島さんと言えば私の中では『スター・ウォーズ』の初代ルーク・スカイウォーカー役ですが、相当アイドル人気がすごかったとお聞きします。

小林 私も出待ちなんて言葉を知らなかったから本当に驚きましたよ。

――当時について、お2人はどのような関係性だったのですか? 師匠と弟子とか……。

小林 いやいやそんな(笑)。

望月 僕はそのつもりでしたよ。芝山努さんと小林さんが作った亜細亜堂に入って、2年後くらいにいきなり『マミ』の各話演出をさせてもらったので、当時は具体的な作業をお2人から何もかも学びました。一番覚えているのは、『マミ』に入るときに小林さんからまず、「これはリアルにやるからね」と言われたことです。肩をすくませるとか照れて頭をかくとか、「そういったお決まりの芝居は記号だからやめてね」と。

そもそも日本人はそういうリアクションをしないじゃないですか。あと、ある動作から次の動作に移るときにいったん元のポーズに戻す人がいるけど、連続してつないでいくようにとか。そういった細かい注意点を色々と小林さんから学ばせてもらって、今でもきちんと守っています。そういった教えが今でも僕の中で土台になっていますし、あの時間がなければ僕は今ここにはいないかもしれません。

小林 そうだったっけ(笑)。まあ初歩的なことですよね。

望月 当時のアニメは型にはまった動きをやりがちだったんですよ。それを避けようとしていたのははっきりとわかりました。そういったことを小林さんや芝山さんに教わりました。本当に感謝していますので、この場を借りてお礼を言わせてください。

小林 いやいや(笑)。私はそもそも、『マミ』のような女の子キャラクターが主人公の作品は初めてでしたから、ああいうテイストなら望月くんのほうが合っていたんですよね。それで第1話で作品のトーンを作ったあとは、望月くんをはじめ各話の演出にお任せしていました。

ネガとポジのぬいぐるみ

――貴重なお話ありがとうございました。それでは最後に『マミ』に興味を持ってくれた人、懐かしい気持ちで再視聴する人へ向けて、おすすめポイントなどお願いできましたら……。

小林 どうでしょうね(笑)。

望月 作り手としては素人同然の頃に関わった作品なので、むしろ見てほしくないまであります(笑)。もちろん当時は一生懸命作っていましたから、『マミ』の良さについては実際に視聴し、皆さんそれぞれでいろいろな感じ方をしてもらえればと思います(笑)。

▼商品情報

■「魔法の天使クリィミーマミ 40th Anniversary Blu-ray BOX」(特装限定版)
■価格:39,600円(税込)
■発売日:好評発売中
■収録時間:1537分(本編ディスク1226分+特典ディスク311分)
■封入特典:特製ブックレット
特典DISC1「永遠のワンスモア」(1984年・OVA版およびTV放映版)
特典DISC2「ロング・グッドバイ」(1985年・OVA)
「ラブリーセレナーデ」(1985年・ミュージッククリップ)
「カーテンコール」(1986年・ミュージッククリップ)
「Zutto Kitto Motto」(1998年・ミュージッククリップ)
「魔法の天使クリィミーマミVS魔法のプリンセスミンキーモモ 劇場の大決戦」(1985年・劇場用公開映像)
「クリィミーソープ」(1987年)
「ノンテロップOP・ED集」(1983~84年)
「クリィミーマミのおとぎ話」(2014年・ピクチャードラマ)
「永遠のワンスモア」上映予告(2025年・新規)
「ぴえろ魔法少女シリーズ Anniversary Blu-ray BOX」発売告知PV・CM(2026年・新規)
デジタルギャラリー(静止画)
■音声特典:オーディオコメンタリー
DISC1 第1話「フェザースターの舟」(出演:太田貴子、水島 裕、肝付兼太、三田ゆう子)         
DISC2 第10話「ハローキャサリン」(出演:太田貴子、水島 裕、肝付兼太)
    第13話「鏡のむこうのマミ」(出演:太田貴子、水島 裕、松井菜桜子 ※新規)
DISC3 第23話「星のパラソル」(出演:太田貴子、水島 裕、島津冴子、井上和彦)
DISC4 第26話「バイバイ・ミラクル」(出演:太田貴子、水島 裕、布川郁司)
DISC5 第35話「立花さん、女になる!?」(出演:太田貴子、水島 裕、井上和彦)
DISC6 第46話「私のすてきなピアニスト」(出演:太田貴子、水島 裕、藤山房伸)
DISC7 第50話「マミがいなくなる…」(出演:太田貴子、水島 裕、望月智充 ※新規)
第52話「ファイナル・ステージ」(出演:太田貴子、水島 裕、高田明美)
■他、仕様:高田明美描き下ろしイラスト使用くるみBOX
スタジオぴえろ描き下ろしインナージャケット
■発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス


▼催事情報
「ぴえろ魔法少女シリーズ POP UP STORE ~ときめきフォトスタジオ~」

「ぴえろ魔法少女シリーズ POP UP STORE ~ときめきフォトスタジオ~」2026年6月6日より開催

人気プロップスタイリスト・遠藤歩プロデュースによる空間に、スタジオぴえろ描き下ろしのシリーズヒロインたちが集合した華やかなビジュアルを使用したグッズを販売!

■開催場所:新宿マルイ アネックス2F イベントスペース
■開催期間:2026年6月6日(土)~6月21日(日)


(C)ぴえろ

《気賀沢 昌志》

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