■「ちゃんとギャグに振っていい」シリアスとコミカルの絶妙バランスが映える!
――アフレコにあたり、監督から説明されたことや演じていてディレクションされたことはありましたか?
内山:大枠のキャラクター性はもちろんですが、シーンごとの細かなニュアンスをもっと大事にしていたと思います。物語としてはシリアスな要素も多いですし、原作を読んでも「重厚な世界観だな」と感じていたのですが、一方でコミカルなシーンもたくさんあるんです。そういう場面では「ちゃんとコミカルに振ってほしい」と演出されることが多くて。「ここは思い切ってギャグっぽい方向に振っていいんだな」と感じたのが、すごく印象に残っています。シリアスさだけではなく、振れ幅をしっかりつけていく。そのバランスが、この作品らしさなのかなと思いました。
濱野:ノリツッコミみたいなものもありましたよね(笑)。
内山:毒蛾たちが慎ましく暮らしていて、そういう細かい描写も丁寧に描かれているんですよね。「いつまで電気つけないでいるんだよ!」とか。照明を節約した暗い中で、皆で内職をして頑張っているんです(笑)。メインストーリーはもちろん、日常の細かい描写もちゃんと大事にしている作品だなと感じました。だからこそ、表現の幅がすごく広いというか、「いろいろな方向に振っていいんだな」と思えたのは、アフレコが始まってからですね。

――確かに。ギャグシーンでも急に人が死んだりしますしね。
濱野:この作品自体というか、キャラクター皆があんまり死を恐れていないですよね(笑)。
内山:確かに、現実のぼくたちの感覚とはギャップがあると思う。魔法によって生き返らせることもできる世界なので、ある程度のことは「なんとかなる」という前提があるのだと思います。みんな普通にブスブス刺されたりしているし(笑)。普通に考えたら大事件なんですけど、キャラクターによっては「まあ刺されたな」くらいのテンションで話が進んでいくことがあって。その感覚の違い、起きていることの重大さの捉え方は、他の作品とはちょっと変えないといけないなと感じました。もちろんダメージは負うけれど、どうにかなる可能性もある世界なので、毎回大きなリアクションをするわけでもない。他の作品だったら、キャラクターが傷ついた時もっと大きな反応になると思うんですけど、そこをあえて強く出しすぎないように。その“感覚のチューニング”みたいなものは、この作品ならではだなと思いながら演じていました。
濱野:音響監督の藤田亜紀子さんもよく言っていましたよね。「この世界は大丈夫」「このキャラは大丈夫」って(笑)。
内山:そう。「これが『ドロヘドロ』です!」という演出をよくされました(笑)。その演出をもらって「あ、こんな感じなんだ」と掴んでいった感じです。
濱野:独特で面白い現場でしたね(笑)。

――本作の主人公・カイマンの印象と、演じる高木渉さんのお芝居の印象もお聞きできたら。
内山:カイマンは、原作を読み進めるほど、考えれば考えるほど、本当に複雑なキャラクターだと思います。表面的にはすごくひょうきんで、人当たりもいいのですが、それだけで終わりそうにないキャラクター。奥が深すぎて、説明するのが本当に難しい存在だと思います。ニカイドウとは上手くやっているし、ギョーザが大好きとか親しみやすい要素も多いので、なおさら「何者なんだ?」と思わされるキャラクターです。
濱野:魔法を使えないのに口の中に何かがいたり、本当に何者なんでしょうか。ずっと謎のあるキャラクターです。その一方でチャーミングな部分も持ち合わせて、あの見た目をかわいいと思うかどうかは人それぞれだと思うのですが、僕はかわいいと思っています。目の表情も豊かで、ご飯も本当に美味しそうに食べるし、「癒し枠」と言ってもいいのではないでしょうか(笑)。
でも、ひとたび本気で戦うと、すごくかっこいい! その振れ幅の大きさは、カイマンの大きな魅力だと思います。それは声を担当されている高木さんにも通じる部分があるのかなと感じていて。同じ事務所の大先輩なので、あまり偉そうなことは言えないのですが……高木さんの「ここ、かっこいいよな」と思う部分が、カイマンともどこかリンクしているように感じました。
――そのかっこいいところを、もうちょっと詳しく教えてほしいです!
濱野:語り尽くせないですよ……! 懐の深さだったりとか、周りを楽しませようとするユーモラスなところだったりとか……そういう人柄ですよね。誰に聞いても同じような答えになるんじゃないかな。それくらい、現場でも自然と周囲を明るくしてくれる存在ですし、あの包容力みたいなものは、本当にすごいなと感じています。
――内山さんもそう思いますか?
内山:思います。とてもフレンドリーな方で、誰に対しても壁がないというか。いつも楽しそうな空気を周囲に出してくれる(笑)。カイマンのコミカルな面も、ふとした瞬間に見せる底知れなさも、どちらもしっかり表現して、一人のキャラクターとして成立させているのが本当にすごいなと思っていて。毎回「見事だな」と感じています。

――そんな高木さん率いる『ドロヘドロ』チーム。個性派キャストが揃っていますが、現場の雰囲気はどんなものなのでしょうか?
内山:スタッフの皆さんも本当に熱量を持って取り組まれていて、音響監督の藤田さんも「こういうふうにやってほしい」「違う方向性も試したい」とか、明確なイメージをたくさんお持ちなんです。演者側も個性豊かな方ばかりが揃っているので、皆の「やりたいこと」がいい意味で渋滞しているような現場でした。アフレコではいろいろ試しながら「ああでもない、こうでもない」と時間をかけて作っていった印象があります。本当に丁寧に、ひとつひとつ積み上げていった現場でした。
濱野:「何かやらないと損」みたいな気持ちにさせられる現場でした。いろいろ試してもいいし、むしろ試さないと埋もれていってしまいそうな感覚があって。周りもどんどん挑戦しているので、自分も何か出していかないと、という刺激がつねにありましたね。受け身でいるよりも、ちゃんとぶつけていく。その積み重ねが、この作品の熱量につながっているんじゃないかと思います。
――新シーズンの放送を楽しみにしている方々や、これから作品を見る方へ、見どころ・メッセージをお願いします。
内山:やはりSeason1から見てほしいのが正直なところですが、Season2から見始めてもなんとかなると思います。いろいろな真相があちこちで明らかになっていきますし、時系列も行ったり来たりするので。Season2から入って「面白いな」と思ってもらえたら、そこからSeason1にさかのぼるのもアリですし、原作を最初から読むのもアリだと思います。進めば進むほど新しいことが見えてくる作品なので、まずはこの世界観を体感してほしいですね。そこからどんどんハマってもらえたらうれしいです。
濱野:ディストピアではあるのですが、皆どこか楽しそうに生きている、不思議な世界なんですよね。ギョーザでもつまみながら、気軽に見てもらえたらうれしいです(笑)。でも、見ているうちに不思議と“ドロヘドロの感覚”に馴染んでいき、だんだんその空気が心地よくなってくるんです。そこにこの作品の中毒性があるんじゃないかなと思って、それが一番のアピールポイントであり、作品のチャームポイントのような気がしています。
[衣装(濱野さん)mindseekerのCross Punk T (BLK) 22,000/円 JOYEUX (TEL:03-4361-4464)]

原作
林田 球「ドロヘドロ」(小学館「ゲッサン」刊)
STAFF
監督:林 祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸 友洋
世界観設計:木村真二 美術監督:杉浦美穂
色彩設計:大西 慈 3DCGディレクター:野本郁紀 撮影監督:朴 孝圭 編集:吉武将人
クリエイティブプロデューサー:淡輪雄介
音響監督:藤田亜紀子 音楽プロデュース:(K)NoW_NAME 制作:MAPPA
CAST
カイマン:高木渉 ニカイドウ:近藤玲奈
煙:堀内賢雄 心:細谷佳正 能井:小林ゆう 藤田:高梨謙吾 恵比寿:富田美憂
バウクス:江川央生 カスカベ:市来光弘 キクラゲ:鵜殿麻由 栗鼠:ソンド
丹波:稲田徹 ターキー:三木眞一郎 アス:郷田ほづみ 鳥太:勝杏里
ジョンソン:木村良平 13:梶裕貴 会川:木村昴
毒蛾:内山昂輝 鉄条:濱野大輝 佐治:越村友一 豚:野村勝人 牛島田:伊丸岡 篤 夏木:松本沙羅
主題歌
オープニングテーマ:「ゼッタイMUST断面」/(K)NoW_NAME
エンディングテーマ:「Return トゥ 頭ヘッド」/(K)NoW_NAME
(C)2026 林田球・小学館/『ドロヘドロ Season2』製作委員会



