小学館が運営するマンガアプリ「マンガワン」の原作者の性加害事件や、それに対する編集部の体制を巡り、大きな波紋が広がっている。連載する作家陣も、連載を見合わせるなどの対応を取っている。
■事の発端は性被害による賠償命令の報道
札幌市内の高校在学中の3年間にわたり教員から性被害を受けたことから、心的外傷ストレス障害(PTSD)を患ったとして、元生徒の20代女性が元教員の50代男性と学校法人に損害賠償を訴訟。2月20日、その判決が下された。男性には1100万円の支払いを命じられ、法人への請求は使用者責任は生じないとし、棄却された。
被害内容は、身体を触るなどのわいせつ行為、性行為の強要、および排泄物を食べさせるといった過激な行為が含まれ、被害者は重度のPTSDと解離性同一性障害を罹患した。
■事件の被告がマンガ家と発覚か―小学館の声明
上記の事件の被告が、マンガ『堕天作戦』作者の山本章一ではないかとネット上で言及されたのち、2月28日、小学館公式サイトより「マンガワンにおける新たな原作者起用問題と第三者委員会設置について」との声明文が公表。
作者・山本章一が児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪で逮捕・略式起訴、および罰金刑を受け、連載『堕天作戦』を中止しており、その後別のペンネーム(一路一)を使用し、引き続き同レーベルにて『常人仮面』を連載していたことが発覚した。
なお、『常人仮面』は配信、単行本の出荷を停止。小学館は本事案について、人権侵害を許さないことを表明し、再発防止に向けて第三者委員会を設置するという。
■マンガワン、小学館の作家たちの声
このことを受け、『堕天作戦』の作画担当・鶴吉繪理は、この一連について何も知らされておらず、報道やSNSより事実を知ったことを明かした。
このほか、ONE、浅野いにお、大童澄瞳といった小学館の作家、並びにマンガワン作家陣がXにおいて、小学館に関する声明や、今後の連載について発言している。『日本三國』の松木いっかは連載継続の未定、『アフターゴッド』の江野朱美は、4月の新刊の発売延期を報告した。
■強制わいせつ容疑で逮捕された元ジャンプ作家の起用
3月2日、マンガワンで連載中の『星霜の心理士』の原作者起用について調査が必要であることが判明した、と小学館から発表。
本作は2025年8月より連載中の原作・八ツ波樹、作画・雪平薫によるマンガ。原作担当の八ツ波は、マツキタツヤ名義で週刊少年ジャンプにて『アクタージュ act-age』の原作を担当していた。
八ツ波は2020年8月に強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、有罪判決を受け、『アクタージュ act-age』も打ち切り。
2024年8月にマンガワン編集者より面会を打診し、被害者への強い贖罪や事件に対する反省などを確認。また、心理カウンセリングの担当者から心的療養、更生していると判断を受け、社会復帰を目指すことは否定すべきではないと編集部も判断したという。活動については、旧ペンネームを使用することにより、被害に遭われた方へ二次加害につながることを懸念し、「八ツ波樹」というペンネームに変更。
作画担当の雪平には過去の事件や経緯を説明し、依頼が受諾されており、今回八ツ波の過去を公表すつことに関しても事前に相談し、連載の継続およびに作画継続にも意向を示しているとのことだ。
■「週刊文春」による報道を受けて
3月5日発売「週刊文春」2026年3月12日号に「被害女性が全告白『私は性加害漫画家と小学館を許せない』」という記事が掲載。それに対し、小学館から新たに声明が出た。
小学館が把握している事実は、2020年2月に『堕天作戦』の作者・山本の児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)容疑で逮捕。それに基づき連載中止の指示を出している。2021年の山本と被害女性の和解協議については、会社は当事者にあたらないため弁護士の委任を指示し、関与した認識はないという。
さらに、新たなペンネームでの連載再会については、札幌地裁判決後の2026年2月25日、マンガワン編集部からの報告で会社として初めて確認。ただちに社内調査を開始し、判明した事実を公表しているとのこと。

