アーティスト活動の最後を飾るアルバム―久保ユリカ「シカノコ」リリース記念インタビュー | アニメ!アニメ!

アーティスト活動の最後を飾るアルバム―久保ユリカ「シカノコ」リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2026年3月号には、アルバム「シカノコ」をリリースした久保ユリカが登場。

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アーティスト活動の最後を飾るアルバム―久保ユリカ「シカノコ」リリース記念インタビュー
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アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2026年3月号には、アルバム「シカノコ」をリリースした久保ユリカが登場。

チームのみんなと作りたいものが作れた

――『シカノコ』は、声優・アーティスト活動最後のアルバムですが、活動終了はアーティスト活動10周年のタイミングでと考えていたのですか?

とくに10周年の節目だから、というわけではないんです。それから、決してポニーキャニオンさんから「もうやめましょう」と通達があったわけではないことは、声を大にして伝えておきたいです(笑)。きちんと説明しますと、私を支えてくださった「チームシカコ」のスタッフさんは声優アーティスト活動においては珍しく、この10年、ほとんど変わっていません。でも、10年も経てば担当プロデューサーさんもどんどん多忙になられて。それでも久保ユリカのために!とお時間を割いてくださっていたのですが、活動を続けるうえで時間を合わせる難しさがどうしても出てきてしまったんです。もちろん新しい担当の方を入れる可能性の話しもあったのですが、私としてはまた新たに関係を築いて続けていくよりも、いまのチームシカコのメンバーとやりきりたい!というのが正直な気持ちだし、それならたまに集まっておもしろイベントをやるくらいの気張らない関係を残したまま、レーベル所属の声優アーティストとしては区切りとしてこのアルバムとライブ&イベントツアーをもって終わりにしましょうという話になりました。そして、私自身、応援してくださる皆さんにハッキリしたことをお伝えしないままでいることにしんどさや違和感があったので「終わりである」という発表をさせていただいた流れです。

――アーティスト活動終了の話が出ると、作品のライブにも出なくなってしまうのではないかと心配される声も出ますよね。

予想外にその声が大きくて、私も驚きました。じつはアルバムの正式な発売発表よりも前に、応援してくださっているシカノコさん(久保のファンネーム)たちには、事前に10周年でアルバムを出すこと、ライブツアーを予定していること。そしてこれが現状の声優アーティストとして最後の活動であることをかなり前の段階で生配信中にお伝えしていたんですよね。ただ、役としてライブステージで歌って踊るような作品が、この2年ぐらいのタイミングでスタートし、出演させていただく機会に恵まれたので、そこで興味を抱いてくださった方や、少しここ最近の私の音楽から遠のいていた方がきっと驚いてしまったのかなという感覚です。スルーすることもできたのかもしれませんが、近しい方にだけ伝わればいいというのは甘えだなと思ったので、SNSでできる限り説明したのですが、やはりそれが届かなかったりもするんですよね。ですので、あらためてお伝えしたいのですが、私、久保ユリカは声優をやめませんし、作品のライブなどはこれからも出演させていただきます。縁あって何かしらのキャラクターとして歌っている姿を見かけたら、「なんだ、歌ってるじゃん」と微笑ましく思ってもらえたらうれしいです。

――では、あらためてアルバムの内容をうかがえればと思うのですが、どんなテーマを設けようと思いましたか?

私のやりたいこと、やってみたいことは、「魅せる」ことをテーマにしたミニアルバム『VIVID VIVID』で達成できたので、今回はずっと私が誇りに思い、大切にしてきたチームシカコの皆さんにやりたいことをやってほしくて。いまの私で聞きたい曲やプロデュースしたい曲を作ってほしいとお願いしました。実際、レコーディングのときもみんなで歌の方向性を相談しながら作りましたし、皆さんが各々で見たい私、聞きたい私はこんな感じなんだ、というおもしろさもありました。

――アルバムタイトルをファンネームである「シカノコ」に決めた理由は?

タイトルは、ミュージックビデオ(MV)の撮影前に相談して、「シンプルすぎるけれど、『シカノコ』もありですか?」とダメ元で言ったらそれが採用されました。リード曲の「Poppin Bambi」をそのままタイトルにする案もあったのですが、プロデュースしてくれた4人のチームの皆さんももちろんシカノコさんで、聞いてくださる方々もやっぱりシカノコさん!ここで使わないともう使えるタイミングもないだろうということで決めました。


――カバーの2曲は、どのように選んだのでしょうか?

カバー2曲は、私から希望を出しました。最後にツアーをするのでライブを想定した曲にしたくて、元気な曲として「非常にイェイね」、アレンジ前提になりますが、静かな曲として「BABY BABY」の2曲を選びました。

――「非常にイェイね」を歌っているスムルースは、2ndシングル「SUMMER CHANCE!!」からのお付き合いですよね。

そうですね。ラストですし、スムルースさんなしで最後のアルバムを作るのはイヤだなと思い、大好きな楽曲のカバーをさせていただこうと思いつきました。私はもともとスムルースさんのライブでのコール&レスポンスが大好きなので、一体感を持てて今回のアルバムに同系列の曲がないものとして「非常にイェイね」を選ばせていただいたのですが、スムルースのメンバーである回陽健太さんが女性でも歌いやすいようにアレンジまでしてくださって、そこに愛を感じながら歌わせていただきました。

――もう1曲の「BABY BABY」は銀杏BOYZさんのカバーです。

銀杏BOYZさんの楽曲は、いつか歌いたいと思っていたのですが、私の声質だとなかなか難しくて。でも、アコースティックバージョンにしていいのであれば歌えるのではと相談させていただき、快諾いただけて収録することになりました。もともと、ボーカルの峯田和伸さんの魂のこもった歌い方がすごく好きで聞き慣れていたこともあり、その感覚が抜けきらずに、レコーディングはちょっと苦戦しました。でも、最終的にはアレンジを担当してくださったオシノさん(作家さん)の意図も汲みつつ自分なりに表現すべきところまで歌いきれたと思っています。

――新曲について教えてください。

「Poppin Banbi」は最初からリード曲で、MVを作ることが決まっていました。プロデューサーさんが、MVは卒業感のあるさみしさとかを込めるのではなく、とにかく楽しそうな久保ユリカを見たいと言ってくだり、それをもとに楽曲が作られていきました。最初に上がってきた歌詞は、ラストということでしんみりとしたエモさを感じさせるものになっていたんですね。それはちょっとイメージと違うかなという話になり、意味深長になりすぎないように、でも意味がなさ過ぎる言葉にもならないようにとていねいに調整をしていただきました。結果、Dメロではしっとりもするけれど、楽しくキャッチーで「笑顔が一番だよね」というテンションで終われる、10周年おめでとう、ありがとうな曲になりました。

――「Poppin Banbi」のMV撮影の思い出を教えてください。

私のMV史上、過去最大の出演者になっていて、とてもにぎやかです。ダンスパート以外のお芝居風なパートにもダンサーさんや役者さんに入っていただいて、とても新鮮でしたね。「可愛くって意地悪しちゃう」のMV監督さんに今回も撮っていただいたので、撮影現場もとても安心感がありました。出来上がりも私が楽曲に感じていた夏の海のようなイメージを、それとはまた違ったニュアンスで素敵に昇華していただいて感激しました。あらためて、多くの方がこのアルバムに携わってくださっていることを自分の目で見ることができましたし、ラストにふさわしい最高のMVを作っていただけたと感謝しています。

――2曲目の「COUNTDOWN0」も楽しげなナンバーですね。

曲はかわいく、歌詞にはロックな熱さもありますよね。じつはこの曲がリード曲よりも先にできていて、これはこれでMVを撮ってもよかったかもと、みんなで盛り上がった曲でもあります。でも、リード曲はよりキラキラ感が強く、この曲はリード曲にならなくても輝いてくれそうということで2曲目になりました。かなり作り込んでおもしろく歌わせてもらったので、そこをライブでも楽しく表現できたらと思っています。ただ、息継ぎが大変そうなところだけが心配です(笑)。

――6曲目の「イルミネーション」はしっとりとしたナンバーです。

私はデビューが2月で冬に活動していることが多いわりに、しっとりとした冬を感じさせる曲を歌ってこなかったんですね。いままであまりないタイプの曲だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的にとても好きな曲です。じつは、最初の歌詞ははちょっとさびしい、卒業ソングのような方向性だったんですね。それはそれでグッときたのですが、この楽曲の担当スタッフさんは、私と世代も近く、好きな音楽も似ていたのでなんだか謎の信頼感もあって!(笑)、これまでの私のイメージとかここまで制作の流れを無視して、「“冬の歌”を作るとしたら」というざっくりとしたテーマで再考をお願いしました。もともと実っていない恋の曲を歌ってみたい気持ちもあったので、それをお願いした結果、まさに「これ!」と言いたくなる曲を作っていただけました。うれしいです。中学時代の一番音楽を聞いていたころの私がきっと歌いたかったであろう曲に、いま出会えた気がしています。

――そして、ラストを飾るのが「Special Thanks!!」ですね。

レコーディングが最初に終わって、これもリード曲にしようかという案が出たくらいでした(笑)。この曲は、デビュー曲の「Lovely Lovely Strawberry」を作ってくださったYugo Ichikawaさんに、プロデューサーさんが「『Lovely Lovely Strawberry』の10年後で」とお願いをしてくださったんです。作品の10年後でもあり、私の10年後、そしてYugoさんの10年後をすべて内包したような、明るいけれどちょっと大人のテンポ感の曲になりました。

――確かに、曲の入りに「Lovely Lovely Strawberry」を思わせる部分がありますね。

ハット(シンバルの一種)を入れてもらっているのですが、そこは「Lovely Lovely Strawberry」と同じにしてほしいと、プロデューサーさんがオーダーしたそうです。曲があまりにもよくて、「Lovely Lovely Strawberry」のMVを撮影した場所に行って、非公式ではあるけれど動画を撮ろうという話になったくらいなんです。

――新曲としては、アルバム最初のレコーディングということで、歌い方などは相談したのでしょうか?

じつは、Yugoさんとは10年ぶりということもあって、ありがたいことにYugoさんのなかにまだ10年前の私のイメージが存在していてくれたようで……!(笑)「楽しそうに、かわいく歌って大丈夫ですよ」とディレクションをいただいたのですが……、10年前は自分の歌や声が何かもわからず、キャラクターソングの歌い方が当たり前になっていた部分があって。それもいまは抜けていますし、その変化を出しつつ楽しさにちょっと余裕のある等身大の大人な表現で歌いたいと思っていたところに、プロデューサーさんが「キャラっぽく歌わなくていいですよ」とアドバイスをくださり、本当にありがたかったです。結果、自分の一番気持ちのいいところで歌うことができました。

――ライブで何度も歌っていくと、どんどん歌い方も変わりますよね。

そうなんです。新しいボイストレーナーの先生について、声を太く、響くようにとレッスンしていることもあって、歌い方もだんだん変わっているんですね。もちろん、当時の歌い方が好きな方もいらっしゃるので、そこから外れすぎず、でも進化したイメージで、それでも時間軸が変わったことを感じられるこの曲をいまのシカノコさんに聞いていただけたらと思います。

――4月には、ツアーがありますね。

あまり最後を意識せずに楽しみたいと思っています。ただ、私、ライブ中すごく話すんですね。今回はトークとライブに分かれているので、ライブパートはあんまりしゃべらないようにしないと(笑)。ツアー自体は今回が初めてで、最後の最後にやりたいと思っていたことができてうれしいです。

――アーティスト活動ではどんな経験が得られたと感じていますか?

やはり、シカノコさん、お客さんとの距離が一番縮まったことが大きいですね。私のことを応援してくださる方が考えてくれていることを、アーティスト活動を通して知ることができた気がしています。リリースイベントの距離感や、あそこまでしゃべり倒すイベントはアーティスト活動でしかできなかったと思うんです(笑)。どんな表情で私を応援してくださっているか、どんなふうに思いを伝えてくださるかをリアルに感じることができたので、よかったなと思っています。それから、シャイな方にとっては、明確なトークテーマがないと何かを伝えるのって難しいのではないかと思うんですよね!でも、リリースイベントだと、曲のことについて気持ちを語り合えるので、歌うことの喜びはもちろん、関係を深く結べたことがうれしいです。

――いまは、やりきったという気持ちですか?

そうですね!最大限、最後まで楽しくやらせていただけた気持ちです。私は性格的に、やりたいことを自分だけが楽しんでやるのは好きではないので、もしも『VIVID VIVID』で活動が終わっていたとしたら、心残りがあったと思います。だからこそ今回、チーム内でチームのみんながやりたいことをやってくれたのがうれしくて悔いはありません。皆さんと近い距離でお会いできる機会が減るのは正直さびしさもありますが、何らかの形でまたいつかイベントができたらと考えています。

――では、最後に読者にメッセージをお願いします。

応援してくださった皆さんのおかげで、アーティストとして10周年を迎えることができました。スローペースな活動でしたが、毎回満足のいくものを届けられたと思いますし、それを聞いて喜んでくださった皆さんのお顔を見て、幸せを感じることができていました。今回『シカノコ』が、皆さんにどんなふうに届くのか、いまはドキドキしています。アルバムを聞いて、ちょっとでも楽しかった、好きだな、気になるなと思った方。これまで久保ユリカに触れてこなかった方ももちろん、ぜひライブでもトークでも!ちょっと不思議なイベントに遊びに来てみてください。お待ちしております。



Profile
くぼ・ゆりか/5月19日生まれ。奈良県出身。ステイラック所属。2010年から声優活動をスタートし、2016年にアーティストデビュー。声優としての主な出演作は、『履いてください、鷹峰さん』鷹峰高嶺役、アニメ『mofusand』サメにゃんなど。

Information
4月12日の神奈川県・横浜ランドマークホールを皮切りに、全国4か所でのラストライブツアー開催が決定。各2回公演で、「Live」と「Takl」を開催予定。イベントの詳細は、公式webサイト【https://shikaco.jp/】をチェック。

『シカノコ』

久保ユリカの2枚目となるアルバム。CDリリースされた「可愛くって意地悪しちゃう」に新曲4曲、カバー曲2曲などを加えた全10曲収録。初回限定盤には、リード曲「Poppin Bambi」のMVやメイキング映像、ジャケット撮影メイキング映像を収録したBlu-rayが同梱。

発売中
ポニーキャニオン
きゃにめ限定盤7920円(税込)
初回限定盤4950円(税込)
通常盤3300円(税込)

《メガミマガジン編集部》

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