2026年1月、待望のTVアニメ『メダリスト』第2期が放送が始まった。
第1期は、居場所のなかった少女・結束いのりが、フィギュアスケートという銀盤の上で初めて自分の「夢」を肯定し、挫折を経験したコーチ・明浦路司と共に世界へ踏み出す「祝福」の物語だった。しかし、幕を開けた第2期は、もはや純粋な喜びを感じるだけの時間ではない。持ち始めた夢が重荷となり、希望が「果たさなければならない義務」へと変質していく残酷な試練の章となる。
折しも現実の世界では、2026年2月6日にミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開幕。女子シングルにおいて、今大会での引退を表明し、自身最後の大舞台に挑む坂本花織への注目が最高潮に達する中、アスリートをリアルに描く本作への関心もかつてないほどに高まっている。
(※この記事には、TVアニメ『メダリスト』の具体的な内容に関する記述が含まれています。未視聴の方は閲覧にご注意ください。)
◆中部ブロック大会開幕――祝福から試練へ「できて当然」という名の呪い

第2期は、いのりが名港杯や西日本大会で実績を積み、バッジテストを経て、ついに「天才少女」狼嵜光と同じ土俵に立つ資格を手にしたところから加速する。目標は全日本選手権への出場権をかけた「中部ブロック大会」だ。1月31日放送の第15話「私のカード」では、ついにノービスA女子の競技が開幕した。
今回の大会は、絶対王者である狼嵜光がシード権により不在である。それは「誰もがトップに立てるチャンス」であると同時に、全日本へのわずか5席を巡る、言い訳のきかない椅子取りゲームを意味する。第1期におけるいのりの挑戦は「持たざる者」が「持つ」ための過程であったが、第2期ではもはやその猶予はない。

成長し、技術を習得することは、同時に「できて当然」の水準が上昇したことを示す。昨日まで成功させていた技が、プレッシャーや体調のわずかな変化で今日できない。その瞬間、それは「伸びしろ」ではなく「失敗」への重圧となる。自分に対する周りの要求が増え、その期待に応えなければいけない責任という名の“呪い”にいのりがどう立ち向かうかが2期の大きな見所と言えるだろう。
◆「救済者」から「パートナー」へ「救う側」でいられなくなった司コーチ

第1期における司は、一貫して「救い」の象徴であった。いのりの才能を見出し、彼女を束縛していた環境から連れ出した彼は、いかなる時も肯定を忘れない“安全地帯”のような存在として描かれた。
しかし、選手がより高い頂を目指すほど、指導者は優しいだけではいられない。選手が本気で世界の頂点を志すならば、コーチは時として誰よりも冷酷に現実を突きつける壁としての役割を担わなければならないからだ。

選手のコンディションが悪ければ、たとえ本人が望んでも制止しなければならない。さらなる高みへ到達させるために、あえてこれまでの成功体験を否定し、苦痛を伴う技術修正を強いる必要も生じる。司がいのりの失敗を自らの痛みとして背負う「パートナー」へと変貌を遂げていくことで、師弟の絆は1期とは次元の違う深化を見せていく――。
◆悪役のいない物語の残酷さ。ライバルと分かち合う孤独

第2期では、競合相手たちの描写も劇的に深掘りされる。中部ブロック大会で立ちはだかるライバルたちは、もはや「好敵手」というだけの存在ではない。彼女たちもまた、いのりと同様に不安を抱え、重圧に押し潰されそうになりながらも、不断の努力を継続している生身の人間である。

八木夕凪、申川りんな、炉場愛花といった選手たちは自分と同じ、あるいは自分以上の覚悟を持って氷上に立っている。本作品では「ライバル」は“悪役”として描かれていないのが特徴的だ。彼女たちは同じ目的のために人生を削り合っている「同志」だ。

しかし、自分の夢を成就させるということは、同じ場所に立つ誰かの夢を自らの手で否定するということでもある。その罪悪感と孤独を背負いながらも滑走し続けるいのりの姿は、観る者の心を締め付けることだろう。
◆アニメならではの氷を削る音と呼吸。極限の緊張を描く「音」の演出

第2期において注目すべきは、張り詰めた空気感の演出だ。第14話「選手宣誓」から、その演出は際立っていた。第2期は不必要な装飾を排した音響設計により、競技が内包する本質的な孤独を際立たせる。演技直前の、誰も声を上げられないリンクに響くエッジが氷を削る音。極限の緊張状態で繰り返される浅い呼吸。そして、失敗した瞬間の時が止まったかのような無音。これらは、彼女たちの感情が「努力」や「悔しさ」といった平易な言葉では表現しきれない段階にきたことを示唆している。

また、オープニング映像の冒頭で描かれた凍った湖の上で太陽に向かって跳躍するいのりの姿や、ラストでライバルたちと滑るエキシビジョンのような群舞は、一人のアスリートの物語へと進化したことを象徴していると言えるだろう。
冬季オリンピックというタイミングで放送される『メダリスト』2期。ミラノの氷に立つ坂本花織の勇姿に、作品のファンは“未来のいのり”をかぶらせるのではないだろうか。
◆TVアニメ『メダリスト』第2期作品概要

<放送情報>
2026年1月24日よりテレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠ほかにて放送開始
1月24日より毎週土曜日深夜1時30分~
CSテレ朝チャンネル1:1月25日(日)より毎週日曜 夜9時00分~
BS朝日:1月25日(日)より毎週日曜 夜11時30分~
<配信情報>
ディズニープラス スターにて配信開始
ディズニープラス スター:1月24日(土)より毎週土曜 深夜2時00分~
YouTubeにて期間限定無料配信
YouTube「TVアニメ『メダリスト』公式チャンネル」:1月24日(土)より毎週土曜 深夜2時00分~
その他、個別課金サイトでも順次配信予定
<スタッフ>
・原作:つるまいかだ(講談社「アフタヌーン」連載)
・監督:山本靖貴
・シリーズ構成・脚本:花田十輝
・キャラクターデザイン・総作画監督:亀山千夏
・フィギュアスケート振付:鈴木明子
・フィギュアスケート監督・3DCGディレクター:こうじ
・3DCGビジュアルディレクター:戸田貴之
・3DCGアニメーションスーパーバイザー:堀 正太郎
・3DCGプロデューサー:飯島 哲
・色彩設計: 山上愛子
・美術監督:中村葉月
・撮影監督:柏木健太郎
・編集:長坂智樹
・音楽:林ゆうき
・音響監督:今泉雄一
・音響効果:小山健二
・アニメーションプロデューサー:三浦孝純
・アニメーション制作:ENGI
<音楽>
オープニング主題歌:「Cold Night」HANA
エンディング主題歌:「Rookies」Conton Candy
<キャスト>
・結束いのり:春瀬なつみ
・明浦路 司:大塚剛央
・狼嵜 光:市ノ瀬加那
・夜鷹 純:内田雄馬
・鴗鳥理凰:小市眞琴
・鴗鳥慎一郎:坂 泰斗
ほか
(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

