2025年もアニメ主題歌には数々の名曲に恵まれ、私たちの心を躍らせました。新しいアニメが公開されるたびに、その世界を彩る主題歌もまた忘れられない記憶として刻まれます。アニメのストーリーと共鳴し感情を揺さぶるこれらの楽曲は、ファンにとってまた特別な存在です。
アニメ!アニメ!編集部では、今年のアニメ主題歌の中から、ライター陣や編集メンバーがそれぞれが2025年の一押しソングとして特にお気に入りの楽曲をセレクション! 何百回も聴いたあの曲、劇場に通い詰めて聴いたあのメロディ。熱い熱い思いを込めて紹介していきます!
米津玄師「BOW AND ARROW」/『メダリスト』
2025年の主題歌の中でも、米津玄師「BOW AND ARROW」は群を抜いて存在感がありました。米津本人が『メダリスト』の原作に惚れ込み、逆オファーという形で制作が始まったという背景がまず熱い!その熱量が曲の芯になっていて、挑戦する人間の感情、アイススケート特有の踏み出す瞬間の覚悟や緊張感を「弓と矢」として表現している点も素敵。キラキラしている導入からサビへ向かう加速感は、リンクに立つキャラクターの呼吸に寄り添っているようで、物語の表情をそのまま音楽に変換したような曲です。米津のアニメ主題歌はどれも完成度が高く、大好きなのですが『メダリスト』への深い理解と愛情がここまでダイレクトに形となった楽曲は2025年を代表するアニメ主題歌だと強く感じます。(R・K)

Aimer「太陽が昇らない世界」/『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
2025年1番話題になった映画といえば『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』ではないだろうか。本作は歴史的興行収入成績となった前作の記録を塗り替え、全世界興行収入1000億を超える大ヒット作品となった。そんな大作の冒頭に流れるのが「太陽が上らない世界」である。この曲に合わせ、無限城に落ちた鬼殺隊のキャラクターそれぞれの戦闘シーンが描かれるが、このシーンで映画の世界観に一気に引き込まれた方も多いのではないかと思う。Aimer特有のかすれと力強さを併せ持つ歌声が、「太陽が昇らない世界(無限城の中)でも進み続けなければならない」という作品のテーマと深く重なり、胸を締め付けられる。今年のアニソンの中でも、作品性と音楽性の両面で強く記憶に残る名曲である。(K)

HoneyWorks feat.ハコニワリリィ 「質問、恋って何でしょうか?」/『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』
中毒性が高い! この一言に尽きます。サビのリズムがとても良く、春アニメの放送時には思わず何度もリピートしてしまうほど夢中になっていました。OP映像でも、印象的なサビに合わせてヒロインの犬塚日葵と榎本凛音が踊るシーンがあり、楽曲と映像が相まってさらに中毒性が倍増しています。踊っているときの2人の豊かな表情も魅力的で、特に「キスなんてノンノン」の場面で見せる表情は必見です。また、曲の歌詞と作品内容がしっかりリンクしている点も魅力的。「男女の友情って成立する?」というテーマの通り、3人の関係性が揺れ動いて物語が進んでいく様子が歌詞にも丁寧に織り込まれており、聴くほどに物語の余韻を深めてくれます。(フリーダム山中)
スピラ・スピカ「アオとキラメキ」 /『その着せ替え人形は恋をする』Season 2
「燦々デイズ」がseason1を象徴する名曲だったからこそ、season2 OPへの期待は大きかったと思いますが、「アオとキラメキ」はその余韻を受け止めつつ、新しい青春のときめきを届けてくれる一曲。軽やかなメロディに、体が揺れるクラップやコーラスが重なり、聴くだけで胸がふわっと明るくなるキラキラ感も魅力です。さらに、OP映像でクレジットが背景に溶け込むデザインがとてもキュート! サビで次々とコスプレ姿に変わりながらアオハルを駆け抜けていく海夢ちゃんがとにかく可愛くて、清涼感あるサウンドと作品愛たっぷりの映像が重なる瞬間に「これだよこれ…!」と胸が高鳴りました。(H)
星街すいせい「もうどうなってもいいや」/『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』
「何話まで見たかで印象がガラリと変わる ED 映像」。それがホロライブ所属「星街すいせい」さんが歌う『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX』(以下「ジークアクス」)の EDテーマ「もうどうなってもいいや」です。1話時点ならイチャイチャが微笑ましく、袂を分かってからは「あの映像は妄想だったの?」と疑い、最終話で「やはりこの関係性がいい!」となってエピローグ映像との共通点に気付いてさらに驚かされる。歌も映像も共通なのに受け取り方が変わるのは、やはり演出が優れている証拠です。星街さんの歌声も「さすが武道館ライブの夢を叶えた歌姫!」と思える心地よさ。放送には乗らない 2コーラス目では、ジークアクスの物語展開と同様にガラリと変わるサウンドに引き込まれます。個人的に好きなのはコーラス部分。特に「混じり合う星に思い馳せて」のコーラスが心地いいです。星街さん自身、物語本編を何も知らずにリアルタイム視聴をしており、視聴後のXのポストの反応や、シリーズ作品を独自に視聴した際の感想、『ジークアクス』の同時視聴のリアクションなど、いち視聴者としての反応もおもしろく、「一緒に楽しんでいる感覚」が楽しめた全12話でした。(ライター:気賀沢 昌志)

米津玄師「Plazma」 /『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』
一年中、頭の中で流れていたフレーズといえば?「飛び出して行け宇宙の彼方」です!!本放送前は歌詞で「Zガンダム」との考察をしたり、MVに散らばる赤い彗星だのの小ネタを見つけたり……。一曲で何粒も美味しい曲でした。OP映像の疾走感も最古う! (八羽汰わちは)

QUARTET NIGHT「TABOO NIGHT XXXX」 /『劇場版 うたの プリンスさまっ TABOO NIGHT XXXX』
人生でこんなに“Kiss”を浴びた一年があっただろうか。『劇場版 うたの プリンスさまっ TABOO NIGHT XXXX』のメインテーマ「TABOO NIGHT XXXX」では、歌詞の中に“Kiss”がこれでもかと散りばめられている。全編ライブアニメーションで描かれる本作では、4人組グループ「QUARTET NIGH(カルテットナイト)」が本曲をパフォーマンスするのだが、振り付けでもあの手この手で“Kiss”を思い起こさせるモーションが…さらに、アイドルコンテンツ楽曲らしくこちらに話しかけるセリフパートがあり、そこでも“Kiss”の雨が降り注ぐ。しかも4人それぞれの個性に合わせた“Kiss”への誘いセリフ。「あー、世の中にはこんなに“Kiss”の種類があるのか。一生分の“Kiss”浴びたな」。そんなことを感じた2025年でした。来年も素敵な“Kiss”に会えますように。(みなみ)
水曜日のカンパネラ「サマータイムゴースト」 /『九龍ジェネリックロマンス』
今年イチオシのアニソンであり、私の夏の歌となった「サマータイムゴースト」。歌詞には作品に関わるワードや九龍の情景を表すワードが多く登場し、アニメを観進めるなかで、物語の展開やキャラクターの心情とリンクし、「ああ、そういう意味だったのか!」と何度も新鮮な気持ちで曲を楽しめました。またどこかレトロで懐かしさを感じさせつつも、近未来的なサウンドは作品の世界観にもぴったりで、聴くたびに「もう戻らない瞬間」を意識させなんだか切なくなります。ノスタルジックで儚い夏の雰囲気を感じられるこの曲は来年の夏も聴きたくなるだろうし、聴いたら九龍が恋しくなってまたアニメも見返すことになると思います。(T)
キタニタツヤ「まなざしは光」 /『薫る花は凛と咲く』
「青のすみか」で青春ソングが高く評価されていたキタニタツヤさんですが、「まなざしは光」はその期待をさらに更新する、初恋の“最強感”を閉じ込めた一曲です。作品「薫る花は凛と咲く」と同じく、相手の笑顔を見た瞬間や指先が触れた一瞬で世界が色づくような感覚が繊細に描かれ、胸がぎゅっとする距離感や、静かな確信へ変わっていく想いがとても美しく表現されています。「きみが笑うだけでどうしてこんなにも 過去の自分がほどかれるのだろう」という一節は、まさに薫子と出会った凛太郎の心情そのもので、作品とリンクした歌詞もグッとくるポイント。初恋特有の透明な熱と眩しさがまっすぐに届き、聴くと心が澄んでいくような感覚になります!!(H)
aiko「skirt」/『アポカリプスホテル』
いきなり流れる不協和音、ふらついているようで腰の据わったボーカル……この曲が初めて流れた第2話で「なんだコレ?」と驚いたことはよく覚えている。そして3話、4話と進むにつれ、この曲と『アポカリプスホテル』が、それぞれまったく違う物語を綴っていながら、ストーリーや世界観よりもっと手前の“なにか”を深く共有している気がしてきたのだった。キャッチーな先入観を心地よく裏切る複雑さや奥深さ、明るく響くほどむしろ切なくつらさが募るサビ、もう交わることはないであろう相手へ贈られる「じゃあまたね」という再会の約束。いや~最終話を迎える頃にはもう、ヒロインのヤチヨちゃんがくるくる踊る姿だけで鼻の奥がツンとするようになってねぇ……。(ライター:丸田カヨコ)

BE:FIRST「Stare In Wonder」 /『ワンダンス』
音楽シーンでの存在感を高めてきたBE:FIRST。ついに武器であるダンスをテーマにしたアニメの主題歌に抜擢されるとは。彼らのルーツに流れるHIP HOPを最大限詰め込んだサウンドとコレオグラフは、『ワンダンス』で描かれる「音を聞いて、感じて、音楽に従って表現する楽しさ」というダンスの本質を表現している。特に秀逸だったのは第3話。ダンス部部長の宮尾 恩によるアフタビートの解説から始まる冒頭、そしてOPの「Stare In Wonder」が流れ出す。するとどうか、数秒前に解説されたアフタービートの「ドッカッ」という重低音が急激に聴えてくる。アフタービートへの解像度も、「Stare In Wonder」への解像度もグンと跳ね上がる瞬間である。主人公のカボが聴いている音がどんなものか、視聴者に直観的に理解させるのにこれ以上ない演出は、ダンスに馴染みが無かった視聴者をも確実にワクワクさせる。(凪山)

羊文学「Feel」/『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』
「feel」は、柔らかく儚げなサウンドの中に、前へ進む勇気がそっと灯るような一曲です。自分を卑下し、他人と距離を取ろうとしていた主人公・モニカが、大切な友人たちと出会うことで「守りたい」という想いに気づき、踏み出すことへの怖さを抱えながらも挑戦しようとする――。その心情が「feel」の淡くも力強い音像と歌詞にぴたりと重なり、聴くと少し切なくてやさしい気持ちになります。また、モニカの“一歩”を踏み出す気持ちを表した歌詞は、原作で後に明かされる“とある人物”への静かなメッセージとしても受け取れて、歌詞を読み解きながら聴くのも楽しい…!(H)

Uru 「プラットフォーム」/『永久のユウグレ』
SF的な世界観と、人を想う気持ちの普遍性を同時に内包するこの楽曲は、作品そのものを静かに映している。楽曲からこの作品を観るようになったが、〈今、相応しい人になるため〉〈愛の形はいくらでもあるんだ〉といった歌詞は、アキラとユウグレの関係性や、登場人物たちが抱える不完全さを肯定するように響いた。登場人物の穏やかな声質が思い起こされる余韻の中で、〈君にも泣きたくなる時があるだろう〉というフレーズが胸に残る。永遠の愛を押しつけがましくなく、夕暮れの光が水面に優しくきらめくような主題歌だ。(I)

どついたれ本舗「笑門来福」/映画『ヒプノシスマイク −Division Rap Battle-』
今年イチオシの楽曲は映画「ヒプムビ」で聴ける「笑門来福」。大阪を拠点とするチーム「どついたれ本舗」が歌っており、楽曲提供はデビュー曲ぶり以来、2度目となるCreepy Nutsだ。前作「あゝオオサカdreamin'night」とはまた違った“大阪らしさ”漂うサウンドに、漫才のような耳心地のよいリリックがにぎやかで楽しい。元々お笑いコンビを組んでいたが解散した2人と、年齢が20も離れた詐欺師というまとまりがなさそうな3人が、ファイナルラップバトルに挑んだ本楽曲は、これまでにない“一体感”がある。ただし、映画は観客の投票によってルートが変動していくため、バトルに負けてしまうと聴くことができない。はたして、私が50回見に行って「笑門来福」を聴けたのは何回だったのだろうか?(スーサイド・モモ)
そして、あなたにとっての「推し活ソング」は何だったでしょうか? 2025年のアニメ主題歌を振り返りながら、お気に入りの一曲を思い返してください。今年のアニメ音楽を通じて、2026年に期待を膨らませましょう!

