”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

タイトーが自立型ぬいぐるみブランド「てちぬい」を展開しました。自立とかわいさにこだわり、入社2年目の若手社員が自分のぬい活をもとに開発。お話を聞いてきました。

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”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】
”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】 全 20 枚 拡大写真

二本足で自立できるぬいぐるみとして誕生したプライズ(クレーンゲーム景品)シリーズ「てちぬい」。プライズ事業を手掛ける株式会社タイトーが2025年12月より展開を開始する新ブランドです。

その名の通りてちてち歩きだしそうな愛らしい姿、スタンドなしでも飾れてぬい撮りにぴったり、お出かけのお供にもしやすい手のひらサイズでぬい活ファンの期待は高まるばかり!第一弾は「忍たま乱太郎」で、12月登場予定のvol.1(猪名寺乱太郎、善法寺伊作、食満留三郎)を皮切りに、1年生&6年生を中心とした12人のキャラが登場予定です。

実は、このブランドの立ち上げを担当したのは入社2年目の若手社員、株式会社タイトー マーチャンダイジング事業本部の伊藤 美玖さん。伊藤さんは、入社前から推し活に励んできた1人。入社早々、オタクの夢が詰まったぬいを世に送り出せるかもしれないと、1年半もの時間をかけて、まさに「てちぬい」に命を吹き込む勢いで開発を進めてきたのです。

本稿では、伊藤さんと同じくマーチャンダイジング事業本部で、その上司である中山 真里さんを取材し、「てちぬい」の製作・開発秘話に加え、あふれる「てちぬい」への愛を語っていただきました!

「てちぬい」が自分で立ってくれることで、「一緒に暮らしている」と実感できる

「忍たま乱太郎」1年生&6年生を中心とした12人が勢揃い!取材時、思わず全員並べてしまいました!

――おふたりのお仕事について教えてください。

中山弊社は全国で展開するアミューズメント施設「タイトステーション」の運営やゲーム開発事業などを手掛けておりまして、私たちが所属するマーチャンダイジング事業本部は、キャラクターグッズ、フィギュアやぬいぐるみブランド、くじ商品などを展開していて、そのひとつが「てちぬい」などアミューズメント施設向けのプライズ(景品)の企画、開発、製造です。

――「てちぬい」開発のきっかけはどんなことだったんですか?

伊藤私が今の部署へ配属された後すぐ、弊社で「ぬい(ぐるみ)のブランドを創設する」という気運が高まっていて、そこで私自身がオタクなので、まず「自分はどんなぬいが欲しいか、どういうぬいがあったらぬい活がはかどるか」といったことを考え、企画することにしました。ぬいってキャラクターを投影して愛すもの、一緒に暮らす存在だと思っているのですが、自力で立ってくれることによって、より生きているように思えて、一緒に暮らすという実感があるんじゃないかということを考えつきました。

また、私自身がぬい撮りをしてきた中でも、スタンドをわざわざはめて立たせたり、何かに立てかけたり、手持ちする時は手が写り込まないように……といったことを経験していたので、自立してくれると手軽にぬい撮りできてすごくいいだろうなと思っていたんです。そこで、「自立できてお顔もかわいくて、ファンの方に喜んでもらえる要素を詰め込んだぬいを作りたいです」と、熱量高く企画を出したところ「いいね、やってみたら?」と言ってもらえ企画がスタートしました。

自立することで、撮影が捗ります

中山当時、私と当時の伊藤の上司で提案を聞かせてもらったのですが、本当に熱意がすごくて。ブランドを立ち上げて育てていくのは大変な仕事だし、新卒で入社したばかりだから一筋縄ではいかないだろうけれど、みんな協力するからがんばろう!という感じでスタートしました。実際、上長に教えてもらいながら売上計画まで自分で立てたりしています。

プロジェクトチームも、伊藤が声をかけてお願いしたメンバーだけでなく、この企画に興味を持って自ら立候補してくれたメンバーもいて、すごくいい感じでチームが自然と集まってきましたね。

――「忍たま乱太郎」のてちぬいはすでに告知がスタートしていますが、ファンの方の反応はいかがですか?

伊藤SNSで「お顔がすごくかわいい」とか「自立するのがえらいね」といったお声があったり、告知解禁日にファンアートを公開してくださった方がいたり、「てちぬい」というブランド名がいいと褒めてくださる方がいたり……とてもうれしくて、活力になってます!

自立できるうえに「ぬいぐるみとしてのかわいさ」をとことん追求

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

――「てちぬい」の開発で特にこだわったポイントはどんなところですか?

伊藤まず各キャラクターに落とし込む前の「基本になるお顔」ですね。何案も何案も出して検討しました。当初は目に星が入っているデザインなどもがあったのですが、最終的にはいい意味でシンプルな、それでいてかわいく見えるお顔の比率をキープできているものになりました。

顎のところに縫い目のラインが入っているんですが、実はこれがあると二重顎っぽくなりがちなんです。でも、丸くてかわいいお顔にするためには顎下のパーツは必須で、これがないとお顔がすごい平面的になってしまうんです。そこで、何回もやり直して、縫い目があってもかわいく見えるサイズ感を探っていきました。 ちなみに、お顔をキュッキュッと揉んで丸く整えてあげるとさらにかわいくなるので、お迎えしたらぜひやってみてください!

「ぬいの魅力と自立する造りを両立させる」ことも重視しました。ぬいぐるみの足の底にプラスチック板を入れて自立させる方法もあったのですが、「てちぬい」の足にはペレットというビーズ状のプラスチックを入れて、自立しながら触り心地もよくなるようにしています。もちろん、手の長さや頭と体のバランスなども「簡単に立たせられて、なおかつ、かわいい」ものになるようにこだわりました。当初は頭が大きく、バランスが崩れて立たせられなかったり、足の接地面が小さくて立たせられなかったり……工場で何回もサンプルを作り直していただいて、やっと今の形に落ち着いたんです。

――伊藤さんが「てちぬい」の開発をやりぬいた原動力とは?

伊藤「かわいいもの好きな私が欲しいものは、他のかわいいもの好きな方もきっと欲しいんじゃないか」と信じてやってきたので、やっぱりSNSなどでファンの方が喜んでくださっている様子を見ると「がんばってよかった」としみじみ思いますし、活力になりますね。納得いくまで、それこそ「(命が)生まれた!」と思えるまで追い求めた「てちぬい」なので、今はみなさんのお手元に届くのが楽しみです。

開発の舞台裏を公開!そんなところにもこだわりが!?実録「てちぬい」の企画開発

1. 丸くてかわいくて、自分で立てるぬいを作りたい!「企画」

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

伊藤「足に入れたペレットで自立できる」、「頭は平たい形ではなく、丸い形にする」といった仕様は最初から決めていました。でも、当初はお顔も最新のサンプルとは違うデザインだったんですよ。例えば、瞳の中のデザインは「ぬいの見ている風景が瞳に映っているとかわいい」と、まずは夜空をイメージして作ってみたのですが、キャラクターへ落とし込む時に相性が分かれそうだということで、最終的にシンプルなデザインになりました。

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

そこに至るまでも、「卵型の瞳はどうか」、「イラストで描かれる感じの瞳はどうか」、「瞳自体を星形にしちゃおう」と、さまざまな案を作りまして。社内のかわいいもの好きさんにも集まってもらって、「今はどういう瞳がトレンドなのか」といったご意見をいただいたりもしました。

2. 頭や体、手足の大きさ、お顔のデザインも超こだわって!「サンプル制作」

サンプルで作られた「てちぬい」くん。右が最新、左が最初の形状サンプル

中山会議で「実物がないと、版元さんに『作らせてください』とお願いしても『どういうものかわからないので……』と困らせてしまいかねない」という話になりまして。まずは伊藤さんのオリジナルキャラクターで「こういうものです」という形状サンプル(工場で作ったサンプル)を作って提案に行きましょうということからこの子たちが生まれました。

伊藤左の子は最初の形状サンプルです。 最初は頭が大きめで、手もだいぶ短くて小さい感じですよね。 ちなみに、白髪に赤目のキャラなのは私の趣味です(笑)。

3. サンプルをお披露目しながらみんなにアピール!「社内報告会」

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

中山どのブランドでもやっているわけではないのですが、今回、企画開発の他部署のスタッフにもぜひ「てちぬい」を知って、いろいろなところで使ってもらいたいということで、伊藤が資料を作って、自ら皆を集めてプレゼンする社内報告会をやりました。

伊藤特徴や魅力について説明したり、ブランドとしてお顔の仕様を揃えて、どの担当者が作っても同じクオリティになるように、変えていい点や、変えないでほしい点を伝えたりしました。

4. このキャラで「てちぬい」作らせてください!「版元さんへ提案」

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

伊藤 以前、弊社で「忍たま乱太郎」のフェイスバッジを出させていただいたところ、「お顔がかわいい」ととても好評だったんです。そこで追加提案として、弊社の「忍たま乱太郎」の担当者が「てちぬい」をご提案し、版元さんにも快く許諾をいただけました。ちなみに「忍たま乱太郎」のてちぬいも、フェイスバッジと同じデザイナーが担当しています。

「忍たま乱太郎」は、「てちぬい」のターゲットでもある女性にも人気がありますし、長年アニメが続いていて、そのときどきの子どもたちが観ている作品でもありますよね。「てちぬい」は幅広い年齢層の方に愛されるぬいぐるみブランドにしたいと思っているので、第一弾を「忍たま乱太郎」で出させていただけてうれしかったです。

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

中山 弊社の企画開発は「こういうものが作りたいです」までではなく、「自分で作る」ところまで、量産して納品する手前まではほぼ全部やるのが特徴になっています。工場の社員と直接「こういう風にしたい」といったやりとりや調整をして、「これだったら量産して販売できる」ところまで持っていくんです。取り組みたいキャラクターも自ら提案しますし、監修ももちろん自分でやります。

逆輸入で盛り上りを見せる「KAWAII」を、さらに超えていきたい元祖日本のKAWAII

「てちぬい」は、お仕事中でも健気にそばで見守ってくれます

――いよいよ世に出る「てちぬい」ですが、今後はどんな展開を考えていますか?

伊藤ファンの方に喜んでいただけるキャラクターをずっと探しています!「このキャラのてちぬいがほしい」というお声もぜひ聞かせてください。個人的には、アニメやゲームのキャラクターだけでなく、VTuberや、例えば生身のアイドルもてちぬい化したりして、なんでもいける感じで展開できたらいいなと思っています。

中山弊社はプライズ業界だと、美少女フィギュアを特に評価していただいていますが、「てちぬい」では、ぬいぐるみをブランドとして大きく展開しようとしています。新機軸として、今後も「てちぬい」をはじめ、ぬいぐるみのブランドを育てていきたいですね。

「KAWAII」は日本から発信されてグローバルでメジャーになった文化ですが、最近は逆輸入というか、日本のKAWAIIに刺激された海外勢がさらにそれを昇華させて、海外から新たなKAWAIIが日本に入ってきて……という流れの高まりを感じています。 ただ、私たちはKAWAIIのオリジナルである日本のメーカーなので、そこは「負けたくないな」と個人的に思いますね。 日本のKAWAIIを超えてきた海外のKAWAIIを、さらに超えていきたいと考えてます。

【インタビュイーのプロフィール】

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

株式会社タイトー マーチャンダイジング事業本部
伊藤 美玖さん
2024年に新卒入社。プライズの商品企画を手がけながら、自立可能な人型ぬいぐるみブランド「てちぬい」の立ち上げを進め、2025年12月第一弾となる「忍たま乱太郎」のてちぬいをリリース予定。

”ぬい活”を愛する開発者の実体験から生まれた!タイトーの自立型ぬいぐるみ新ブランド「てちぬい」誕生秘話【インタビュー】

株式会社タイトー マーチャンダイジング事業本部
中山 真里さん

商品デザイン部門や商品企画部門のマネジメントを担当。

「忍たま乱太郎 てちぬいvol.1、2、3、4」

《丸田カヨコ》

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