永遠の友情が可能になるとしたら? 「ふれる。」脚本・岡田麿里が向き合った、青年たちの心【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

永遠の友情が可能になるとしたら? 「ふれる。」脚本・岡田麿里が向き合った、青年たちの心【インタビュー】

絶賛公開中の映画『ふれる。』。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などで知られる長井龍雪監督、脚本・岡田麿里さん、キャラクターデザイン&総作画監督・田中将賀さんが送り出す、オリジナル長編アニメーション映画だ。

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『ふれる。』キービジュアル(C)2024 FURERU PROJECT
『ふれる。』キービジュアル(C)2024 FURERU PROJECT 全 17 枚 拡大写真

◆高田馬場は「物語が浮かぶ場所」

――本作ではなぜ高田馬場が舞台になったのでしょうか。

岡田 最初は別の場所を舞台にするつもりで、何カ所も候補地を挙げたんです。でも長井監督がピンとこなかったようで。これまでの傾向から「私が住んだことのある場所を言ったら決まるかもしれない」と思い(笑)、高田馬場へのロケハンを提案しました。

舞台が決まると、脚本もだいぶ書きやすくなりましたね。序盤のわちゃわちゃしたシーンや川に落ちるシーンなどは、あの場所の近くに住んでいた経験が活きています。高田馬場は上京したばかりの学生さんの空気感もありますし、駅前で酔った人が倒れていたり揉めたりしていることも珍しくありません。本当に見ていて物語が浮かぶ場所だな、とあらためて感じました。

――ロケハンに行ってみていかがでしたか?

岡田 高田馬場に住むまで、私は東京に路面電車があることを知らなかったんですよ。すぐ近くの池袋にはしょっちゅう行っていたのに、当たり前に路面電車が走っていることがすごい驚きだったんです。その時の気分を、ロケハンで思い出しました。「自分が知らなかっただけで、当たり前に存在している物事」があるというのは、今回の作品にも繋がっている気がします。

終盤に登場する野球場もよかったです。あの場面はどこからでも見える高い位置で描けるとかっこいいですが、派手にしすぎると『ふれる。』らしさがなくなってしまいます。そういうバランスも含めて、ぴったりな場所だと感じました。

――以前『アリスとテレスのまぼろし工場』のインタビューで「東京での生活も長くなり、都会の話も書いてみたい」と仰っていました。実際に都会を舞台に脚本を書いてみて、いかがでしたか?

岡田 『ふれる。』の制作もかなり進んでいたので、当時のインタビューでそう答えたのだと思います(笑)。私はご当地ものがすごく好きで。その場所だからこそ浮かぶ物語や、実際に暮らした場合のいいことや悪いことを感じるのが好きなんです。今回に関しては東京そのものと言うより、地方から「場所を移動してきた」からこそ見える東京を描いてみたいなとも思いました。

私もそうでしたが、やはり東京に対してってドライなイメージがある。東京砂漠とか、無関心で冷たいとか(笑)。でも、そんなことないんですよね。地方からやってきた人が多いこともあって、孤独でいる人に対して目配りがあるし。同時に、しがらみを拒否する部分はやはりある。あとは、夜の明るさ。アニメはどの時間帯が多く使われるかで、印象が大きく変わるんです。夜が多いと、感情がぎゅっと凝縮されていく。そのかわりに抜け感が減ってしまうのですが、建物の光がたくさんあることで動きが生まれる。脚本を書くときに「あ、都会ならこのシーンも夜にできる!」となって、うきうきしましたね。



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《ハシビロコ》

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