アニメ『ギヴン』シリーズの完結作となる映画2部作の後編『映画 ギヴン 海へ』が、2024年9月20日より公開された。
『ギヴン』は、キヅナツキが「シェリプラス」の2013年ハル号より連載をスタートしたBLコミックを原作とする青春バンドストーリー。印象的な歌声を持つ佐藤真冬と、高校生離れしたギターの腕前を持つ上ノ山立夏の出会いから始まる、ロックバンド「ギヴン」のメンバーを中心とする青春模様を描く。
2019年にTVアニメが放送され、翌2020年には『映画 ギヴン』も公開。2024年1月には、その続編にあたる映画2部作の前編『映画 ギヴン 柊mix』が公開され、Filmarksの「初日満足度ランキング」で第1位を獲得した。
そんな約6年にわたるアニメ『ギヴン』シリーズの完結作となるのが映画2部作の後編『映画 ギヴン 海へ』。アニメ!アニメ!は劇中に登場するバンド「syh」のメンバー、鹿島柊役を務めた今井文也と、八木玄純役を務めた坂泰斗にインタビューを実施。『ギヴン』の魅力や、アニメシリーズに対する思いを聞いた。
■「シンパシー」感じたキャスティング
――鹿島柊役、八木玄純役、それぞれのキャスティングが決定したときの思いや心境を振り返ってください。
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今井:柊は結構イメージしやすいキャラクターだなと感じました(笑)。オーディションを通して役をいただけたのはこの作品が初めてなんですが、(自分に合っているのは)こういった系統の役柄なのかなとは思いましたね。実は最初は柊役とは言われていなかったのですが、原作を読んでいると何となく柊かなとは思っていたんです。そして蓋を開けてみたら、やっぱりそうだったので、とてもシンパシーを感じました。
坂:僕は、オーディションでは別の役を受けていたのですが、結果的にはキャラクターにすごく合っているから玄純という役をいただけたのかなと思っています。やっぱり第三者から見て「この人の声がはまるな」って思っていただけるのは、どこか役者本人がキャラクターと似通っている部分があるからだと思うんです。なので、玄純役をいただいたときにも、確かに共感できるところがあるなと感じました。僕自身も普段寡黙なほうなので、同じく落ち着いた玄純は分かりやすかったですし、寡黙と言っても、心の中で思っていることは本当にたくさんあるんだよっていう部分には、とても共感しながら挑むことができました。
■逃げずに困難と向き合う『ギヴン』のキャラクターたち
――キャラクターへの“共感”を感じながら、実際に彼らを演じてみての想いを教えて下さい。
今井: 今作が始まったころ、僕はまだ20歳くらいだったので、芝居をしている中で、特に最年長の春樹(演:中澤まさとも)は、とても成熟しているなと思っていたんです。そして、現在は当然彼らの年齢を超えていますが、改めて彼らは皆、本当に大人びているなと思いますね(笑)。
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坂:そうだよね!自分たちが彼らと同じ年頃のときに、ここまでの苦悩や苦しみに向き合うことはしてこなかったなと思います。苦労から逃げないで向き合うというのは難しいことだし、本当にすごいことだなと感じていました。
■キャラクターの等身大の姿を、歌に落とし込む
――今井さんは、「syh」のメンバーとして、実際に歌唱活動をされてみていかがでしたか。
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坂:難しいよね。自分自身の歌じゃなくて、キャラクターの曲なわけだし。
今井:キャラクターとしての歌唱となると、当然自分自身の歌い方ではないわけです。しかし、キャラクターをより等身大に描く手法が取られるシーンもあるので、歌唱シーンも“等身大に”、“ありのままに”表現したいなとも思って。キャラクターと自分自身の色を上手く重ね合わせながら、「本当に実在しそうだな」と思ってもらえるような、その絶妙なラインを追求したいとずっと考えていました。音楽活動をしていく中でも、普段の(声優としての)お芝居と通ずる部分もたくさんあるんだなと思いました。
坂:「表現する」という意味ではそうだよね。
今井:あと個人的に思うのが坂さんって、(音を合わせる)リズム隊って言われたら、なんか納得できますよね(笑)
坂:(笑) 高校のときにやっていたのはギターなんだけどね。
今井:ギターよりもベースとかドラムって言われると、あー(納得)みたいな(笑)
坂:そうかもね(笑)。ギターといっても、リードギターではない方だったから(笑)
■作品のリアルさは肩肘張らない現場の空気から
――これまで「ギヴン」のメンバーの4名(※)とも共演されることが多かったと思いますが、現場での雰囲気はいかがでしたか。
(※)矢野奨吾さん(佐藤真冬役)、内田雄馬さん(上ノ山立夏役)、中澤まさともさん(中山春樹役)、江口拓也さん(梶秋彦役)
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坂:この作品の現場の雰囲気として、皆さんパキッと“スイッチを入れる”取り組み方をされていないんです。空き時間は雑談をしながら、いざお芝居が始まるときも、そのままのリラックスした状態で入っていかれるような雰囲気でした。
今井:後ろから見ていても、姿勢とかも本当にナチュラルで、全然力んでいない印象でしたね。
坂:そうそう。演じる役柄によっては、スイッチを入れて切り替えないとできないこともあったりするんです。しかし本当にこの作品の良さとも言うんですかね。皆さん4人ともリラックスした空気のまま挑まれていたのが、この作品のリアリティや生々しさを生み出していたと思います。人と人との会話の雰囲気が、そのまま作品に反映されているんじゃないかな。より皆さんらしい、いい意味で“砕けた空気感”というのはとても感じていましたね。
■声優の仕事は新しい挑戦ばかり!
――『ギヴン』シリーズへの出演を経て、声優活動や実生活において、以前と変化したことはありますか?
坂:変化としては本当に毎日だよね。新しいことしかやらないですし。
今井:そうですよね。全く同じ現場というのは、無いですからね。
坂:『ギヴン』シリーズはもちろん、毎回の現場でたくさんの気づきがありますし、それが楽しいから役者をやっているっていう節があります。(僕たちは)できないことに直面すると逆に嬉しくなっちゃう人たちなので、新しいことに直面するこの環境では、本当に毎日成長し続けられているんじゃないかなと思っています。
――それでは最後に、本作の公開を楽しみにしている、「アニメ!アニメ!」読者にメッセージをお願いします!
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今井:鹿島柊役の今井文也です!『映画 ギヴン 海へ』で 一旦の締めくくりにはなってしまいますが、原作マンガやTVアニメ、OAD、そして映画を観ていただくことで、また色々な感情や想いの揺れ動きを感じることができると思います。これからも『ギヴン』シリーズをたくさん楽しんでもらえたらなと思います!
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坂:八木玄純役の坂泰斗です!長く愛していただいた『ギヴン』シリーズ、(キャラクターたち)皆の悩みや問題は一旦区切りがつくんですけども、言い換えればようやく彼らは前に走り始めた段階であります。やっぱりこのシリーズは、キャラクターがひとりの人間としてしっかり生きているリアリティに溢れたものですし、『映画 ギヴン 海へ』は、彼らが今後こういう風に生きていくんだなというのを感じていただける作品になっていると思います。ぜひ劇場で楽しんでいただければと思っています!
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『映画 ギヴン 海へ』
9月20日(金)公開
<CAST>
佐藤真冬:矢野奨吾
上ノ山立夏:内田雄馬
中山春樹:中澤まさとも
梶 秋彦:江口拓也
鹿島 柊:今井文也
八木玄純:坂 泰斗
村田雨月:浅沼晋太郎
<STAFF>
原作:「ギヴン」キヅナツキ(新書館「シェリプラス」連載)
監督:橋本能理子
脚本:綾奈ゆにこ
キャラクターデザイン:大沢美奈
総作画監督:山形孝二/二宮奈那子/永田陽菜/大沢美奈
美術監督:NGUYEN THI THANH CUC/別役裕之
色彩設計:加口大朗
撮影監督:中川せな
CG監督:水野朋也
編集:伊藤利恵
音響監督:菊田浩巳
音楽:未知瑠
アニメーション制作:Lerche
主題歌:センチミリメンタル「結言」(EPIC レコードジャパン)
配給:アニプレックス
(C)キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会