夏アニメ「よふかしのうた」七草ナズナ役・雨宮天が大切にする“青き民”との関係性【インタビュー】

7月7日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送開始となるコトヤマ原作（小学館「週刊少年サンデー」連載中）によるTVアニメ『よふかしのうた』。本作は、不眠が続く中学2年生の夜守コウ（CV：佐藤元）が、とある夜に美しき吸血鬼・七草ナズナ（CV：雨宮天）と出会うところから始まるラブストーリー。

アニメ！アニメ！では本作の放送開始を記念し、七草ナズナ役の雨宮天さんにインタビューを実施。作品や自身が演じるキャラクターの魅力、さらにファンとの関係性において大切にしていることなど、たっぷりとお話を伺った。

[取材・文・撮影：吉野庫之介]

七草ナズナの魅力となっている二面性

――原作を読んだ際の感想を教えてください。

最初はミステリアスで怖い雰囲気の作品なのかなと予想していたのですが、実際に読んでみたら意外にもコウくんとナズナの日常が描かれていて、それがとても魅力的でドキドキワクワクしました。ナズナは決めるシーンではすごくカッコいいキャラクターなのですが、二人の掛け合いになると突然ギャグ側に回ったり、結構大人なはずなのに子どもみたいにワイワイしていて可愛らしく、良い意味で裏切られたなと（笑）。

――表紙のイメージとはギャップがありますよね（笑）。七草ナズナを演じるにあたり、共感を覚えた部分や大切にされた彼女の魅力はありますか？

ナズナはすぐにムキになったり、すぐ照れたりと感情を表に全部出すタイプなんですけど、そんな子どもっぽい部分は私とそっくりかもしれないです（笑）。その反面、彼女の持つカリスマ性は自信の表れであり、そのカッコよさに憧れを覚えました。

オーディションの際にはミステリアスな雰囲気を醸すシーンと子どものようにわちゃわちゃとするシーンの両方を演じたのですが、そのギャップにこそナズナの魅力が詰まっていると思います。PVの収録時に原作のコトヤマ先生からも「大人らしさと子どもらしさをもっと強調して演じてください」とメッセージをいただきましたし、アフレコ時のディレクションでは、さらに“オジサンらしさ”も加えてほしいという注文を受け（笑）、そこで軌道修正をかけていきました。

――物語の中では主人公である夜守コウとのやり取りがとくに多いかと思いますが、彼の印象はいかがですか？

コウくんの印象は「よくわからない男の子」というのが正直なところで。つかみどころがないというか、中学生にしては大人びていて感情の起伏があまりなく、かと言って大人かというとそうではない。原作を読んでいても落ち着いているキャラクターなので、まるで悟りを開いているかのようなイメージで。その反面、ナズナと掛け合っている時の彼は子どものようにピュアな反応をしていて、年相応な部分もあって。でもそれは、“記号化されていないリアルな中学生像”なのかなとも思ったんです。

アニメではそこに佐藤元くんのお芝居が加わり、感情が乗ることで人間味が出ているので「あのシーンのコウくんはこんなテンションだったんだ！」というのも見えてきて、より受け入れやすいキャラクターになっていると思います。

お互いに敬意を持って接することができる関係

――コウとナズナの関係性はどのように捉えられていますか？

コウくんに対して吸血鬼としてのカリスマモードで接する時のナズナは、彼には背負いきれないほどの上位的な存在感を出しているんですけど、一方で普段のやり取りの中では限りなく“対等な関係性”を大切にしているんです。コウくんは中学生であり、ナズナは大人であるという前提はありつつも、変に子ども扱いしたりはしていなくて。だからこそ、彼はナズナとずっと一緒にいるんだろうなと。

――対等であることは彼らの関係性において重要なポイントですよね。ちなみに雨宮さんご自身は年下の方とのコミュニケーションはお得意ですか？

少し前までは私が現場の中で一番年下ということが多かったのですが、ここ最近になって私よりも年下の役者さんとお仕事をする機会が増えてきて。佐藤元くんや朝井アキラ役の花守ゆみりちゃんがまさにそうなんですけど、それまで「年下の後輩の方々と仲良くなれるのかな……。」と思っていたのですが、いざ収録が始まってみるととても話しやすくて。二人ともしっかりしていて、敬意をもって接してくださるので（笑）、楽しくやらせてもらっています。

――（笑）。また、雨宮さんのファンである“青き民”のみなさんとの関係性において大切にしていることはありますか？

“青き民”のみなさんとは「近すぎず、遠すぎず」という絶妙な距離感を大切にしています。お互いに敬意を持って接することができる関係というか、友達のような関係性になってしまうと、私の気持ちが緩んでしまって、みなさんのために頑張れなくなってしまいそうで。逆に、みなさんが私に期待や尊敬の気持ちを持って接してくれていると思うことで、ちょうどいい緊張感が生まれてストイックにパフォーマンスをすることができる。そんな絶妙な距離感はありつつも、時には甘えて素の自分を出してみたり。

私は割とクールでちゃんとしているというイメージを持たれがちなのですが、本当はそんなことはないですし、知っていてもらいたい部分でもあって。応援してくださるみなさんにはできるだけ素の自分を見てもらいたいという気持ちがあるので、話し言葉とかも時には雑にしてみたり、でも想いを伝える時はちゃんとした言葉を考えるように心がけていて。その緩急を大切にしています。

「よふかし」の魅力が詰まったアニメならではの表現

――作中でコウの血がめちゃくちゃおいしいことに感動するナズナですが、雨宮さんが最近おいしくて感動した食べ物はありますか？

最近初めて買った銘柄のキムチがあるんですけど、それが大当たりで。かなり辛めで塩気が強く酸味のある味で、それを炊きたてのご飯と一緒に食べたらめちゃくちゃおいしくて感動しました！　初めて自分が理想とするキムチに出会えて、気づいたらごはん2杯をあっという間に食べていました（笑）。

――ごはんとキムチの組み合わせは強いですよね（笑）。また、雨宮さんは本作のような「よふかし」経験はありますか？

高校生くらいの時の話なのですが、友達と会う約束をして、親が寝ている深夜にこっそりと家を抜け出したことがあるんです。台風が近づいていて風がとても強かった日に、自転車で地元をグルグルと回って。何をしたわけでもないんですけど、それだけでワクワクしてすごく楽しかった思い出があります。

――本作にもそんな「よふかし」の魅力が詰まったシーンがありますよね。

私はPVの中でも描かれている夜景の美しさに感動しました！　そのシーンを見て、夜はすごく素敵なものだと思いましたし、スタッフさんのこだわりを感じました。

――最後にそんな見どころを含め、視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

「よふかし」という言葉が持つドキドキワクワク感に加えて、すごく“ゾクゾク感”も味わえる作品です。ナズナのミステリアスな雰囲気やカリスマ性はもちろん、アニメでは光の当たり方やその色彩なども丁寧に描かれていて、夜の光に照らされているナズナの怪しさや魅惑的な部分がより強調されているので、そんな細かなアニメならではの表現にもご注目いただきながら、ぜひお楽しみください！

TVアニメ「よふかしのうた」

■放送情報
2022年7月7日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて毎週木曜24:55～放送

■原作
コトヤマ（小学館「週刊少年サンデー」連載中）

■スタッフ
監督：板村智幸
チーフディレクター：宮西哲也
脚本：横手美智子
キャラクターデザイン：佐川遥
音楽：出羽良彰
美術設定：杉山晋史
美術監督：横松紀彦
色彩設計：滝沢いづみ
色彩設計補佐：きつかわあさみ
撮影監督：土本優貴
編集：榎田美咲
音響監督：木村絵理子
オープニング・テーマ：Creepy Nuts「堕天」（Sony Music Labels Inc.）
エンディング・テーマ；Creepy Nuts「よふかしのうた」（Sony Music Labels Inc.）
アニメーション制作：ライデンフィルム

■キャスト
夜守コウ：佐藤元
七草ナズナ：雨宮天
朝井アキラ：花守ゆみり
桔梗セリ：戸松遥
平田ニコ：喜多村英梨
本田カブラ：伊藤静
小繁縷ミドリ：大空直美
蘿蔔ハツカ：和氣あず未
夕真昼：小野賢章
秋山昭人：吉野裕行
白河清澄：日笠陽子

（C）2022コトヤマ・小学館／「よふかしのうた」製作委員会