「怪盗クイーンはサーカスがお好き」アニメ化の夢が現実になった軌跡とは…? 愛読していたスタッフが明かす | アニメ!アニメ!

「怪盗クイーンはサーカスがお好き」アニメ化の夢が現実になった軌跡とは…? 愛読していたスタッフが明かす

劇場アニメ『怪盗クイーンはサーカスがお好き』が、6月17日より公開される。本作をアニメ化に繋げたのは、学生時代に愛読していたポニーキャニオンのスタッフだった。自らがファンだけに惜しみなく愛を注ぎ、その反面ビジネスとしての苦悩にも対峙したという。

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『怪盗クイーンはサーカスがお好き』(C)はやみねかおる・K2商会・講談社/「怪盗クイーン」製作委員会
『怪盗クイーンはサーカスがお好き』(C)はやみねかおる・K2商会・講談社/「怪盗クイーン」製作委員会 全 17 枚 拡大写真

児童文学の名手・はやみねかおる原作の劇場アニメ『怪盗クイーンはサーカスがお好き』が、2022年6月17日より東京の新宿バルト9ほかにて全国公開される。
『怪盗クイーン』シリーズは、2002年に同作が発表されて以降15巻を数え、累計発行部数は120万部を突破する人気作だ。そんな本作をアニメ化に繋げたのは、学生時代に愛読していたポニーキャニオンのアニメクリエイティブ本部・山本京佳と北川温子だった。自らがファンだけに惜しみなく愛を注ぎ、その反面ビジネスとしての苦悩にも対峙したという。

・アニメ化のきっかけはアニメ映画『若おかみは小学生!』

アニメ化のきっかけは、プロデューサーの山本によるとポニーキャニオンに入る前まで遡り、「本作と同じ『青い鳥文庫』から刊行されていた『若おかみは小学生!』のアニメ映画を友達と観に行って号泣するくらい感動した」ことだそうだ。
山本は「そのときに、小学生の頃に図書室で『怪盗クイーン』シリーズを読んでいたなと思い出して、すぐに電子書籍で購入したんです。大人になってもおもしろくて、むしろ歳を重ねたからわかることがあって、“なんていい本なんだ!”と改めて感じ、アニメ化したいと決意したんです」と続ける。

その後、山本はポニーキャニオンに入社。「所属したアニメクリエイティブ本部は、若手社員もどんどん企画を出して、先輩方がバックアップをするという方針だったので、“今だ!”と思い本作の企画書を提出」したそうだ。
「当時の企画書を見るとお恥ずかしい内容ですけど、『オッドタクシー』プロデューサーの伊藤(裕史)や、『Free!』プロデューサーの中村(伸一)に『とにかく作品が好きなことは伝わったから、実現できるように頑張ろう』と言ってもらえた」そうで、そこから部内での打ち合わせを重ねて、原作のはやみねかおるへの提案へと進んだ。

・企画にGOサイン!…からの苦悩と奮闘

企画にはGOサインが出るも、そこからが大変だった。山本は当時を「まず、児童書原作でビジネス的に成功しているアニメの前例を見つけられなくて。あとは、マーケティングがしづらく、学生の頃に読んでいた現在大人の方が、今発信していることが少なくて。現役の小学生もSNSをやっているわけでもないので、ファンの数字を可視化できる材料がなかったんです」と振り返る。
また、宣伝担当の北川は「部数としては、120万部以上出ているんです。けど、図書館に入っていることが多いので、実際アニメ化されたときにどれだけの人が観てくれるのか明示できない…という八方塞がり感がありました」と述べた。

本作は、上映時間が約60分と一般作品に比べると尺が短い。これについて、山本は「ビジネス的なハードルから、予算面のやりくりが必要で、今作は60分尺になりました。なので、原作の一文一句全てを映像化できたわけではないんです。細かいくだりがカットされている部分もあるんですけど、何度も脚本打ち合わせを重ねて、はやみね先生にも確認いただいて。本作のおもしろさは損なわないように、しっかりと作っています」と話す。
北川は「まだ具体的にはお話できないんですけど、そういったポイントの補完ができて楽しんでいただける企画を考えています。公開日のタイミングでは、はやみね先生書き下ろしのショートストーリーブックを入場者特典として配布予定です」と、宣伝面でのアプローチを明かした。

・主人公クイーン役&主題歌アーティストの起用について

そんな本作の主人公・クイーン役には、元宝塚歌劇団宙組トップスターの大和悠河がキャスティングされた。
クイーンについて「年齢、性別不明だけど、優雅で美しくエンターテイナーなキャラクター。私の中では、宝塚のような羽を広げ階段を降りてくるイメージがずっとあったんです」と語る山本によると、これは「以前、たまたま友人とミュージカルを観劇したときに、大和さんが出演されていて強く印象が残っていたんです。そんな出会いから、企画書の段階で大和さんにお願いしたいと書いていました」との想いが実り、実現したそうだ。

また、主題歌は2021年にデビューし注目を集めているリトルブラックドレスが担当している。山本はこの起用については「まず、私の中で歌い上げる女性アーティストにしたいというイメージがありました。それで、社内共創という背景もあり、音楽の部署に相談してリトルブラックドレスさんの曲を聴かせていただいたら、“いた!この歌声だ”とピンときました」と述べる。

「原作自体は20年前に発行されたものですけど、時代を限定しない世界観だと思うんです。その時代に捉われない魅力と、リトルブラックドレスさんの美しい歌声がすごくピッタリで、とてもいい映像に仕上がりました」と、手応えもうかがわせた。

・そんな『怪盗クイーンはサーカスがお好き』の見どころは…?

そんな本作の見どころとは。山本は「やっぱり『怪盗クイーン』シリーズの文字が初めて映像化するっていうのを楽しんでいただければと思います。作品の魅力やクイーンの美しさは存分にエフェクトを使って表現しているので、ぜひ初日から劇場で応援してください!あと、夢ではありますが、毎年劇場公開されるようにしたいです。長く愛され続けているシリーズなので、その時代の子供たちが劇場でクイーンと会える環境が作れたらと思っています」と話す。

北川は「色が鮮やかについて、音がついて、みなさんの中のクイーンが現実に現れる機会になると思います。特に原作を読んでいた方は、劇場に足を運んで『怪盗クイーン』の世界を体感していただきたいです。ファン目線でもありますが、アニメ化によって原作も盛り上がって、総合的に『怪盗クイーン』が世の中に広がっていくと嬉しいです」と、今後の展望も語ってくれた。

劇場アニメ『怪盗クイーンはサーカスがお好き』は、6月17日より東京の新宿バルト9ほかにて全国公開される。

劇場アニメ『怪盗クイーンはサーカスがお好き』
6月17日(金)より新宿バルト9ほかにて全国公開
■スタッフ
原作:はやみねかおる・K2商会(講談社青い鳥文庫『怪盗クイーン』シリーズ)
監督:傳 沙織
脚本:國澤真理子
キャラクターデザイン:河島久美子
音楽:日向 萌
音響監督:亀山俊樹
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
アニメーション制作:イーストフィッシュスタジオ
製作:「怪盗クイーン」製作委員会
配給:ポニーキャニオン
■キャスト
クイーン:大和悠河
ジョーカー:加藤和樹
RD:内田雄馬
ホワイトフェイス:森川智之
シャモン斎藤:古川慎
シルバーキャット瞳:のぐちゆり
ジャン・ポール:田所陽向
スタイリー井上:白井悠介
ビースト:依田菜津
プリズムプリズム:近藤浩徳
ジョー・セサミ:手塚ヒロミチ
ロケットマン:高橋伸也
西遠寺考太郎:広瀬裕也
伊藤真里:清水彩香
上越警部:浦山迅
岩清水慎太郎:伊東健人

(C)はやみねかおる・K2商会・講談社/「怪盗クイーン」製作委員会
怪盗クイーンはサーカスがお好き (講談社青い鳥文庫)
¥386
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《仲瀬 コウタロウ》

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