“安室透”は生きてこの物語にいる―― アニメ「ゼロの日常」監督&プロデューサーインタビュー | アニメ!アニメ!

“安室透”は生きてこの物語にいる―― アニメ「ゼロの日常」監督&プロデューサーインタビュー

アニメ『名探偵コナン ゼロの日常』が4月より放送スタート。公安・探偵・黒ずくめの組織と3つの顔(トリプルフェイス)を持つ男・安室透(CV.古谷徹)の誰も知らない日常を映し出す本作。本編でも絶大なる人気を誇る彼の姿が十二分に詰まった映像制作の裏側とは?

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『名探偵コナン ゼロの日常』第1話場面カット(C)新井隆広 ・青山剛昌/小学館・「名探偵コナン ゼロの日常」製作委員会
『名探偵コナン ゼロの日常』第1話場面カット(C)新井隆広 ・青山剛昌/小学館・「名探偵コナン ゼロの日常」製作委員会 全 24 枚 拡大写真

アニメ『名探偵コナン ゼロの日常』が4月より放送スタート。公安・探偵・黒ずくめの組織と3つの顔(トリプルフェイス)を持つ男・安室透(CV.古谷徹)の誰も知らない日常を映し出す本作。本編でも絶大なる人気を誇る彼の姿が十二分に詰まった映像に、ファンからは毎話喜びの声が上がっています。

今回、作品を手掛ける小坂知監督、プロデューサーの寺島氏より、本作の制作に関するお話を伺いました。

■「安室透」の日常は“存在する”


『名探偵コナン ゼロの日常』場面カット

――本作は、マンガが原作となっていますが、マンガでは描かれていない、確認できない所作が丁寧に描かれており感動しました。また、本編でも描かれないであろう日常のふとしたシーンもあり、ファンは新たな「安室透」を見ている感覚もあると思います。制作陣はどのようにイメージを広げているのでしょうか?

小坂監督マンガでは描かれていないように見えても、安室の物事を行う順序や動きの導線は確実に存在します。例えばお茶を飲むにはお湯を沸かすし、お湯を沸かすにはキッチンに行くし。アニメとはいえ、安室透は生きてこの物語にいると考えると、自然に動きも作られるし描いていけます。

寺島“日常”がテーマとなっている本作ですので、端折ってしまいがちな所作・ふるまいなどが細やかに描写いただけたなと思ってます。そのあたりが視聴者の皆様へも伝わっていると嬉しいですね。

『名探偵コナン ゼロの日常』場面カット

――穏やかな表情も多いですし、ファンの方からは「安室さんかわいい」というコメントも見受けられます。

小坂監督イメージが広がって見えるとすれば、原作の描写が細やかでアニメの絵コンテで広げられる正しいヒントが散りばめられているおかげですね。

――なるほど。スタッフの皆さんも安室同様に、ヒントを見逃さない観察力を兼ね備えていそうです。また、日常といえども、安室はどうもカッコよく見えてしまいます。「こう描きたい」とこだわっている部分があればお聞かせいただきたいです。

小坂監督ストーリー面については、アニメでは原作3、4本入れられるくらいの尺なので、話数の中にポアロの安室透だけじゃなく、できるだけトリプルフェイスの日常が見られるように構成したつもりです。最終話のコンテチェックが終わった瞬間、とてもまとまりのある作品になったと感じられました。
最後のエンディングも含めて見終わると、アニメ『ゼロの日常』がどんな物語なのか分かる気もするし、何も考えず楽しんでもらうのも良い。「こう描きたい」は密かにありますが、見た人が自由な感想を持てる作品でありたいです。

■いろいろな安室透がいっぱい♪ おしゃれなOP主題歌


――OP映像では、ポップなカットからサスペンスなカットまで、さまざまな安室透を楽しむことができます。また、主題歌もアップテンポでjazzyな楽曲でした。どのようなテーマで制作されたのでしょうか?

寺島「出頭からのインパクト、jazzyでスタイリッシュな音楽」を希望としてご相談し、お答えいただいた結果があの音楽でした。小坂監督によって、安室透のトリプルフェイスをどのような角度からでも楽しめる、そんなオープニング映像となったと思います。


小坂監督jazzyな曲調の希望、スタイリッシュでカッコよく、冒頭にインパクトと、「どこを聞いてもゼロティー(ゼロの日常)だと思えるパンチを下さい!」とお願いしていました。

第1話の冒頭は原作通り実写的な雰囲気から始めたくて、それが明けたらオープニングと決めていたんです。理想的なインパクトのイントロ曲をいただけて嬉しくて震えました。スネアドラムの音をアバンから流したことで、ただの日常ではないワクワク感が実はかなり出ていると思います。

また、原作では「スリー、ツー、ワン」予測のカウントダウンでバッチリ笛吹きケトルが鳴るのですが、古谷さんに「ゼロ」までカウントダウンをお願いしました。基本的に原作準拠でやりたい中で、アフレコ冒頭から急な変更したのでちょっとビクビクしていたのですが、古谷さんがサラリとカッコよく『ゼロ』と読み上げてくださって。結果的にその部分の映像に「0」を入れ込めたり、ゼロの日常ってタイトルとも結びついて、全てがハマった出だしになりました。

――カウントに思わず目が離せなくなりますし、『ゼロ』の声のあとにようやく安室の顔が映り、スロットになって、また「0」が出てきて……と、とても面白い仕掛けでした。

小坂監督映像は曲次第で全然変わります。今回はスタイリッシュでありつつも女性ボーカルで可愛さもあり、一番最初に浮かんだのがサビで、リズムに乗りながらのドライブシーンでした。本編の構成も相まって降谷バーボン安室の絵でまとめました。

■『名探偵コナン』本編との違いは?


『名探偵コナン ゼロの日常』場面カット

――第1話は、安室さんの起床から、喫茶ポアロのお仕事、公安警察での訓練…といった1日が描かれていました。事件よりも日常に重点を置いた本作ですが、『名探偵コナン』らしさを残しつつ、違う演出を心がけているのでしょうか?

寺島“らしさ”を残すというよりもスピンオフ作品であり、別の作品であって、安室透というキャラクターの何気ない日常が切り取られています。10分ほどではありますが、視聴された方それぞれ受け取り方も違ってくると思います。ですが、「今日も一日お疲れ様でした」と言われるような“安室透の日常生活”がお見せできていれば幸いですね。

小坂監督 音響面で、耳から入る情報は『名探偵コナン』と変わりないものでありたいという思いがありまして。劇伴のTOMISIROさんにはコナンリスペクトな楽曲を快く作り上げていただきました。耳に馴染む曲の数々でとても素晴らしかったです。
そして声優陣は、座長の古谷徹さんはじめ、安定のコナンレギュラーの皆様が集結ですもの。どうぞ目を閉じてお楽しみください。間違いなく『名探偵コナン』ですから。

『名探偵コナン ゼロの日常』場面カット

違いを一つ挙げるならば、唇の描き方。コナンは横顔の唇は色トレスでつなぐ細かい描き方をしているのですが、ゼロティーでは逆に実線で唇を描く。そんな小さな違いでも表現できるものが変わります。“主人公が大人”のアニメの雰囲気……ちょっとカッコいいなと思ってもらえるような空気感も心掛けてみました。

――絵柄やキャラクターは変わらないはずなのに、何故“大人の雰囲気”を感じるのだろうと考えていました。安室の唇、しっかり見てみたいと思います。ありがとうございました。

*****

『名探偵コナン ゼロの日常』は、TOKYO MX、読売テレビにて放送中のほか、Netflixにて配信中。また、好評公開中の劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』でも安室透が活躍中なのでお見逃しなく。

『名探偵コナン ゼロの日常』
◆放送 第4話
TOKYO MX 4月 25 日(月) 25:20~25:35
読売テレビ 4月 25 日(月) 25:59~26:14
BS 日テレ 4月 26 日(火) 24:30~24:45
※放送時間は予定です。都合により変更になる場合があります。

◆配信 第4話
Netflix にて 4 月 26 日(火)より国内配信開始
全世界独占配信決定

◆メインスタッフ
監督:小坂知
シリーズ構成・脚本:中村能子
キャラクターデザイン監修:須藤昌朋
キャラクターデザイン:吉見京子
総作画監督:吉見京子・斉藤千恵
美術監督:加藤浩・保木いずみ(ととにゃん)
色彩設計:歌川律
撮影監督:押見綾
編集:藤田育代
音響監督:浦上靖之・浦上慶子
音響効果:山田香織
音楽:TOMISIRO
音響制作:AUDIO PLANNING U
OP 主題歌:RAKURA「Shooting Star」(asistobe)
ED 主題歌:Rainy。「Find the truth」(Being)
アニメーション制作:TMS/第 1 スタジオ

◆キャスト
安室透:古谷徹
ハロ:潘めぐみ
榎本梓:榎本充希子
栗山緑:百々麻子
風見裕也:飛田展男

(C)新井隆広 ・青山剛昌/小学館・「名探偵コナン ゼロの日常」製作委員会

《スーサイド・モモ》

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