本作は、『コードギアス』シリーズなどで知られる谷口悟朗が原案・クリエイティブ統括を務めるメディアミックス企画の一つで、魔改造された「東京」を舞台に、TVアニメ・スマートフォンゲーム・映画と、様々な物語を繰り広げてゆく。
世界人口が減少に転じた近未来、遺伝子改造によって常人・獣人・魔族など多様な人種が共存し、壁に囲まれたクラスタと呼ばれる街に暮らしている。本作は、そんな世界を舞台に街から逃げたい人々を逃がす「逃がし屋」たちの活躍を描いている。『ご注文はうさぎですか?』の橋本裕之監督、シリーズ構成は『フルメタル・パニック!』の賀東招二、キャラクター原案は『ファイアーエムブレム』シリーズで知られるコザキユースケなど、豪華なスタッフ陣が結集した話題作だ。
今回、メインキャストの二人、エクア役の嶺内ともみとマルテース役の長縄まりあにインタビューを実施。本作と演じるキャラクターの魅力、収録時のエピソードなどをうかがった。
[取材・文:杉本穂高 撮影:吉野庫之介]

現代人の悩みに寄り添う作品
――オリジナル作品の本作ですが、台本を読んだ時の感想を教えていただけますか。
嶺内:「逃げる」ということに対して深く考えさせられる作品だと思いました。逃げると聞くと良くないものだと思う人もいるかもしれませんが、一話でエクアが「逃げたいなら逃げてもいいんですよ」と言っているように、ネガティブに捉えずにカジュアルに逃げてもいいんだなと思える作品です。
逃げた先で良い人生がおくれるなら、その選択は全然駄目じゃなく、むしろ良いものなんですよね。逃がし屋に依頼してくる人たちの悩みも現代的で、多くの人が共感できる作品だと思いました。


長縄:作品内で描かれる悩みはすごく切実なものもあるんですけど、エクアたちがワーワーキャーキャーやりながら楽しく逃げましょうという感じで、そのギャップが楽しい作品です。多くの人が一度は感じたことのある感情や悩みに寄り添っている作品だと思います。
橋本監督もおっしゃっていたのですが、それでいて重たい話であっても重たく見せないで楽しく逃げることを描いていて、バランス感覚がいいですよね。毎回いろんな依頼者が登場して、様々な問題に直面するので、これからどうなっていくんだろうとワクワクしながら台本を読みました。


――橋本監督からは、収録の時どんなディレクションがありましたか。
嶺内:一話の収録の時、まずは真面目なトーンでやってみたんですが、橋本監督から「エクアはいつもニコニコ明るいエクアです」と言われて、それが最終話まで一貫した演技の指針になりました。
長縄:私はマルテースを自由にやらせもらいました(笑)。マルテースとしてしゃべるのが楽しすぎて、毎回現場に遊びに行ってるような感覚だったんです。マルテースは、いつも依頼者に寄り添うエクア先輩と、真面目で現実的なフェレスという真逆の2人の間で、自由に発言して場を和ませているというか、険悪なムードになりそうな空気をぶち壊すのが役目だと感じていたので、無理やりねじこんでやろうという意気込みで演じました。だから、3人の関係性を保っているのは、マルテースだと私的には主張したいです(笑)。
――エクア、フェレス、マルテースの3人の、バランスの良い関係性は本作の見どころの一つですね。お2人とも、橋本監督とはこれまでにも一緒に仕事されていますが、橋本監督はどんなタイプの監督ですか。
嶺内:すごくチャーミングな方です。今はコロナ禍で難しくなっていますが、ブース内に率先して入ってきてくれて役者陣とコミュニケーションを取ってくれます。毎話のエピソードについても、今回はこういう話なんだよと明るく笑い話みたいに語ってくれますし、制作の裏話もたくさんしてくれるんです。
長縄:本当にチャーミングです。これは逃がし屋の話なだけに、橋本監督も「仕事から逃げられない!」とおっしゃってましたね(笑)。

プレスコならではのアドリブにも注目してほしい
――コロナ禍での収録だったと思いますが、お2人は揃って収録できたのですか。
嶺内:そうですね。基本的にエクア、フェレス、マルテースの3人と各話のゲストキャラクターという組み合わせでの収録が多かったです。
――本作はプレスコ収録とうかがいました。プレスコをやってみていかがでしたか。
嶺内:自由度がすごく高くて、尺も気にせずと言われたので、余計なことを考えずに会話のやりとりを作れましたね。
長縄:アフレコの場合は映像があって、シーンに合わせた表現を考えながらやりますが、プレスコはト書きと合っていれば何をやってもいい、アドリブも入れて構わないとのことだったので、本当に自由にやらせていただきました。
嶺内:アドリブやリアクションの芝居が多くできるのはプレスコのいいところだと思いました。どこがアドリブか、細かい声の芝居にも注目してもらえると面白いと思います。
長縄:みんな、どれがアドリブかわかるかな。マルテースは特にアドリブが多かったんです。台本に(AD)と書かれている箇所はみんなアドリブで、それが一話目から結構ありました。
嶺内:でも、どこまで使われているかわかりませんけど。
長縄:全部カットだったら悲しいね(笑)。
嶺内:そうですね。でも、みなさんとたくさんやったアドリブに合わせて映像を作っていただいていると思うので、特に逃げるシーンやアクションシーンでは面白いリアクション芝居もあって、毎回違った特色が出ているんじゃないかと思います。

共演の多い2人は互いに「頼りになる」存在
――お2人はよく共演されていますよね。お互いについてどんな印象を持っていますか。
嶺内:一緒にいてくれるだけで安心させてくれます。私がはじめて生放送に出演する時も、メインキャストとしてはじめてアフレコする時も一緒にいてくれたんです。
長縄:確かに共演すること多いよね。私からみたら、みねちゃんは自分の新人時代と比べてものすごくしっかりしているし、むしろこっちが頼っていますよ。ずっと一緒にやってるから友達みたいに思っています。
嶺内:いえいえ、私こそ頼りにしています。今回、初めて主役で座長をやらせていただきましたが、その場にもこうして一緒にいてくれて本当に心強かったです。

――やはり初座長のプレッシャーはありましたか。
嶺内:とてもありました。私は学生時代からクラスの真ん中にいるタイプではなかったので、どうやって現場の空気を作ったらいいかとソワソワしていました。でも、いざ収録が始まって、ゲストキャラクターの声優さんがいらした時にも、高橋李依さんや長縄さんが率先してコミュニケーション取ってくださって、後半にはどう立ち回ればいいのかわかってきました。
長縄:私の目には何の問題もなく写りました。エクア先輩も優しさの塊ですけど、それがみねちゃんと重なって見えて、その優しいオーラで現場はいつも和やかでした。
嶺内:ありがとうございます。本当にやさしくて暖かい現場でした。
――終始和やかなムードを作れたことが作品の良さにも繋がっていそうですね。最後に本作をご覧になるファンにメッセージをお願いします。
長縄:逃げることは良くないと思う人もいるかもしれません、でもこの作品は、逃げるってそんなたいしたことじゃないんだとポップで明るいキャラクターたちの活躍によって思わせてくれるので、かつて逃げたいと思ったことのある人、今まさに逃げたいなと思っている人に是非観ていただきたいです。エクア先輩の優しい言葉に包まれてください。

嶺内:重たいテーマでありつつも、橋本監督によって絶妙にマイルドな作品に仕上がっているので、逃がし屋5人の絶妙なチームバランスにも是非注目してください。よくできたチームってお互いの欠点を補うものだと思います。逃がし屋5人もチームワークはいいのですが、みんなで失敗してみんなでなんとかしようという感じなので(笑)、ポンコツだけど一生懸命なんです。
生きていく上で、誰でも大なり小なり悩みがあると思います。そんな悩みを抱えた人たちに寄り添う作品なので、まずはコンビニに行くぐらいの感覚で一話目を観ていただけたらと思います。

TVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』
■放送情報
フジテレビ:2022年4月6日(水)より毎週水曜日24:55~ ※初回放送は24:35~
関西テレビ:2022年4月7日(木)より毎週木曜日26:25~
東海テレビ:2022年4月9日(土)毎週土曜日25:45~
北海道文化放送:2022年4月10日(日)より毎週日曜日25:10~※初回放送は25:20~
テレビ西日本:2022年4月6日(水)より毎週水曜日25:55~
BSフジ:2022年4月13日(水)より毎週水曜日24:00~
■配信情報
FODにて先行独占配信中
第1話~第8話:配信中 ※1話は無料配信
第9話~第12話:2022年4月12日(火)0:00~
■スタッフ
原案・クリエイティブ統括:谷口悟朗
監督:橋本裕之
原作:SSF
シリーズ構成・脚本:賀東招二
キャラクターデザイン原案:コザキユースケ
アニメーションキャラクターデザイン:舛田裕美
コンセプトアート:富安健一郎(INEI)
CGスーパーバイザー:坂間健太、関水大樹、上本雅之
美術監督:高橋佐知、島村大輔
色彩設計:野地弘納
音楽:藤澤慶昌
企画・プロデュース:スロウカーブ
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
■キャスト
エクア:嶺内ともみ
フェレス:高橋李依
マルテース:長縄まりあ
アルガ:速水奨
ウルラ:三木眞一郎
■放送情報
フジテレビ:2022年4月6日(水)より毎週水曜日24:55~ ※初回放送は24:35~
関西テレビ:2022年4月7日(木)より毎週木曜日26:25~
東海テレビ:2022年4月9日(土)毎週土曜日25:45~
北海道文化放送:2022年4月10日(日)より毎週日曜日25:10~※初回放送は25:20~
テレビ西日本:2022年4月6日(水)より毎週水曜日25:55~
BSフジ:2022年4月13日(水)より毎週水曜日24:00~
■配信情報
FODにて先行独占配信中
第1話~第8話:配信中 ※1話は無料配信
第9話~第12話:2022年4月12日(火)0:00~
■スタッフ
原案・クリエイティブ統括:谷口悟朗
監督:橋本裕之
原作:SSF
シリーズ構成・脚本:賀東招二
キャラクターデザイン原案:コザキユースケ
アニメーションキャラクターデザイン:舛田裕美
コンセプトアート:富安健一郎(INEI)
CGスーパーバイザー:坂間健太、関水大樹、上本雅之
美術監督:高橋佐知、島村大輔
色彩設計:野地弘納
音楽:藤澤慶昌
企画・プロデュース:スロウカーブ
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
■キャスト
エクア:嶺内ともみ
フェレス:高橋李依
マルテース:長縄まりあ
アルガ:速水奨
ウルラ:三木眞一郎
(C)SSF/エスタブライフ製作委員会