「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」愛城華恋役・小山百代インタビュー 「劇場版は、不思議な気持ちになる『スタァライト』な終わり方」 | アニメ!アニメ!

「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」愛城華恋役・小山百代インタビュー 「劇場版は、不思議な気持ちになる『スタァライト』な終わり方」

メガミマガジン7月号より、6月4日から公開となった『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』愛城華恋役・小山百代さんへのインタビューを掲載。ここでは誌面に掲載できなった部分も含めて、完全版でインタビューを紹介します。

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アニメ・ゲーム美少女キャラクター情報誌「メガミマガジン」。発売中の7月号では6月4日から公開となった『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を特集。本作の見どころをキャラクターごとに紹介しています。また愛城華恋役・小山百代さんへのインタビューも掲載! ここでは誌面に掲載できなった部分も含めた完全版インタビューをお届け。小山さんの本作に描ける「愛」を感じ取ってください。

(以下、ネタバレ内容を含みます)

華恋たちの将来の悩みを自分の経験と重ね合う


――『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の制作が決まったときは、どのような気持ちでしたか?

 まずは単純に、また華恋を演じられることがうれしかったです。私のなかで「華恋たちは作品のなかで永遠の高校2年生である」という意識があったので、今回の華恋たちが高校3年生に進級していると聞いたときは驚きました。「華恋たちも成長しているんだな」と思ったとき、華恋たちの存在をキャラクターではなく、ひとりの人間としてリアルに感じられるようになりましたね。テレビシリーズの壮絶なオーディションのあと、華恋たちがどんなふうに過ごしていたのか気になっていたので、台本を受け取るのが楽しみでした。

――小山さんはテレビシリーズの終了後、「このあと華恋はどうなるのだろう?」と想像したことはありましたか?

 テレビシリーズでは、みんなが頂点を目指してオーディションで競い合いました。その戦いは自分の存在をぶつけ合うような激しいものでしたけど、オーディションを終えたあとは99期生のみんなの絆が深まり、最後はみんなですばらしい舞台を作り上げていました。だから華恋は、3年生になっても変わらずにみんなと切磋琢磨しながら明るく前向きにがんばっていくんだろうなと、けっこう前向きに考えていたんです。今回の『劇場版』で、私も初めて知る華恋の内側の悩みがたくさんあったので、最初に台本を読んだときは衝撃を受けました。

――『劇場版』の華恋は、テレビシリーズと比べて変化しているのですか?

 実はテレビシリーズのときって、ほかの子は「なぜ舞台少女になったのか」というバックボーンが濃厚に描かれていたんですけど、華恋だけはただ「ひかりちゃんと一緒に大好きな舞台をやりたい」という気持ちだけで突き進んでいました。どんな逆境もひかりへの気持ちだけで乗り越えていっちゃうので、率直に言うと、たまに華恋から人間味を感じない瞬間があったんですよ。今回の『劇場版』では華恋の過去が描かれるんです。けど、ひかりと出会う前の華恋って引っ込み思案な女の子なんです。そんな彼女はひかりと出会い、舞台少女を目指すようになってから、テレビシリーズのような明るい性格になっていったということが今回わかりました。今作で描かれるような華恋をこれまで演じたことがなかったので新鮮な気持ちでしたし、華恋のバックボーンを知ったことで彼女を身近に感じるようになりました。

――『劇場版』の華恋の描かれ方は、小山さんとしては意外だったのですか?

 テレビシリーズの華恋は、わりと能天気で明るい女の子だと思って演じていました。でも『劇場版』の台本を読んだあと、もしかして華恋は「ノーテンキで明るい女の子」を演じていたのではないかと思ったんですよ。というのも『劇場版』では、華恋が舞台少女を目指したきっかけだけでなく、「テレビシリーズのこのシーンの華恋は、実はこんなふうに考えていました」という華恋の裏の心境が語られるんです。それを見ると華恋って、ノーテンキどころか実はものすごくいろいろ考えて動いている女の子だとわかるんですよ。まさかこんな子だと思っていなかったので驚きました。

――テレビシリーズや本作の舞台版で華恋を演じていたときは、華恋の過去の設定などは聞いていなかったのですか?

 もちろん演じるために必要な、どんな過去があって、家族構成がどんな感じでみたいな情報はひととおり聞いていました。ただテレビシリーズのときは、「ひかりちゃんと演劇が大好き」という華恋の核となっている気持ちさえ把握すれば、演じることができたんです。舞台版のストーリーは、華恋が物語の中心にいるのは間違いないですけど、みんなのことを離れて見ているシーンが多かったので、やはり華恋のバックボーンは語られなかったんですよ。『劇場版』で華恋の裏の顔を知ったことで、華恋への理解がさらに深まりました。

――『劇場版』の冒頭で、華恋は卒業後の進路に悩むシーンがあるようです。小山さんは華恋と同じように、進路に悩んだ経験はありますか?

 私は小学生のころから劇団にいたので、華恋たちと同じような「舞台少女」だったんです。高校を卒業しても演劇を続けたいと思っていたんですけど、親から「大学へは行ってほしい」と言われていたので、大学受験をしました。でも大学に合格し、進路がほぼ決まりかけていたときに、子供のころから憧れていたミュージカルのオーディションで最終審査まで残ることができたんです。最終審査の日が高校の卒業式と同じ日でどちらかしか出席できない状況だったんですけど、私は「こんなチャンスは二度と来ない」と思ったので卒業式を欠席して最終審査へ行き、オーディションに合格できました。結局、私は大学には進学せず、演劇の道を歩むことにしたので、高校3年生の時期は私の人生で大きな転換期となりました。

――小山さんの経験は、まさに『劇場版』の華恋たちとリンクしていますね。

 このエピソードはほかのインタビューなどでも話しているんですけど、どうやら古川(知宏)監督もご存知だったらしいんです。『劇場版』の試写会のとき古川監督にお会いして、そのときに私は「華恋たちの境遇が自分と重なってすごく身につまされた」と話をしたんですけど、そうしたら古川監督が「じつは小山さんの過去の話を聞いたことがあって、今回の『劇場版』の話を作る際の参考にさせてもらった」とおっしゃっていたんです。それなら共感できるはずだと、納得してしまいました。

――ほかに同じ役者として、本作の登場人物たちの心境に共感できる部分はありますか?

 私は「舞台少女の死」に近い感覚を経験したことがあるんです。本作で「舞台少女の死」というのは、要するに舞台少女がモチベーションや輝きを失ってしまった状態を指すんですけど、私も子供のころからずっと出たいと思っていたミュージカルの出演が終わってしまったあと、ものすごい喪失感を味わい何もできない状態になりました。そのときに、そのミュージカルの演出家さんが「小山さんは声優が向いているんじゃない?」と言ってくださりまして。「がんばってみようかな」と思い奮起したからこそ、いまの私があるんです。今回の『劇場版』でも、華恋がそのときの私に近い感情になってしまう場面があるんですよ。アフレコのときは身につまされるような思いだったんですけど、「これを乗り越えれば華恋は大きく成長できるんだ」と思いながら演じていました。

美しいレヴューの演出や口上セリフにも注目!


――ここからは華恋以外の舞台少女たちの印象を聞いていきます。まずは華恋にとって大切な存在であるひかりについて、『劇場版』での印象を教えてください。

 ひかりは本当に強い子です。周りの人に影響されて「自分もがんばらなくちゃ」と思う経験は、皆さんにもあると思うんですけど、華恋はひかりがいたからこそ舞台少女を目指したので、彼女のなかでひかりの存在は不可欠なんですよ。華恋が生まれ変わり「再生産」するきっかけを与えてくれる存在がひかりなので、華恋とは切っても切り離せない関係だと改めて思いました。

――まひるも華恋にとって欠かせない存在です。まひるの印象はどうですか?

 テレビシリーズのときはずっと「華恋ちゃん」といいながら華恋にべったりだったまひるが、華恋とレヴューをしたことで初心を取り戻し、舞台に打ち込んでいたのがすごく印象に残りました。頼もしく成長したなと思っていたんですけど、華恋とひかりの仲に対してちょっと思うところがあったのかもしれないというのが、今回のまひるのレヴューでわかるんです。演出はすごくコミカルなんですけど、ちょっとホラーみたいな雰囲気もあって、まひるらしいレヴューだと思いました。とはいえすごくかっこよかったので、たぶん『劇場版』の公開後はまひるファンが増えるのではないかと思っています。

――真矢とクロディーヌは、どのような見せ場がありますか?

 真矢とクロちゃん(クロディーヌ)は、2人とも自分の進みたい道がはっきりと見えていて、本当にブレない子たちだと思いました。今回はそんな2人のレヴューがあるんですけど、よく考えてみるとテレビシリーズのときはクロちゃんのソロのレヴューがなかったので、アニメしか見ていない方は初めてクロちゃんらしいレヴューを見られるのではないかと思うんですよ。予告映像の時点でクロちゃんの気迫がすごかったと思うんですけど、もちろん真矢も負けておらず、堂々とクロちゃんに立ち向かいます。親友にして最高のライバルと互いに思っている2人の空気がひしひしと伝わってくるすばらしいレヴューなので、ぜひご覧いただきたいです。

――予告映像といえば、双葉と香子も激しくぶつかり合うような雰囲気でした。2人の印象はいかがですか?

 じつは試写を見たときに、一番印象に残ったのが香子と双葉のレヴューでした。2人は幼いときからずっと一緒に同じ道を歩んできたんですけど、今回は香子が双葉とは違う進路を志望するんですよ。香子は自分のわがままを貫き通そうとするんですけど、双葉はそんな香子に言いたいことをしっかり伝えるんです。2人のレヴューはあまりにも熱くて、今回の『劇場版』のなかで一番お互いの思いをぶつけ合っていたといっても過言ではないかと思っています。双葉が師匠であるクロちゃんの影響を受けていたように見えたのも、感慨深かったですね。

――純那とななは、どんな印象ですか?

 純那とななは2人とも、卒業後の進路にすごく悩んでいます。純那は大学を志望しながらも演劇の道をあきらめようとは思っておらず、ななは役者と演出家、どちらの道に進もうか決めきれずに悩んでいる状況です。これから『劇場版』を観てくださる方々のなかには、卒業後の進路に悩んでをいたり、就職や転職を考えていたりする方がいらっしゃると思うんですけど、そういう方々がとくに感情移入できるのはこの2人だと思います。周りが次々と自分の進路を決めていたり、自分のやりたいことをやれていたりすると焦っちゃう気持ちが生まれますが、2人の姿を見れば「じっくり悩んで答えを出せばそれでいいんだ」と思えるのではないでしょうか。

――映像面で、注目してほしい演出は?

 予告映像でみんなが電車に乗っているシーンがありましたけど、じつは 『劇場版』では電車が重要な舞台装置となっているんです。古川監督いわく、電車に乗ることは「次のステップへ向かう」ことの比喩なんですよ。都内で多く走っている電車をモデルにしているとおっしゃっていたので、おそらく劇場を訪れる皆さんも身近に感じると思います。電車のシーンはそれぞれに意味がこもっているので、ぜひすべてに注目してほしいです。あとこの作品は、エンドロールでわりと重要な情報を出してきます。なのでエンドロールの途中に席を立たず最後までご覧ください。

――『劇場版』でとくに印象的なセリフは?

 レヴュー前の舞台少女たちの口上です。テレビシリーズの華恋は「みんなをスタァライトしちゃいます!」というセリフでしたけど、『劇場版』では変わっていまして、ほかのみんなもリニューアルされているんです。口上はそこまで長いセリフではありませんが、舞台少女たちそれぞれが考えている進路や将来についての思いが込められているんです。ぜひ全員の口上を覚えて帰っていただきたいですね。

――小山さんは試写を最後まで見終えて、どんな気持ちになりましたか?

 『劇場版』はちょっと不思議な気持ちになる終わり方をしていて、この終わり方を表現する際に「ハッピーエンド」や「バッドエンド」などの既存の言葉が当てはまらないんですよ。あえて言葉を当てはめるなら、「スタァライト」な終わり方だったね、としか言いようがなくて。何を言っているのかピンとこないと思うのですが、見てくださった方ならきっと私と同じように「スタァライトだったな」という感想に至るのではないでしょうか。

――最後に公開を楽しみに待っている読者の皆さんにメッセージを!

 『劇場版』ということで映像はさらにパワーアップして美しくなっていますし、レヴューの楽曲はすべて新曲になっています。見どころたっぷりの作品になっていますので、ぜひ映画館の音響で楽しんでいただきたいです。ちなみに予告映像にキリンが登場していましたけど、今回のキリンはオーディションの主催者ではなく、ただの観客です。皆さんもキリンと同じ目線で、頂点を競い合う舞台少女たちの輝きを、そして新たな道を進んでいく姿を見守ってください!

■プロフィール
小山百代(こやま・ももよ)●11月30日生まれ。北海道出身。スターダストプロモーション所属。ほかの代表作は、『りばあす』藤堂 圭役、ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』水野亜美/セーラーマーキュリー役など。


【作品概要】
劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト
全国劇場で公開中
STAFF……
原作/ブシロード、ネルケプランニング、キネマシトラス
監督/古川知宏 脚本/樋口達人 キャラクターデザイン/齊田博之 
副監督/小出卓史 音楽/藤澤慶昌、加藤達也 
劇中歌作詞/中村彼方 アニメーション制作/キネマシトラス
CAST……愛城華恋/小山百代 神楽ひかり/三森すずこ 
天堂真矢/富田麻帆 星見純那/佐藤日向 
露崎まひる/岩田陽葵 大場なな/小泉萌香 
西條クロディーヌ/相羽あいな 石動双葉/生田輝 
花柳香子/伊藤彩沙 キリン/津田健次郎 ほか

(C)Project Revue Starlight

愛城華恋役・小山百代「バッドエンドやハッピーエンドなどの言葉ではなく 『スタァライト』としか表現できない結末です」【インタビュー】

《メガミマガジン編集部》

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