そして今回、ついにシリーズ最終章となる『るろうに剣心 最終章 The Final』が4月23日(金)に公開となり、6月4日(金)にはシリーズ完結作となる『るろうに剣心 最終章 The Beginning』が連続公開される。
そこで、アニメ!アニメ!の取材班は、2019年3月某日『るろうに剣心 最終章 The Final』のクライマックスともいえるバトルシーンの撮影に潜入。密着取材を行った。大友啓史監督の言葉も合わせて、レポートしていく。
■剣を交わす男たちの“心”も感じるアクション
『The Final』は、主人公・緋村剣心と雪代縁との戦いを描く物語。最愛の人・巴を殺した過去を持つ剣心が、巴の弟であり剣心に復讐を誓う縁と刀を交える。
強烈な過去で結ばれた2人だからこそ、前作最大の敵となった志々雄真実とはまた違う死闘を繰り広げることとなる。
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「縁にとって姉の巴は、母親代わりでもあるかけがえのない人でした。そんな巴の心のみならず命まで奪った剣心に対して、縁には復讐だけではない強い感情が芽生えています。一方の剣心にとって縁とは、本来戦いたくないけれど戦わなければいけない相手。この2人だから、戦いの導入も以前までとは違います。『さあ、戦いだ!』というテンションではない」と、大友監督。
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それもあってか、今回潜入取材したバトルシーンはかなり力が入っている様子。台本は11ページ強、125カットという、ダイナミックかつこだわりのにじむ撮影となった。
縁を演じるのは、新田真剣佑。大友監督は「彼はアクション俳優として“血統書付き”ですが、と同時に、心の機微を捉えた繊細な芝居にも優れている。縁は、単に復讐に取り憑かれた男ではない、元々は優しい心根をもっていた青年です。高い身体能力とナイーブな演技力を兼ね備えた新田真剣佑は、縁として適役だろうと思いました」と、太鼓判。
また、「佐藤健にぶつけるとしたら彼しかいない」と、佐藤と対等に戦えるポテンシャルと存在感の大きさを買っているようだった。
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実際の撮影では、力強く駆けて佐藤演じる剣心を追った。鍛え抜かれた肉体から繰り出す剣筋は真っ直ぐで重い。そこに、縁が復讐のため生きてきた時間の長さを感じられた。
撮影の合間には佐藤らと談笑したりしていたが、それも束の間。ふと見ると、真剣な表情で動きを確認する姿が。
また、誰も寄せ付けないほどの空気を放つ瞬間もあり、その狂気と悲しみの入り交じるオーラには思わず息を呑むほどだった。
対する主演・佐藤のアクションは、軽やかな印象。洋館の吹き抜けにある池のまわりを1周し、階段の側面と柱に足をかけて跳び上がるという高難度のアクションシーンでは、幾度も練習を重ね身体になじませていた。
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またこのシーンでは、ワイヤーを使っていたのも大きなポイント。池の中央から伸びたワイヤーが佐藤を支えることで、遠心力を使いよりダイナミックに駆け抜けるシーンが撮影された。
大友監督曰く、『るろうに剣心』では「アナログ的なアクションにこだわっている」とのこと。デジタル処理などをできるだけ施さず、役者の身体能力に上乗せするような立ち回りやワイヤー使いをすることで、リアルな画で汗を感じるシーンになっていた。こういったこだわりを過去3作で形にしてきた佐藤だからこそ、より良い画にする方法も感覚的に掴んでいるのかもしれない。構えた剣の角度や足先、指先までスキがなく、ゾクゾクするほどだった。
また、「目の前にはいない女性(巴)を挟んだ戦いですから、単なる攻防ではなく細かな動きや一振り一振りに感情が出るといいなと思い、アクション監督の谷垣(健治)さんにお願いしていました。剣心はきっと、縁の攻撃を受け止めつつも『違うんじゃないか』『わかってくれないか、縁』と感じながら対峙している。その贖罪の念もアクションの合間から感じてほしい」と大友監督。実写映画『るろうに剣心』シリーズらしい血と汗を感じるアクションの中に、心も通わせた。
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「アクションチームが、この5年で溜め込んできたアイデアと、それを支える撮影美術他、すべてのスタッフの知恵や工夫がいっぱい詰め込まれた映画になっています」と言いながら自信をのぞかせた大友監督。日本映画史上最高のアクション映画は、今作でもこうして至高の一作を作り上げた。どんなクライマックスになっているかは、劇場で確認して欲しい。