- スマートフォン向けゲームゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(ガルパ)が2021年3月16日にリリース4周年を迎える。アニメ!アニメ!では4周年記念企画としてガルパスタッフや声優にインタビューを実施。ガルパと歩んだ道のりや制作の裏側を振り返る。
今回はレイヤ役のRaychellさんにインタビュー。『バンドリ!』第3のリアルバンド、RAISE A SUILENのベース&ボーカルとして圧倒的な演奏や歌声を届けている。
キャラクターを元に、演じる声優がバンド活動を行う『バンドリ!』だが、RAISE A SUILENは
『バンドリ!』のライブでバックバンドを務めていた「THE THIRD(仮)」をもとに、「RAISE A SUILEN」を結成し、その後キャラクターが生まれた。
そんな珍しい経緯で結成されたRAISE A SUILENだけに、当初はガルパに登場しない予定と聞かされていたとRaychellさんは明かす。
ガルパに登場した際の喜びや、2020年に開催されたライブなどの思い出、さらには「彼女たちに出会えて本当によかった」と感じるほどのRAS愛をたっぷり語ってもらった。
[取材・文=ハシビロコ、撮影=小原聡太]
RASも真の意味でようやくバンドリ!ファミリーの一員になれた
――RASは2020年6月からガルパに登場しました。登場後の反響はいかがでしたか。
Raychell:反響はかなり大きかったです。「RASがガルパに入った!」と喜んでくださるファンもいましたし、私たちも真の意味でバンドリ!ファミリーの一員になれたと実感しました。
RASメンバーの姿をゲームの中で見ることができて、本当に嬉しかったです。
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ガルパは衣装が多い点も魅力的で、だからいつも新衣装が来ると興奮してスクリーンショットを撮ってしまいます(笑)。
メンバーとも「次の衣装はどうなるのかな」、「イベントでは誰が★4になるのかな」とよく話をするぐらいで。ガルパでこれからRASのさまざまな一面に触れられると思うと、楽しみでなりません。
実は当初、「RASはガルパに登場しません」と言われていたんです。だからこそ「私たちはライブバンドとして頑張ろう」とメンバー一丸となって活動してきました。
その実績が認められてガルパに入れていただけたのであれば、とても光栄です。
――『ガルパ』にRASが加入する前後で、変化したことはありますか。
Raychell:RASはこれまで、ライブで新曲を初お披露目することが多かったのですが、ガルパのおかげでいち早くみなさんに楽曲を届けられるようになりました。
最近はガルパで先に登場する楽曲も増えてきたので、ライブ前に新曲の予習ができてファンのみなさんも曲へのノリやすさが増したかもしれません。
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私も以前から、ロゼさん(Roselia)やポピパさん(Poppin'Party)たちの新曲をガルパで耳にしては、発売前に聴けて嬉しいと思っていました。「この曲いいな!」と気に入ったものはリストアップして、CDの発売日を楽しみにしています。
「本当にこれでいいんですか!」と驚いたレイヤの設定
――改めて、レイヤの第一印象はいかがでしたか。
Raychell:キャラクターデザインが私にそっくりで、「本当にこれでいいんですか!」と驚きました。背格好や洋服の趣味など、どれも私に寄せていただけて、まるで自分の分身を見ているかのよう。その後レイヤがアニメに登場して動いたことがとても嬉しかったです。
――レイヤはRaychellさんと共通点が多いので、役にはすぐ入り込めたのでしょうか。
Raychell:その通りで、役作りのために特別に準備したことはありません。ストーリーの中でレイヤ自身が、私にたくさんのことを教えてくれました。
アニメ「BanG Dream! 2nd Season」の台本をいただいたとき、レイヤの本質や性格が見えてきて、たとえば花ちゃん(花園たえ)に「一緒にバンドをやろう」と素直に言えないシーンからは、レイヤの持つ優しさや思いやりに気づきました。
歌に込める強さや執念も、彼女のストーリーに触れて初めて知ることができたと思います。
あとはライブ活動が先行していたおかげで、ナチュラルに演じられました。今まではRaychellとしてライブのステージに立っていましたが、「これからはレイヤと一緒にRASとして成長していこう」と思えました。
――アニメ「3rd Season」とガルパで読むことができるRAISE A SUILENのバンドストーリー1章は共通したストーリーです。収録はどちらが先でしたか。
Raychell:アニメのアフレコが先でした。ガルパでは、アニメに登場しなかったシーンもじっくりと描かれているので、もう一度演じたときも新鮮味がありました。レイヤの感情やRASの生い立ちをよりしっかりと追えたと思います。
アニメのアフレコ時点では映像がまだ完成していなかったのですが、ゲーム収録前にオンエアをチェックできたおかげで完成図がはっきりしました。
たとえば閉じこもっていたチュチュを説得して、パレオを探しに行くシーン。レイヤが「私はバンドの星になりたい」と決意する場面では、より感情を乗せることができました。
ガルパの収録は毎回とても緊張していますが、アニメと違いゲームは個別収録なので、周囲から見られているプレッシャーも減り少しはリラックスしてレイヤと向き合えているかもしれません。
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――個別収録のゲームとは対照的に、アニメのアフレコ現場ではメンバーと交流する機会も多かったのでしょうか。
Raychell:休憩中はRASのメンバーとよく話していました。収録がお昼ごろだったので、どうしてもお腹が空いてしまう(笑)。だから持ち寄ったお菓子を分け合いながら、そのあと収録するシーンの練習をしていました。
誰かが練習をしていると、別の誰かが次のセリフを言ってかけあいが始まることも多くて。まるで学校で過ごしたお昼休みのようで、高校生活をもう一度体験させてもらえているような気がします。
――収録中に印象的だったディレクションはありますか。
Raychell:レイヤは高校2年生なので、最初はもう少し女の子らしさが見える声で演じていたんですが、アニメのアフレコでは「常にクールで」、「普段のRaychellさんの声で演じてほしい」とディレクションをいただきました。
当時はマイクの前で演じることも初めてだったので、ディレクションをすぐに演技に反映させる難しさを知りました。
レイヤは基本的には落ち着いた話し方ですが、「花ちゃんといるときには声をワントーン上げる」「びっくりしたときは変わった声を出す」など、普段とは違ったレイヤの一面も見せようと心がけました。今でも収録を重ねるたびにレイヤの内面に気づかされています。
新たなスタートを切れた2020年
――2020年は新型コロナウイルスの影響もあった一方で、リアルライブ、舞台「We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~」、Roseliaとの合同オンラインライブなど活躍の場もたくさんありました。振り返って印象に残っていることは?
Raychell:2020年は本当に内容が濃くて印象的だった出来事も多いので……全部語らせてください(笑)。
まず2020年最初に開催した単独ライブ「Craziness」。今までのライブの中で一番だと自信をもって言えるほど、メンバー全員がいい表情をしています。
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「2020年は力を入れて活動するぜ!」と思っていたぶん、相当気合が入っていました。今とはまた違ったRASの輝きが詰まっていますし、ガルパの他バンドの曲をカバーさせていただくのはこれが最後だったので、貴重なライブだと思います。
以降のライブではRASオリジナル曲が中心になったので、新たなスタートでもありました。「Craziness」の映像は6th Single「mind of Prominence」Blu-ray付生産限定盤に付いているので、ぜひ見てください!
その後コロナ禍でライブなどが中止になっていく中、感染症対策を施して行ったRASの舞台「We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~」も印象的です。バンドリ!プロジェクト初の試みである舞台を私たちが担わせていただける嬉しさと、期待に応えなければならないプレッシャーを感じていました。
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最初に台本をいただいたときは、「こんなに分厚いシナリオを本当に1時間半で演じるの?」と何度もスタッフさんに確認して(笑)。ライブも含めて1時間半だと聞いていたのですが、実際は3時間の大ボリュームになりました。
物語の冒頭からアニメ「3rd Season」の再現をしている箇所があるなど、ストーリーが本当に最高なんです。脚本を担当した(綾奈)ゆにこさんは天才だと思いました。ゆにこさんはRASの生みの親でもあるので、RASへの愛がストーリーの随所から伝わってくる。
あの舞台があったからこそ、6th Single「mind of Prominence」への進化にもつながったと思います。
公演の様子は5th Single「Sacred world」Blu-ray付生産限定盤に収録されているので、ぜひ見てほしいです! 当時にしかできなかった舞台でもありますし、アニメやガルパでは表現されていないRAS結成秘話などが詰まっています。RASをもっと知るきっかけになればいいな、と思っているので手に取っていただけると嬉しいです。
そして8月といえば、「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYS。初の野外単独ライブでしたし、久しぶりに多くのバンドリーマーさんの前で音楽をお届けできたことが素直に嬉しかったです。
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3日間を通してバンドごとに異なる色が実感できましたし、フィナーレではアニメ「3rd Season」と同じように3バンドのボーカルが揃った「夢を撃ち抜く瞬間に!8th☆LIVE ver.」が披露できて感動しました。
でも私は「8th☆LIVE」のとき、歌の調子があまりよくなかったんです。だから今でも悔しさが残っていて、もう一度真剣に歌と向き合おうと思いました。
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