やっと僕の青春時代が走り出した。「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】 | アニメ!アニメ!

やっと僕の青春時代が走り出した。「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】

【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】本稿では、1番“待ち焦がれていた”アニメとして『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完』を紹介。

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『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』キービジュアル(C)渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』キービジュアル(C)渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完 全 2 枚 拡大写真
2020年ももう間もなく終わります。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響により放送延期や、イベントの中止などアニメ業界にとっても波乱が起きた年でもありました。そんな中でも、かつて放送された名作の再放送なども行われ、新しい作品の魅力だけでなく、過去作品の魅力も再発見できたのでは…。

そこでアニメ!アニメ!では、2020年を振り返り「これがオレの1番○○なアニメだったな」と思う作品をピックアップ! 編集部が選ぶイチオシの作品を連載形式で紹介していきます。

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』



概要・ストーリー


友達を作ろうとも思わず、いつも一人でいるひねくれた高校生が、それを見かねた教師によって「奉仕部」という部活に入れられてからの高校生活を描いたラブコメ作品。

高校2年生の比企谷八幡は、高校でも友達が出来なかったことから、友達を作ることを諦めて「一人ぼっち」を極めようとしていた。妙な屁理屈をこねながらぼっちな高校生活を謳歌しつつリア充を嫌い呪っていた八幡だったが、生活指導担当に目をつけられ、「奉仕部」に無理矢理入部させられる。そこで八幡は、校内一の才女として知られる雪ノ下雪乃と出会う。雪乃は、才色兼備な超人で弁も立つが、八幡と同じく人付き合いが不器用な少女だった。二人は似たような境遇でありながら考え方が根本的に異なり、意見が衝突する。生活指導担当の平塚静はそんな二人に対し、どちらがより多く奉仕部に持ち込まれた依頼を解決できるか、という勝負を命じるのだが…。

最終シリーズとなる本作では、奉仕部に持ち込まれた最後の依頼、彼の高校生活の結末が描かれる。

オススメポイント


『俺ガイル』のアニメシリーズ第1期『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は、なんと7年も前に遡る2013年。第2期である『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』は2015年に放映されており、今回最終シーズンとなる『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』は5年ぶりのアニメ放映となった。5年もの月日が経つと、中学生1年生は高校3年生になっているし、大学1年生は社会人になっている月日である。正直、筆者も「5年も前の作品の続編・完結編かぁ…」という考えを持っていた。しかも、第1話から繰り広げられるシビアな展開に「ええ! 5年も待ったのに、こんな感じ…?」という印象を強く抱いた。


最終シーズンである本作では、奉仕部メンバーである、八幡、雪乃、結衣、この3人が絶妙な距離感で保っていた三角関係、周囲を取り巻く人間関係が崩壊していく音が、毎話ごとにはっきりと聞こえるのは、もやもやする気持ちでいっぱいでになる。1期、2期と「いろいろぶつかり合うけど、なんかうまく落ち着くよね。よかった!」というストーリーが多かったということもあり、今期の『俺ガイル』は見ていて辛いものがあった。

しかしながら、ストーリーが進むにつれて、さまざまな立場や考え方、取り巻かれている環境などがだんだんと鮮明になっていき「やっぱり、人間関係ってうまくいかないことも、多いよね」「綺麗事だけだと、何も変わらないよね」とより感情移入ができるシーンも多く、物語がどのように着地をするのかが、毎週楽しみであり、気づけば『俺ガイル』の世界にどっぷりと浸っている自分がそこにはいた。

2013年から始まったアニメ『俺ガイル』シリーズの物語の中では、数週間、数年の時間で動いているが、実際の時間は7年もの時間が経過している。7年もあれば、環境も考え方も付き合う交友関係、向き合う仕事や課題も大きく変わっているものだ。『俺ガイル』を見ることで、この7年もの時間を改めて振り返ることができたとともに「変わらないもの」「変わっていくもの」こういったものがより鮮明に見えるようになった気がする。

また、おすすめポイントとして、主人公である比企谷八幡(主人公なのにあだ名が「ヒッキー」である)が語る名言も、心に刺さるものが多く魅力的である。

"“みんな”が言うから”みんな”がそうするから、そうしないと”みんな”の中に入れてもらえないから。でも、”みんな”なんて奴はいない。喋りもしなければ殴りもしない。怒りも笑いもしない。集団の魔力が作り出した幻想だ。気づかないうちに生み出していた魔物だ。個人のちっぽけな悪意を隠すために創造された亡霊だ。仲間外れを食い殺して仲間にすら呪いを振りまく妖怪変化だ"

"問題の本質を理解していない。孤立すること、一人でいること自体は別にいいんだ。問題なのは悪意によって孤立させられていることだ。"

"世界は変わらないが、自分は変えられる。なんてのは、結局そのくそったれのゴミみたいな冷淡で残酷な世界に順応して適応して負けを認めて隷属する行為だ。綺麗な言葉で飾って自分すら騙している欺瞞にすぎない。"

一見すると単なるひねくれ者の戯言にしか聞こえないのだが、物語を追うことで「こういうことがあったから、ヒッキーあんなこと言ったのね」「なんとなく、ヒッキーの言ってること、分かる」という心理に変わっていく自分にも気付くことができ、ただ単にアニメ作品を視聴しているだけでなく、自分自身の日々の考え方や人との接し方を見直しよいきっかけにもなった。

2020年1番待ち焦がれていたアニメ『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完』。第1期から全てを見直すのはハードルが高い部分もあるかと思うが、ぜひ『俺ガイル』の世界を最大限味合うためにも、初回からの視聴を強くおすすめしたい。

(C)渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。続
(C)渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

《森 元行》

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