「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」完結記念! 原作者・渡 航×担当編集・星野博規スペシャル対談 | アニメ!アニメ!

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」完結記念! 原作者・渡 航×担当編集・星野博規スペシャル対談

メガミマガジン12月号『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』の表紙&巻頭特集から、原作・渡 航先生と担当編集の星野博規さんの対談の模様を紹介。

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メガミマガジン12月号の特集誌面より
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アニメ・ゲーム美少女キャラクター情報誌「メガミマガジン」。10月30日発売の12月号では感動のクライマックスを迎えた『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』が表紙&巻頭特集で登場! スタッフ・キャストへの2万字インタビューで、作品を振り返ります。ここでは同特集から、原作・渡 航先生と、担当編集の星野博規さんの対談の模様を紹介します。原作を完結まで書き終えたときの、渡先生の心境は?そして、それを見届けた星野さんの気持ちに注目です。


■プロット通りに動いてくれない登場人物たちに悪戦苦闘



――『俺ガイル』の原作は2019年11月発売の第14巻で完結。そしてアニメもついに完結を迎えました。原作者として、いまはどんな心境ですか?

 9年も同じ作品を書き続け、アニメも原作が完結するところまでやってくださったことに全然現実味がないんですよね。そもそも『俺ガイル』を書き始めたときは、まさかこれだけ長く続くなんて思っていませんでした。ひと区切りはついたと思うんですけど、終わったという感じが全然していなくて、いまは「もしかしたら自分はこの作品を一生書かなくちゃいけないんじゃないか」という恐怖と戦っています(笑)。

星野 先生の話を聞いていると、僕も「思えば遠くへ来たもんだ」という気持ちになりますね。渡先生のなかでアイデアがひとつ弾けて生まれた作品が大きな流れを生み出し、僕もその流れに乗せられながらここまで来ました。ここまでの作品に関われたことをうれしく思っています。

――第2期『続』の終了時点から、『完』の制作は決まっていたのですか? 

星野 『続』で「もうすぐ終わり」という部分まで描いていただいたので、アニメでも作品の完結までやりたいという話は『続』が終わった時点でメーカーさんからいただいていました。『続』はお客さんが喜んでくれているのを感じていたので、やらない手はないだろうと。ただどうしても原作のスケジュールとの兼ね合いがあり、結果として5年もお待たせしてしまったんです。

 原作の第12巻以降は八幡たちが事前に立てたプロット通りに動いてくれず、なかなか苦労したんです。終盤はこういう流れになる、というイメージはそれこそ『俺ガイル』の開始当初からあったんですけど、そんなプロット通りにすんなりと登場人物が動いてくれるようなら、そもそも『俺ガイル』の物語はこんな面倒くさいことになっていません(笑)。あらすじにしてまとめたらそれこそ3行くらいで終わっちゃうような物事を、そこに至るまでの過程や心情の変遷をていねいに追いながら書いていくのが『俺ガイル』の物語なんです。心情描写や文章上での演出、エピソードの入れ替え、追加、削除などを延々とやっていたら、当初のプロットよりも物語が膨れ上がってしまい、完結させるまでけっこう時間がかかっちゃいました。

――そこまでこだわりを持って書かれていたのですね。 

 『完』の物語にあたる第12巻以降は、コミュニケーションや言葉に対してかなり深く切り込んだ内容になっていたので、絶対に妥協したくなかったんです。別に最初から「面倒くさい物語を書いてやろう」と思ってやっていたわけではなく、そもそも八幡たちが面倒くさいやつらなので、どうやってもシンプルにはならない。そもそも僕はもういい大人といえる歳になってしまったので、八幡たちみたいに面倒くさいことは絶対やらないんです。そんな僕がこの物語をきちんと描くためには八幡たちの思考を突き詰めて、そこから言葉を絞り出していくしかなかった。彼らの思考のなかに潜るための時間が、すごく長くかかったんですよ。

――作品の初期は、コメディネタなども多めに入ったポップ寄りの印象がありました。それからどんどん重くなっていった印象なのですが、作品の方向性については渡先生のなかでも、書きながら試行錯誤していた部分があったのですか? 

 そう言われて思い返すとたしかに第1巻は明るい内容でしたね。たしか初稿が上がって星野さんに「どうですか?」って見せたら、「暗すぎる」と言われたんですよ。「打ち合わせのときは徹底的にラブコメをやろうって言ってたじゃないですか」って原稿を返されて、「うるせえ」と思いながら暗い分を少しだけ書き直したのがいまの第1巻です。

星野 あのときは「世の中に出す一発目のものとして、もう少しいま売れているものを意識したほうがいいんじゃないですか」みたいな話をしていた記憶があります。当時のライトノベルはビターな雰囲気よりもポップな作品のほうが主流というイメージがあったので、明るい方向を強めに押し出そうと話していました。だけど第1巻からすでにいまの『俺ガイル』のテイストも含まれていて、第2巻ではすでにビターな終わり方をしていました。読者の興味を引きながら、全体の方向性を違和感なくビターな方向へ切り替えていったのは、渡先生の筆の力ですね。

 最初はわりとがんばって「ライトノベル」らしい作品を書こうと思っていたんです。でも拭いきれないシミが残っていて、そのシミがどんどん大きくなっていったんですよね。

10月30日発売のメガミマガジン12月号では、比企谷八幡&雪ノ下雪乃について、ふたりが結ばれる過程をどうイメージして執筆していたのか、そして今後の驚きの新作構想についても聞いています。


【プロフィール】
渡 航【わたり・わたる】千葉県出身の作家。2009年、『あやかしがたり』が第3回小学館ライトノベル大賞ガガガ文庫部門でガガガ大賞を受賞。アニメ『ガーリッシュ ナンバー』のシリーズ構成を務めるなどマルチで活躍している。

星野博規【ほしの・ひろのり】小学館ガガガ文庫編集長。渡 航の担当編集として『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の立ち上げに関わった。
 

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』完結記念 原作者・渡 航×担当編集・星野博規対談「僕はこの作品を一生書かなくちゃいけないんじゃないかという恐怖と戦っています(笑)」

《メガミマガジン編集部》

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